日本
ライナフ
NinjaEntrance
NinjaLock
Real Estate Tech

スマートロックを切り口に不動産活用サービスを展開するライナフ、総額3.9億円を資金調達

次の記事

GoPro、悲惨なQ3決算で弱点を露呈

ライナフ代表取締役の滝沢潔氏

ライナフ代表取締役の滝沢潔氏

スマートロックを利用した不動産活用サービスを提供するライナフは11月4日、三菱地所、DGインキュベーション、西武しんきんキャピタル、他を引受先とする総額3.9億円の資金調達を実施したことを発表した。設立からちょうど2年を迎えたライナフは、今回の調達を元にウェブサービスやハードウェアの開発と、人材採用の強化を図る。

自らも不動産投資を手がけるライナフ代表取締役の滝沢潔氏は、「保有する物件で空き室をいかに減らすかで頭を悩ませたこともある」と言い、そうした経験から、空き室活用を支援するビジネスを検討し始めた。空き室・空きスペースの活用を促すサービスとして真っ先に思い浮かぶのは「AirBnB」や「スペースマーケット」といったマッチングサービスだが、滝沢氏は「大量の物件を抱える不動産の保有者は、実際にはほとんどこうしたサービスには登録していない」という。では、大量の不動産を活用するために必要なソリューションとは何か。滝沢氏が目を付けたのは、空き部屋や空きスペースの無人運用を可能とする、スマートロックだった。

NinjaLock

サムターン錠に装着されたNinjaLock。

ライナフでは、サムターン錠の上からかぶせることで、アプリをインストールしたスマホやタブレットとBluetoothで通信して錠の開閉ができるスマートロック「NinjaLock」を開発。2015年6月には量産品をヨドバシカメラで販売開始した。2016年8月には、建物入口のオートロックの自動ドアに設置することで、遠隔開錠やアプリでの開錠が可能なIoT製品「NinjaEntrance」もリリースしている。

だが、ライナフの収益の本命は、スマートロックなどのIoTハードウェアではない。「IoT製品単体での収益化は、製品を動かすために稼働し続けるサーバーのランニングコストを考えると難しい。ウェブサービスとの組み合わせ、不動産活用のためのサービスとのワンパッケージ化によって、ハードの利用料としてではなくサービスの利用料としてなら、ある程度の金額を払ってもらえるようになり、ビジネスとして成り立つ」(滝沢氏)。

スマート内覧の鍵操作画面

スマート内覧の操作画面。

2016年2月、前回のライナフの調達発表の際、同時に発表された「スマート内覧」は、NinjaLockを利用した不動産流通を促すためのサービスパッケージのひとつ。物件の内覧希望者がウェブで内覧日時を予約しておけば、スマホや携帯電話で物件の開錠ができるため、不動産管理会社や仲介業者が同行することなく“セルフ内覧”が可能なサービスだ。室内のタブレットとスマートロックがBluetoothで通信しており、訪れた人はスマホのブラウザ経由か、音声通話の自動ガイダンスに従ってプッシュトーンで開錠する。音声通話による開錠は、仲介業者の間でまだまだスマホが普及していないことに配慮したものという。室内のタブレットのアプリは、訪問者に物件の詳しい情報を提供するほか、管理会社から室内を確認するために写真を撮影したり、訪問者が管理会社に質問をするための通話や仮申し込みにも利用できる。累計導入室数は100室を超え、2016年度のグッドデザイン賞をソフトウェア・サービス・システムの分野で受賞した。「室内タブレットには今後1年以内に、AIコンシェルジュも搭載していく」と滝沢氏は言う。

室内タブレットに表示されるウェルカム画面

スマート内覧の室内タブレットに表示されるウェルカム画面。

訪問した物件の情報もタブレットで確認できる

訪問した物件の情報も室内タブレットで確認できる。

また、住友不動産ベルサールと共同で開発し、2016年7月にリリースされた「スマート会議室」は、やはりNinjaLockを活用した、無人で貸会議室の運営が可能なシステム。スマート内覧と同様、部屋と日時を選んでウェブで予約し、予定日時になったら部屋をスマホなどで開錠して利用する。こちらは、そのまま決済まで完了できる。引き合いも増えているそうで、今年度内に導入100室突破を予定。今後、清掃手配や仕出し弁当の注文、備品レンタルなど、関連する付加価値の高いサービスを提供していくという。

スマート会議室の操作画面

スマート会議室の操作画面。

「空き室・空きスペース活用の場面は不動産流通の場面より利用頻度も高く、今後目を向けていきたいジャンル」という滝沢氏。賃貸物件としての空き室についても、内覧などがない時間帯に時間貸しができるように、とスマート内覧とスマート会議室が融合したサービスも目論んでいるそうだ。

「不動産を活用するためのテクノロジー」「不動産を活用するためのサービス」と何度となく口にした滝沢氏は、「物件オーナーやユーザー、業界それぞれの目線で見て、売れると分かっているものができたから増資した。これで営業や広告、マーケティングを強化すれば絶対に伸びる」と自信を持つ。「不動産の分野はIT化が進んでいなかった。FinTechが盛り上がって、そろそろ一段落しそうな金融の分野よりかなり遅れてはいるが、投資を考えたときに二大資産として挙がるのは、金融と不動産。FinTechと違って不動産テック(Real Estate Tech)はRTechだかReTechだか、まだ名前も定まっていないような状況だけれども、不動産テック業界は必ず盛り上がると思っている。もっと盛り上げていきたいし、新しいベンチャーもどんどん出てきてほしい」(滝沢氏)