FacebookとWhatsApp間のデータ共有が英規制機関の要請により一時中断されることに

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メッセージサービス大手のWhatAppは、今年の夏に広告目的の利用を含め、親会社のFacebookとユーザーデータを共有すると発表し物議を醸していたが、引き続きその件でヨーロッパの規制機関の怒りを買っている。

イギリスの個人情報保護監視機関であるICOの捜査を受け、この度Facebookはイギリス国内でのデータ共有を中断することに合意した。これにより製品や広告の開発にはユーザーデータが使われなくなる一方で、Facebookは今でもWhatsAppのデータをスパム対策やビジネスインテリジェンス(Facebookの傘下にある各サービスのユーザー数にWhatsAppのユーザー数を反映させるなど)の目的で利用していることが分かっている。

さらにFacebookは、イギリス以外のEUに加盟している27ヶ国でもWhatsAppとのデータ共有を中断しなければならない。

イギリスの個人情報保護担当コミッショナーであるElizabeth Denhamは、捜査の進展に関する詳細が厳しい表現で書かれたブログポスト内に、「私は消費者がきちんと守られていないことを心配しており、これまで私たちが行ってきた捜査を鑑みても、その思いに変化はありません。Facebookはユーザーの情報を使って何をするかについて、ユーザー自身に十分な情報を与えていないばかりか、WhatsAppがユーザーから受け取ったとする、情報共有に関する同意にも効力がないと私は考えています。さらに現状ユーザーは、自分の情報の扱いについて30日間で判断しなければいけませんが、いつでもその判断を変更できるようにするべきです」と記している。

さらに彼女は「私たちはFacebookに対してハッキリと法的根拠を示してきました。その結果、FacebookがイギリスのWhatsAppユーザーから集めたデータを、広告や製品改善の目的で利用するのをやめると決定し、嬉しく思っています」と付け加えた。

またDenhamは、「曖昧なサービス規約」のせいで消費者が「私たちが求めているレベルの保護」を受けられていないと強調した。

WhatsAppの更新版のプライバシーポリシーによれば、ユーザーはFacebookとのデータ共有を拒否することができるが、デフォルト設定では自動的にデータが共有されるようになっている。そのため、ユーザーはプライバシーポリシーをクリックして詳細を読み込み、その中のスイッチが何を意味するのか理解して、初めて情報共有オプションをオフにできるのだ。さらにユーザーがデータ共有に合意した場合でも、その後30日間であればアプリ内の設定からキャンセルできるが、その期間を越えると設定が変更できなくなってしまう。ICOはこのプロセス全てに不満を持っている。

また、Denhamはブログポストの中で、ICOがFacebookとWhatsAppに対して「データがどのように利用されるかについて顧客に分かりやすく説明すること、さらには彼らにいつでもデータ共有を停止する権限を与えること」を確約する書類にサインするよう求めたほか、現状のアプローチを変えなければ法的な手段に出ると警告したと記している。

「さらに私たちは、Facebookがユーザーデータを利用し始める前に、ユーザーひとりひとりがデータ共有について暫定的な判断を下し、その後いつでもそれを変更できるような仕組みが導入されるよう求めています。消費者にはもっと多くの情報が与えられると共に、しっかりとした保護を受ける資格があると私たちは考えていますが、これまでのところFacebookとWhatsAppはそうは考えていないようです。今後Facebookがユーザーの有効な同意無しにデータを利用していることが判明すれば、ICOの取り締まりを受けることになるかもしれません」と彼女は続ける。

Facebookの広報担当者は、ICOの対応に関する声明の中で、同社がデータ共有に関してWhatsAppユーザーに分かりづらい説明を行っているという批判を否定した。TechCrunchの取材に応じた同担当者は、「WhatsAppは、ユーザーにサービス内容を簡潔で分かりやすく説明し、データ利用に関する選択肢を与えるために、プライバシポリシーとサービス規約のアップデートを行いました。このアップデートの内容は関連法に準拠していると共に、ICOの最新の指導内容に沿って作られています」と話す。

さらに同担当者は「私たちは、ICOやその他の関連当局との対話を継続していきたいと考えていますし、彼らが問題視している事項についても一緒に解決していきたいと思っています」と付け加えた。

Facebookは、本件についてこれまで何度もICOとミーティングを行っているほか、この問題を案じているヨーロッパの他の規制機関からもいくつか質問を受け取っている。また、現在のところEU加盟国全てで、WhatAppとFacebook間のデータ共有は中断されている。

9月にもFacebookとWhatsAppは、ドイツの個人情報保護機関からユーザーデータの共有をやめるよう命じられたが、当時Facebookは控訴すると話していた。

また、スペインの個人情報保護機関も、両社のデータ共有に関する捜査を行っていくと発表していた。

さらに現在、EU加盟各国の個人情報保護機関の代表者から成るEU全体の個人情報保護監視機関、Article 29 Working Partyも本件を捜査中だ。彼らは10月に、各メンバー(ICOなど)が「強調して」問題解決にあたると共に、必要があれば連動して法的な手段をとっていくと話していた。

Denhamは、欧州各国の関係機関と共に、ICOは今後もFacebookを”プッシュ”していくつもりだと語る。彼らのゴールは、Facebookの手に渡ったデータがどのような目的で使われるかについて、WhatsAppユーザーにもっと多くの情報が与えられること、データ共有に関して今よりも分かりやすい選択肢がWhatsAppユーザーに与えられること、さらには一旦ユーザーがデータ共有に合意しても後から変更できるようにすることだ。

また、彼女は同じブログポストの中で、企業買収に伴うユーザーデータの局所集中という、もっと広い意味での個人情報保護に関する心配点を挙げている。これは今年に入ってからEUの競争政策担当コミッショナーも懸念を表明していた問題で、最近ではMicrosoftによるLinkedIn買収への反対の論拠としても用いられていた。

「これは、膨大な数の顧客情報が売買の対象となるような企業合併で特に問題になります。実際に、顧客情報の獲得を主な目的とした買収が行われていて、買収する側が既に持っている情報と新たに手に入れた情報が組み合わさると、データセットがまとめられ、知りたくもないような詳細が明らかになっていき、消費者は自分の情報をコントロールできなくなってしまう可能性があります」とDenhamは記す。

彼女によれば、ICOは来年本件に関するレポートを発行する予定だ。

「これはもはや個人情報保護の域を超えた問題で、私たちは業界団体や競争政策機関、消費者団体との対話を通して、どうすれば関連法規制を人々に理解してもらえるのかを検討しています。来年には本件についてのレポートが発行され、その中には私たちが心配している点やその対策に関する議論が掲載される予定です」

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter