日本の3大メガバンクが全銀システム業務にブロックチェーンを適用する実証実験、bitFlyerが新アルゴリズムを提供

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ブロックチェーン技術を実ビジネスに適用する試みが盛んになる中で、図抜けてインパクトが大きな実証実験が登場した。みずほフィナンシャルグループ、三井住友銀行、三菱UFJフィナンシャル・グループという日本の3大メガバンクが参加する実証実験の報告書をデロイト トーマツ グループが公表したのだ。TechCrunch Japanの目線からは、日本のビットコインスタートアップであるbitFlyerが実証実験での環境構築および「PBFT(Practical Byzantine Fault Tolerance)類似の独自のコンセンサスアルゴリズムを開発して提供する」という重要な役割で参加していることに注目したい。

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実証実験のイメージ。トランザクション検証を担う「コアノード」とトランザクションを生成する「アプリノード」に分けてシステムを構築した。

実証実験の範囲は、銀行間の決済において、現状では「全銀システム」が担当している「ペイメント」業務をブロックチェーン技術により置き換えるものだ。実験規模として144行の銀行が参加する前提でシステムを構築し、スループットとして取引1500件/秒(1拠点での実験)という能力を確認した。144行という数字は、現行の全銀システムでの参加者数を参考に設定したもの。また全銀システムのピーク時処理能力は1388件/秒とのことだ。つまり、今回の実証実験は、全銀システムの機能をブロックチェーン技術により置き換えるポテンシャルがあることを実証したといえる。報告書では「当該領域に対してブロックチェーン技術の適用可能性があるものと考えられる」と慎重な表現を使って評価を記している。

報告書には「コンセンサスアルゴリズムとしてPBFTに類する仕組み」を採用し、アルゴリズムはbitFlyerが独自に開発したアルゴリズムを採用したとある。コンセンサスアルゴリズムは、ブロックチェーン技術を構成する技術要素の中でも非常に重要性が高い。ビットコインでは計算競争に基づくPoW(Proof of Work)、日本で実証実験の実績を積み上げつつあるmijinではノードの重要さを評価するPoI(Proof of Importance)、コンソーシアムブロックチェーン向け技術として注目が高まっているHyperLedgerではノード数が既知の分散システム向けのPBFTを使う。コンセンサスアルゴリズムに何を利用するかで、ブロックチェーン技術の特徴の相当の部分が規定されてしまう。PBFTは、従来のコンセンサスアルゴリズムに比べ金融機関にとって重要なファイナリティ(決済の確定性)を満たす点、またスループットが高い点が評価されている(ただしパブリックブロックチェーンには向かない)。残念ながら報告書からはbitFlyerの独自アルゴリズムがPBFTに対してどのような改善点があるかまでは分からない。また、今回の実証実験で使われたブロックチェーン技術の固有名詞の記載もない(文脈からはHyperledgerではないかと想像できるのだが、そうではないかもしれない)。情報量では物足りない部分もあるが、日本のスタートアップの技術がメガバンクのブロックチェーン実験の中核部分に使われたことは、素直に面白いと思える。日本の「ブロックチェーン界隈」からは、まだまだ面白い動きが飛び出してきそうだ。