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ダークマターの拡大とGoogle王国の黄昏

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【編集部注】著者のSteve Newcomb氏はFamous.coの創業者兼CEOである。

Googleの王冠の宝石であるインターネット検索や、人類が世界で情報を見つける手段は、大きな問題を抱えている。これらの問題は、私たちが知るインターネットを脅かしている;もしそれらが何の抑制もないまま発達し続けることを許されるならば、その影響は遥かに広く深刻なものになるだろう。これらの脅威は、総称してダークマター(暗黒物質)と呼ばれている。

ダークマターとは何か?

ダークマターとは、検索エンジンが見ること、インデックスすること、そして検索することができないインターネット上の情報である。ダークマターが増えれば増えるほど、Googleの未来も暗いものとなる。それはアプリや、ソーシャルネットワーク、そしてシングルページアーキテクチャに埋め込まれたコンテンツたちだ。

ダークマターをとても危険なものにして、かつ押しとどめることを困難にしていることは、そうしたものに対応しているテクノロジーが同時に現代の生活に欠かせないものであるということだ。もしその成長が何の抑制もないままに進めば、ダークマターは発見可能な情報を日食の如く蝕み、結果としてGoogle検索を破壊するだけでなく世界の情報をインターネット内のプライベートな領地の中に閉じ込めてしまうことになる。

どのくらいのダークマターが存在するのだろうか?天体物理の世界に存在する同名の物質と同様に、それを直接知ることは難しい。しかし、隣接するインターネット市場にダークマターが及ぼす影響を測定することはできる。たとえば、検索広告収入を見ると、問題は衝撃的な明快さで示される。1990年代後半に始まって以来、検索はデジタル広告収入の中でのシェアを伸ばし続けて来ていた。しかし、2016年にIAB(Interactive Advertising Bureau)が爆弾を落とした:その報告によればGoogleの主要収入源である検索広告収入は初めて減少したのだ、一方世界で最大のダークマター発生装置であるFacebookがこれまでで最大の収益成長を見せた。

何かが劇的に変わった。

ソーシャルネットワーク

ソーシャルネットワークはウェブ上で特別な広がりを見せている —  人類の31パーセントが、少なくとも1つのソーシャルネットワークアカウントを持っている。そして、ソーシャルウェブに投入されるコンテンツの量は驚異的だ。60秒の間におよそ400万件の投稿がFacebook、Twitter、そしてInstagramで行われ、400時間分の動画がYouTubeにアップロードされている。その1分の間にGoogleは300万件の検索を処理している。

それらのソーシャルネットワークはプライベートにコントロールされている。Facebookは現在検索可能だが、マーク・ザッカーバーグはFacebookやInstagramのコンテンツを任意の時点で外部の検索エンジンから利用できないようにすることで、Webの膨大な領域をダークマターに瞬時に変えてしまうことができる。Googleは、YouTubeの結果が自身のエンジンだけから得られるように制限することもできる。Twitterは個々のツイートがSERPs(Search Engine Result Pages:検索結果画面)に現れないようにすることができる。これらのソーシャルプラットフォームのそれぞれが独自のプライベートインターネットになることができる可能性を秘めている。

プライベートインターネットのコンセプトはどのように展開するのだろうか?私たちは、2016年の大統領選に照らして、フィルタバブルの存在をより学びつつある。それはソーシャルメディアと検索の両方で、前例のないレベルで確証バイアスを助長している。この問題はダークマターの拡大によって悪化する一方である。

60秒の間におよそ400万件の投稿がFacebook、Twitter、そしてInstagramで行われている

アプリは近代的なモバイルライフスタイルを規定している。問題は、それらが当然のことながら、完全に検索ウェブから分離されていることだ。アプリケーションは、最初のiPhoneの技術的制約に応じて登場した。そして、それらはこの技術的時代精神の中心的なテーマに発展した。検索クローラーは、モバイルブラウザの外にあるネイティブアプリケーションのコンパイルされたコードへアクセスすることはできない。アプリ内のコンテンツは、その構築手法の事実上の結果として、検索エンジンからは利用できない。

だから、わずかな例外を除いて、あなたが携帯電話に入力した情報はすべてダークマターだ。そして、消費者はスマートフォン上で自分の時間の85%をアプリ内で使っている。その接続された生活が、こうした切断された島々の中にますます囚われることになる。

私たちは2007年(iPhone誕生の年)に決められたポリシーに固執している。その時に比べて、モバイルブラウザとモバイルデバイスはますます強力になり、接続速度も急速に高まっている。なのになぜ私たちはネイティブアプリの限界を超えて進もうとしないのだろう?

シングルページアーキテクチャ

ネイティブアプリに対するウェブからの代替案は、この問題を解決するためにはほとんど役に立ない。ウェブでは、シングルページサイトとウェブアプリケーションが多く見られるようになっている。ミニマリストであるシングルページの実行は美しく(開発コミュニティの一部の慎重意見にもかかわらず)広く普及しているが、ネイティブアプリのように、検索できないバブルの中に存在しているのだ。シングルページアプリケーション内のインデックス可能なデータは、検索可能なHTMLファイルとしては存在せず、実行可能なJavaScriptコードの向こう側に存在しているために、従来の検索クローラーにとっては意味がない。

まあ、完全に駄目というわけでもない。GoogleはJavaScriptの背後にあるデータを見ることができるようにクローラ技術を改良している。問題は、それに対応するにはGoogleが望む形でサイトを構築しなければならないことである。そしてそれは多くの企業にとってあまりにも遠すぎる1つの橋なのだ。そしてそれは、他の検索プロバイダーや他のテクノロジーをベースに構築されたシングルページアプリケーションたちをどこに置き去りにしてしまうのだろうか?たとえばBingやDuckDuckGoのような代替のエンジンを使用したいユーザーを、どこに置き去りにしてしまうのだろうか?使い勝手の良さやサーバへの問い合わせの削減など、シングルページの設計には明らかなメリットがあるが、SEOの能力を損なうほどの価値はあるだろうか?

未来に目を向けて

これらの問題を抽象化してみると、これがどこに向かっているのかがわかる。検索 — 私たちのインターネットの中核であり、現在人類が依存している情報パラダイム — はダークマターの重みで崩壊する。私見では、私たちには2つの選択肢がある:

  • Google検索は残る。世界が必要性に応じて変化し、ダークマター生成装置が変わる。ネイティブアプリはSEO可能になる、あるいはウェブに移行する;シングルページアプリは検索を念頭に置いて開発されるようになる;そしてソーシャルネットワークは、検索エンジンに対して開かれる。
  • Google検索は死に、それを置き換えるための何か — ダークマターを検索することのできる何か — がやって来る。Appleがコンパイルされたコードのインデックスを行う検索技術を開発することを想像して欲しい。Facebookのソーシャル検索は、ソーシャルな領地のための望ましい検索に発展する。今日私たちが知っているウェブは、インターネットで出遅れた者たちの淀んだ場所になる。

どのシナリオが最善なのかと尋ねたくなるだろう。しかし、誰が勝ったかを知るのはいつのことだろう?

一般的なメディアが示唆していることにはかかわらず、多くのパラダイムシフトは、単一の重要な「ユリイカ」の瞬間には起こらない。それは単一のイベントではなく、進化なのだ。それらは最終的に巨大な問題を解決するために、多くの偉大な心によって捧げられた長年の仕事の集大成なのである。

Steven Johnsonが「隣接する可能性」と呼ぶ持続的な解決策につながるイノベーションの階段は、情報の未来を制御する戦いに誰が勝利するかに光を当てる戦場になる。次の10年間で、それは強大な技術王家間で争われる玉座を巡る戦いとなるだろう。

  • Google家とFacebook家はAngularとReactという武器を使いシングルウェブページとウェブアプリケーションを支配するために戦う。
  • Google家は、ECMAScriptの委員会でJavaScript言語のコントロールを試みてFacebook家を側面攻撃し、Facebook家はこれを避けようとする。
  • 別の戦場では、ディープリンクを使った擬似インデックス付きネイティブアプリのコントロールと正統性について、Apple家はGoogle家と角をガッチリと突き合わせるだろう。
  • そして、かつての栄光を取り戻すためにどこからともなく攻めてくるMicrosoft家の復活を目撃することになるだろうか?

Google家は王座を保持し続けるのだろうか?それとも私たちはGoogle家の没落とそれに続く、群雄割拠を目にすることになるのだろうか?

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(翻訳:Sako)