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かつては27億ドルだった費用が今や100ドル ― ゲノム解析のIlluminaが新製品を発表

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2003年に初めてヒトゲノムのDNAシークエンシングが行なわれたとき、その費用は27億ドルだった。しかし、DNAシークエンシングの巨大企業Illuminaは現地時間10日、1回につき100ドルの費用でゲノム解析ができ、「1日程度あれば」自分のゲノム解析結果を知ることができる新製品を発表した。

今日、Illumina CEOのFrank deSouzaはサンフランシスコで開催中のJP Morgan Healthcare Conferenceで新製品の遺伝子解析機械「NovaSeq」をお披露目した。彼によれば、NovaSeqは1時間もかからずにヒトゲノム全体を解析するという。

その凄さを明確にしておこう。この15年間のあいだに、かつて何十億ドルもの費用と10年もの時間を要したゲノム解析が、僅かなコストと1時間という短い時間をかければ可能となったのだ。

しかし、シークエンシングにかかるコストは当初から急激に低下していた。2006年にはIlluminaが30万ドルの費用でヒトゲノムのシークエンシングができる機械を発表している。同社がその費用を1000ドルまでに抑えたプロダクトを発表したのはつい昨年のことだ。

コストの急激な低下により、臨床研究の現場は多大なる恩恵を受けてきた。しかし、これまで以上に速くかつ低コストのゲノム解析が可能になることで、消費者向けビジネスにフォーカスするヘルスケア・スタートアップはNovaSeqに興味をそそられることだろう。がん研究などに従事するリサーチャーは、これまでにも豊富な遺伝子データにアクセスすることができた。一方で、23andMeやAncestryDNAなどのスタートアップによる遺伝子テストのおかげで、遺伝子研究に対する消費者の関心も高まってきた。また、アンジェリーナ・ジョリーなどの著名人は、Color Genomicsをはじめとする企業が提供するBRCA-1やBRCA-2などのゲノムスクリーニングによる乳がん予防への関心を高めることに寄与している。

サンディエゴを拠点とするIlluminaは、そういった消費者向けのテストを提供するスタートアップを背後から支えている。もし読者が23andMeのDNAシークエンシングを体験したことがあれば、それにIllumina製のプロダクトが使われていた可能性が非常に高い。

先ほど挙げたような遺伝子テストサービスの費用は、すでに数百ドル程まで下がっている。NovaSeqによって時間的なコストと費用が下がることで、より大きなマージンがとれるだけでなく、テストにかかる時間が短くなればより多くの顧客を獲得できる可能性がある。

NovaSeqには2つのモデルが用意されている ― 85万ドルのNovaSeq 5000と、98万5000ドルのNovaSeq 6000だ。

これまでに6つの企業や機関がNovaSeqを購入している。Chan Zuckerberg Biohub(Mark Zuckerbergと彼の妻であるPriscilla Chanが設立)、Broad Institute of MIT、Harvard、そしてバイオテック企業のRegeneronとHuman Longevity Incなどがその例だ。

しかし、現段階ではIlluminaはテスト1回につき100ドルという価格を実現できていない。さらに、データの解読にもまだ時間がかかる。もちろん、AI技術の急速な発達でデータの解読にかかる時間はさらに短くなるだろう。遺伝子テストのコストが大幅に下がったことも非常にうれしいニュースだ。

この発表のあと、Illuminaの株価は16%上昇した。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter