睡眠薬ではなくアプリを処方する未来——不眠症治療アプリのサスメドが1億円を調達

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次の日早く起きなければならないのに、布団に入ってもなかなか寝付けないという日もあるだろう。1日であれば問題はないが、不眠が慢性化すると昼間のパフォーマンスが落ち、仕事や日常生活に支障をきたす可能性もある。日本ではおよそ5人に1人が不眠症で悩んでいるという。サスメドが開発する「yawn」は不眠症の治療を目的としたアプリだ。サスメドは、本日Beyond Next Venturesからの約1億円を調達したことを発表した。

yawnは、認知行動療法に基づいて不眠症を治療するためのアプリだ。患者は毎日の睡眠時間や寝付くまでの時間、1日の行動、考え事などを入力していく。これらのデータをアルゴリズムで解析し、自動でその患者に合った対処法を提示することで不眠症の改善を促す。現在は臨床試験に参加している人のみ利用できるが、サスメドは2020年を目処に医療機器の承認を得て、医師が患者に処方できるようにしたい考えだ。

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データを活用したデジタル医学の確立

サスメドの代表取締役、上野太郎氏は睡眠医療を専門とする医師で、病院で診療にあたる他、睡眠の基礎研究を行ってきた人物だ。不眠症の原因は人によって違うが、テレビやスマホが普及したことは、不眠症に影響していると上野氏は指摘する。仕事から帰ってきて、夜遅くまでインターネットやテレビを見ている人は多いだろう。しかし、夜にパソコンやスマホ画面の人工的な光に当たると体内時計がズレて寝付きが悪くなり、不眠を引き起こす原因となると上野氏は説明する。

通常、不眠症の治療には臨床心理士による認知行動療法と薬物療法が用いられるという。認知行動療法とは、患者の物事に対する認知や行動に働きかけて病態を治療する方法だ。長期的には薬物療法より効果があるとされているが、臨床心理士が不足していることと現時点では臨床心理士は国家資格ではなく、保険適用ではないため普及が進んでいないという。一方で、日々の外来では、多くの睡眠薬を処方されている患者が訪れ、薬以外の治療法がない状態に疑問を感じていたと上野氏は話す。最初は薬物療法で治療を始めたとしても、並行して治療アプリを使うことで、この現状を解決することができないか考えたと話す。

不眠症に特化した治療アプリを開発した理由は、データ活用がしやすい領域なのも一つの理由だという。患者の入力データから行動パターンや睡眠パターンが分かり、それにより適切な治療が可能となる。また、不眠症をしっかり治療することで、うつ病などの精神疾患や高血圧、糖尿病といった疾患リスクを抑えることにもつながることが期待できる。実際、不眠症とうつ病を併発している患者の場合、不眠症を治療することでうつ病も改善するという研究結果もあるそうだ。

「スマホで詳細なデータがリアルタイムで取れる時代になり、デジタル医療が変わると考えています」と上野氏は話す。データがあれば、診療でこれまで不眠症と一括りにしていた症状でも、さらに細かく分類し、それぞれに合った治療法が提供できるようになると考えている。睡眠の治療から働く人の生産性の向上、そして社会保障費の適正化に貢献していきたいと上野氏は言う。

サスメドは2016年2月に設立し、2016年7月にはDeNAと住友商事の共同出資会社であるDeSCヘルスケアと業務提携を実施した。2016年9月より、複数の医療機関とyawnの臨床試験を進めている。順調に進めば、2020年を目処にyawnは医療機器として、医師が患者に処方できるようになるという。

今回の資金調達では、人材を強化し、サービス開発とビジネスの展開を図っていくと上野氏は話す。開発面では、Androidアプリの開発を進めるという。またyawnを治療目的以外にも、アプリの一部機能を切り出し、企業や健康保険組合が従業員の健康促進に用いられるようにすることも視野に入れていると話す。