ガジェット界の前例を覆す試み―、Motorolaが販売予定のないコンセプトモデルをお披露目

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ガジェット業界はここ最近新鮮味に欠け、つまらなくなってしまった。どれも同じような見た目の携帯電話や、GoProのコピーで溢れるアクションカメラ、さらにヘッドフォンはBeatsを真似たものばかりだ。どのメーカーも冒険するのを怖がり過ぎているし、発表後になかなか販売されない商品は勢いを殺してしまう。

しかしそんな状況を変えるべく、Motorolaが本日スペインで吠えた。Mobile Word Congressのプレス向けイベントで、同社は要するに発売するかもしれないし、しないかもしれない製品について発表したのだ。競合企業もこの考えを受け入れて、追従したほうがいいだろう。

昨年Motorolaは、スマートフォン「Moto Z」を発表した。この製品は、前から見るとこれまでのスマホと何ら変わりないが、背面にはアクセサリーが取り付けられる端子が搭載されている。既に(MotorolaがMoto Modと呼ぶ)Moto Z対応アクセサリーは数種販売されているが、具体的には今のところプロジェクター、スピーカー、カメラといったところだ。

本日のイベント内で、Motorolaは数ヶ月中に販売開始予定の新たなModsを発表したが、それ以外にも販売”しない”かもしれないMod(=コンセプトモデル)のお披露目も行った。コンセプトモデルの中には、Moto Mod VRヘッドセットや写真プリンター、インタラクティブLEDパネル、さらに携帯電話で何かをつくるためのレゴのようなModもあった。これらのコンセプトからは、既成概念にとらわれない製品を作ろうというMotorolaの気概が感じられ、私はとても嬉しかった。

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コンセプトモデルの考え方は、ガジェット業界ではあまり馴染みがない。大手メーカーは単純に、リリース予定のない製品について話をしないのだ。しかし自動車メーカーは長きにわたって、コンセプトカーを通じてデザインの意匠を主張したり、ファンを盛り上げたりしてきた。

自動車の展示会を思い浮かべてみてほしい。1番面白いのは、新しいトラックやスポーツカーではなく、コンセプトカーだ。一方で消費者は、コンセプトカーが製造もされなければ、自分たちは購入できないことも理解している。つまりコンセプトカーは展示会専用の車だ。

自動車メーカーは、コンセプトカーを使って自分たちのロードマップを披露しようとしている。彼らの現状は生産されている車が表現している一方で、会社がどのような方向に進もうとしているかというメッセージを、彼らはコンセプトカーを使って消費者に伝えてきたのだ。ガジェットメーカーもこの考え方を採用しない手はない。

過去数年のMotorolaは、地獄のような日々を味わってきた。2011年に会社がふたつに分断され、2012年にようやくGoogleが携帯電話部門を買収したものの、2014年にはさらに同部門がLenovoに売却された。当時のMotorolaは起死回生のための商品を渇望しており、ミドルレンジのスマートフォンMoto Gがそれに近いものとなった。Moto Gは驚く程売れたわけではないが、少なくとも多くの市場でMotorolaはマーケットシェアをある程度獲得することができた。

一方Moto Zは、Galaxy SやLG Gシリーズの競合製品で、他社の製品より本質的に優れているというわけではないが、趣の異なる製品だ。そして競合製品と違うというのはいいことだ。MotorolaがMoto Zのモジュラーエコシステムに力を入れているのはハッキリと伝わってくるし、コンセプトモデルのお披露目によって、同社がどのような方向に進もうとしているのかもわかる。

例えばあなたが、MotorolaかSamsung、もしくはKickstarterから誕生したスタートアップのエンジニアだとして、絶対売れると自信を持っている製品を開発したとしよう。細部まで完成されていて、さまざまな消費者に愛されるであろう製品だ。しかしその完成に至るまでには、もっと注目されてもよかった派生物のような製品が試作されていたはずだ。おそらくその試作品はベストセラーにはならないだろうが、あなたのような優秀なエンジニアもしくはデザイナーが少し手を加えれば、素晴らしい製品になる可能性を持っていて、あなたも面白そうだから試作品を人の目に触れさせたいと感じている。しかし残念なことに、会社との秘密保持契約のせいでプロトタイプやデザイン案は全て破棄しなければならない。このような状況を考えると、コンセプトモデルはエンジニアやデザイナーの創造力のはけ口としても使えるかもしれない。

私がよく知るメーカーは全て、社内でコンセプトモデルや初期の試作品を回覧している。開発段階でプロトタイプが上層部まで送られ、その後エンジニアの手に戻ってくるのだ。これも消費者の手元には届けられないが、良しとされている。しかしMotorolaや自動車メーカーの例を見てみると、リリースされない製品にも価値があることがわかる。私自身、Appleが開発を試みたがリリースされなかったアイディアを集めた本があれば、是非手に入れたい。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter