社員数は3倍、投資額は2倍に引き上げ―、Airbnbが中国市場に攻め込む

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中国進出に失敗した欧米テック企業の長いリストに、最近Uberが加わったように思われたが、Uberと共にギグエコノミーの寵児となったAirbnbは現在同国に攻勢をかけようとしている。

本日同社は、中国事業の新たなブランド名と旅行サービス機能Tripsの中国でのローンチについて発表した。さらに、Airbnbは中国でのプレゼンスを高めるために、現地にいる社員数を3倍、投資額も2倍に引き上げていくとも語った。

まず、China Broadband CapitalやSequoia Chinaらを株主に持つ現地法人Airbnb Chinaは、サービス名を“Aibiying”(爱彼迎)へと変更した。Airbnbによれば、この名前には「愛を持って互いを迎える」という意味があるようだ。

Aibnbは現在中国でのビジネスに力を入れています。この度、現地での名称を「愛を持って互いを迎える」という意味の爱彼迎 (Aibiying)へと変更しました。

一方Tripsとは、旅行中のユーザーが観光情報を入手したり、アクティビティの予約をしたりするためのサービスだ。中国最初の都市として、上海の情報が現在公開されており、Airbnbが注目しているもうひとつの市場であるインドのデリーでも最近同サービスが公開された。

Airbnbによれば、現在同社のプラットフォームには191ヶ国から約300万軒の物件が登録されており、そのうち約8万軒は中国国内の物件だ。さらに、これまでに中国の物件が利用された回数は、160万回にのぼるという。

中国は旅の目的地としても人気が高い一方で、中国人旅行者も世界から注目を浴びている。最近発表された、VISAが共著したレポートによれば、昨年の中国の旅行関連消費額は1370億ドルだった。この数字はこれから10年間で87%も増加すると予想されており、その頃の中国の旅行関連消費額はアメリカの倍、さらにはイギリス・ロシア・ドイツの消費額を足したものより大きくなると言われている。

Airbnbも、これまで530万人の中国人観光客が世界中のAirbnb物件を利用しており、2016年の1年間だけで、中国人旅行者による海外のAirbnb物件の利用数が142%も伸びたと話している。

このような背景もあり、同社は現在60人いる現地子会社の社員数を3倍に増やして、現地でのプレゼンスを高めようとしているのだ。また中国は、Airbnbがアメリカ国外で唯一開発拠点を置いている国でもあり、同社は開発スタッフの増強に注力しながら、中国事業への投資自体も2倍に増やすと語っている。

「これまでとは違うスタイルで世界中を旅行したいと考えている、新しい世代の中国人旅行者は大勢います」とAirbnb CEOのBrian Cheskyは声明の中で語った。「AibiyingとTripsが彼らの共感をよび、これまで無縁だった世界中の人やコミュニティーや地域を、彼らが訪れたいと思えるようなサービスを提供できればと私たちは考えています。Airbnbの中国事業がこれからどうなっていくかとても楽しみです」。

最近Airbnbが310億ドルの評価額で10億ドルを調達したと報じられ、さらに興味深いことに、その際2016年の下期は黒字だったことがわかった。リーチや売上という意味では、同社はこれまでとは違う地域に注目しはじめたようだが、依然中国では劣勢に立たされている。Airbnbに比べるとずっと低い10億円の評価額がついている地元企業のTujiaは、国内のAirbnbのコピー企業を駆逐しながら、中国トップの座を狙っている。

Expedia傘下のHomeAwayとパートナーシップを結んでいるTujiaによれば、現在プラットフォームには40万軒の物件が登録されており、同社は物件のオーナー・ユーザーの両方に関して中国市場を狙い撃ちしているという。Airbnbも最近Alipayでの支払いやWeChatのサポートを開始した一方、Tujiaは中国人旅行者の期待に沿うようなサービス重視のアプローチをとっている。具体的には、チェックイン専門の担当者や清掃担当者の配備や、さらに物件管理さえ行っていると、CEOのMelissa Yangは2015年のインタビューで語っていた

中国を訪れる欧米の旅行者にとっては、引き続きAirbnbが第一候補になるかもしれないが、Tujiaは徹底的に中国人旅行者のニーズを満たすことを目指しており、Airbnbのライバルで2015年に39億ドルでExpediaに買収されたHomeAwayとのパートナーシップを通じて、海外の旅行者にもリーチできる可能性がある。そうは言っても、Airbnbは中国を除く世界のほぼ全ての国を支配しており、特に中国で失敗を繰り返してきたアメリカの大手テック企業のことを考えると、今後同社の動向からは目を離せない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter