オンラインでのカスタマージャーニーはカスタマー体験のほんの一部に過ぎない

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ここ何年もカスタマー体験を管理することで企業が得られる利点について聞いてきた。カスタマーについて詳しく理解するほど、適切なコンテンツ、プロダクト、サービス、さらにはカスタマーに関連する(少なくとも理解できる)広告を提供できるという話だ。

現代のマーケティングソフトウェアは、そうした理想を現実のものに近づけている。

しかしブランドとコンシューマーのストーリーにおいて、テクノロジーはほんの一部にしか過ぎない。オンライン上の行動からカスタマーのことが分かったからと言って、企業がその人との対面する場でもスマートに価値がある関係性を築けるとは限らないのだ。企業はオンラインで得た知見を、カスタマージャーニーの全ての過程に適用する必要がある。しかし残念ながら、必ずしもどの企業もそれができているとは言えない。

信頼の問題

ユナイテッド航空での出来事とそれに続いたPRの失敗を例に挙げよう。ユナイテッド航空はカスタマーを飛行機から引きずり下ろしただけでなく、既存のロイヤルカスタマーや潜在的なカスタマーとの信頼関係までも壊してしまった。

ユナイテッド航空の例は、テクノロジーの力でオンラインの文脈でのカスタマーのウォンツやニーズを知るだけでは足りないということを示している。企業は、オンラインで得た知見を対面でのエンゲージメントにも応用しなければならない(もちろん、常識的に考えて行動することも良いことだ)。

成功している企業を見ると、企業がどこでカスタマーと接点を持つかに関わらず、企業の活動や選択の中心にあるのはカスタマーであることが分かる。アマゾンのCEOであるJeff Bezosは株主に宛てた手紙で「執拗なカスタマーフォーカス」が会社とブランドに付いて回る衰退の道とを分ける唯一の要素と記した。

セールスフォースもカスタマー満足に固執する企業だ。セールスフォースの会長でCEOのMarc Benioffは定期的に会社のコアバリューについて話をしている。コアバリューの内の1つは信頼で、信頼がなければビジネスを行うことは不可能だと彼は述べている。

カスタマーとの間で起きた一連の不名誉な出来事から、ユナイテッド航空はそのように考えていなかったのは明らかだろう。今回の一件は特に目立つものだったが、どの企業も教訓として捉え、オンラインでも対面の場でも、すべてのカスタマーとの接点で、すでに得たユーザーに関する知見を活用できるようにすべきだと言える。

テクノロジーは答えの一部に過ぎない

マーケティングテクノロジー企業は、企業がカスタマーのことをより詳しく理解するためのサービスを提供している。セールスフォースは、セールスからマーケティング、サービスに至る企業とカスタマーとの全ての接点におけるあらゆる要素を洗い出すソフトウエアを提供している。同社はカスタマーに最良の体験を届ける重要性について度々発信している。

今月初旬、セールスフォースのBenioffがワシントンDCで行ったプレゼンで、彼は増加傾向にあるインターネット接続端末からのシグナルをブランドがいかにカスタマーの理解に役立てることができるかについて話した。「全てのものがインターネットにつながる時、それらは全て中心にあるカスタマーに帰着します」。

彼が言っていることは正しいし、彼の会社やその他の会社もブランドがそのような状態になることを後押しをしている。しかし、毎回そうして集めたデータをうまく活用し、従業員がカスタマーと接するその瞬間に必要なデータが手元にある状態とは限らないだろう。テクノロジーはパズルを解くピースの1つに過ぎないのだ。

企業がより多く、詳細な情報を持ってカスタマー対応ができるようにするソフトウェアを販売している企業はセールスフォースだけではない。ちょうど今週、カスタマーのソーシャル上のシグナルを理解するサービスを展開するSprinklrは、新しくExperience Cloudというプラットフォームをローンチした。

数週間前には、 Adobeが同名のマーケティングプラットフォームをリリースしている。この2つのプロダクトがそれぞれ焦点としている分野はやや異なるものの、どちらもユーザーが彼らにとって重要なカスタマー体験を管理するためのプロダクトという点で共通している。つまりカスタマーが要望を表明していなくても、それを理解し、サービスを提供できるようにしている。

従業員に裁量を与える

ユナイテッド航空の出来事から学んだように、テクノロジーはスタート地点に過ぎず、データベースに膨大なデータがあるだけでは、ある程度しか役に立たない。カスタマーはどこかのタイミングで店舗に来店したり、飛行機に搭乗したりするだろう。その時、対面での対応でもカスタマー中心の体験を届けられるようにする必要がある。オンラインで得た知見を従業員と共有し、彼らが大事なカスタマーに対応をする時、適切な判断ができるよう裁量を与えなければならない。

アマゾンやセールスフォースがカスタマーを中心とするアプローチに固執するのは、それぞれのCEOは、ブランドとカスタマーとの関係性が自然に発生するものではないということを深く理解しているからだ。ユナイテッド航空のようにその関係を傷つけることは、これまで多大な労力をかけて築いた信頼関係を一瞬で壊すことに直結しかねない。

カスタマー満足のためにコミットすることが重要だ。マーケティングテクノロジー企業がそれを良く理解しているのは、それが彼らの販売するプロダクトと深く関っているからだろう。とりあえずテクノロジーを使ってみるだけでは課題は解決しない。従業員に知見を共有したり、研修を実施したりすることで、それを現場の仕事に活かすことが重要なのだ。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website