IBMの株価が急落 ― 20四半期連続の減収をうけて

次の記事

AeroMobilが同社製飛行車の‘初版’の予約販売を開始、納車は2020年以降だ

IBMが抱える問題をどう解決すべきだろうか?

米国時間18日、IBMが決算を発表し、同社が20四半期連続の減収だったことが明らかになった。四半期ベースの純利益はアナリスト予測を上回ってはいるものの、それは同社の株価を支える要因とはならなかったようだ。

IBMの株価は決算発表後の時間外取引で急落。その後も株価回復の兆しは見えず、結果として前日比5%(8ドル)安で大引けを迎えた。

Motley Foolが述べているように、今回の決算発表が引き金となりIBMの時価評価額から約90億ドルが失われた。ダウ平均株価も64ポイント下落することとなった。

減収の原因となったのは同社のコンサルティング・ビジネスだ。IBMは1990〜2000年初頭にかけてこのビジネスから巨額の利益を得ていたが、現在、この事業から得る収益は減少し続けている。

ひとまず、決算の概要を伝えておこう。Thomson Reutersによれば、1株あたりの純利益はアナリスト予想の2.35ドルに対して2.38ドルだった。その一方、売上高は181.6億ドルに下落。ウォールストリートの予想は183.9億ドルだった。

決算概要

昨年と比べると、1株あたりの純利益は1%増加し、収益は3%下落したことになる。

明るいニュースもある。同社のクラウド事業は快調で、収益は昨年から33%増加した35億ドルだ。

しかし、アナリストが懸念しているのは、収益だけを見ればIBMとAmazonは拮抗しているものの、IBMがAWSやAzureの成長スピードに追いつけていないという点だ(最新の決算発表によれば、AWSは昨年比47%のスピードで成長している)。

僕の友人がFacebookに投稿していたように、「クラウド事業に何億ドルも費やしても本屋に勝てないなら、それを努力と呼ぶことはできない。悪いサインなのだ」。

しかし、この決算を見て、IBMが「戦略的インペラティブ」と位置づけるビジネスに成長の兆しが見えてきたと解釈するBig Blueファンもいるだろう(IBMは2015年に同事業のリストラクチャリングに着手した)。

IBMの発表によれば、クラウド事業が属するセグメントの収益は78億ドルで、昨年と比べて12%増加している(為替調整なし)。また、同社のコグニティブ・ソリューション・ビジネスは昨年比2%増の41億ドルとなっている。

IBM CEOのGinni Rometty氏は今年はじめ、これらの戦略的インペラティブから得た収益が2016年度の収益全体の40%以上を占めると話していた。

痛みの原因

IBMが減収となったのは、コンサルティング・ビジネスや、ハードウェアやインフラの売上が不調だったことが原因だ(予測されていた通り、クラウド事業とハードウェア事業のカニバライゼーションが起きている)。

また、IBMはR&Dに例年より多くの資金を投下している。前年比は14.6億ドルだった研究開発費が15.3億ドルに増加しているのだ。ただ、それでも巨大テック企業としては心もとない数字ではある。

長年、IBMのR&D部門は素晴らしいテクノロジーを生み出してきた。しかし、Microsoft、Google、Amazonといった強敵と競うためには、(誰もこんな風に呼んでいないけど)「Beast from Armonk」と呼ばれるこのR&D部門がかつての権威を取り戻す必要があるだろう。HuaweiやAlibabaが台頭する今ではなおさらだ。

しかし、IBMが大きな変身をするのはこれが初めてではない。100年以上前に創業されたIBMは、これまでに何度も大改革を成し遂げてきた。2005年にはコンピューター事業を中国のLenovoに17.5億ドルで売却 ― そして、その約10年後にはサーバービジネスも同じくLenovoに21億ドルで売却している。

これらはすべて、IBMにとって初の外部招請CEOであるLouis Gerstner氏がその約10年前に構想したリストラクチャリング計画の一部だった(思い返してみれば、IBMの経営者をRJR Nabiscoから引き抜いてしまったことはベストアイデアとは呼べなかったかもしれない)。

ウォールストリートが求めるもの

アナリストたちは、Rometty氏が2年前に開始したリストラクチャリングの行方に注目している。Barronsが発表したレポートによれば、アナリストが最も注目するのはIBMの売上総利益率だという。BarronsはMorgan StanleyのアナリストであるKaty Huberty氏の言葉を引用している。

売上総利益は、IBMが2015〜2016年にかけて行った大規模投資の結果を見極めるための最良の指標だと考えています。もし、今年後半の決算発表においてセグメントの売上総利益に改善が見られなければ、他のソフトウェア関連株と比べても低い株価収益率がつくことになるでしょう。私たちが想定した目標株価142ドルのケースです。

つまり、IBMにまだ競争力があるということを示すためには、改善された売上高総利益率をもってビジネスが本当の意味での収益を生み出していることを証明する必要があるのだ。

もはや、投資家を納得させるために自社株買いなどの小手先の策に頼ることはできない。

希望の光はある。セキュリティ、コグニティブコンピューティング、クラウドコンピューティング、AIなど、IBMの「セクシーな」ビジネスは着実に顧客を獲得しつつある。しかし、この好調さがどこまで続かどうかは、IBMが小成に安んずることなく、前進を続けられるかどうかにかかっている。

長年の間、アメリカのテクノロジー業界を牽引してきたBig Blueが躓いているところを見ると心が痛む。しかし、Romettyが沈みかけた船を修復してくれると主張する前向きな意見もたくさんある。彼女に十分な時間が残されていれば、という話だが。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter