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古地図やイラストの情報をGPSと連動する「Stroly」開発元が総額1.4億円を資金調達

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地図と情報というと、商圏分析によるマーケティングや防災など、ちょっと堅めの活用方法を思いつきがちだけれども、IngressやポケモンGO、あるいはブラタモリの人気を見れば分かるように、もともと地図や位置情報って、それだけでも“楽しい”ものだと思う。2月にα版がローンチされた「Stroly(ストローリー)」は、イラストマップや古地図とGPSとを連動させて、地図の裏側にある“楽しさ”を垣間見ることができるサービスだ。

Strolyを開発したのは京都発のスタートアップ、ストローリー。同社は5月17日、大和企業投資、京銀リース・キャピタル、フューチャーベンチャーキャピタル、中信ベンチャーキャピタルの各社が運営する各ファンドを引受先とした総額約1.4億円の第三者割当増資の実施を発表した。今回の資金調達はシリーズAラウンドにあたり、ストローリーにとっては、初めての外部からの調達となる。

街歩きが楽しくなる地図のプラットフォームStroly

Strolyについては、2月のローンチ時の記事に詳しいが、ここで簡単に説明しておくと、縮尺や方位、位置情報が正確でない古地図やイラストマップでも、緯度・経度情報と照らし合わせて連動させ、現在地や地図上のポイントを表示することができるプラットフォームだ。スマホ上で表示させれば、江戸時代の地図を表示させながら街をぶらぶら歩く、なんてこともできる。

上野の森の錦絵にStrolyで位置情報をプロットしたもの

Stroly公開の前には、50くらいの自治体を顧客とした受託開発による、古地図と連動した地図の提供が多かった。しかし、案件ごとに個別にアプリを開発していてユーザーが横断的に利用できるものがなかったため、さまざまな機能を網羅したプラットフォームとしてStrolyを開発したという。

Strolyは企業や自治体向けでは、主にブランディングツールとして利用され、地図好きの商店主が参加する商店街や、街の文化保存会などで、街おこしに利用されるケースも多いそうだ。2月のリリースからこれまでに、京阪電車の1日乗り放題チケットの特典イラストマップや、上野文化の杜のイラストマップ古地図(江戸切絵図)錦絵に対応させたもの、神田祭の現代の巡行路明治初年の巡行路などが提供されている。

神田祭の巡行路(左が現代、右が明治初年のもの。明治の地図は皇居を上方向として書かれているため、北が右手になっている)

Strolyでは、自作のイラストマップを取り込んで正確な地図の位置情報と対応させ、オリジナル地図として表示することも可能だ。屋外の情報であれば、イラストでも古地図でも地図さえあれば(その地図のライセンスに問題がなければ)、どこでもGPS情報とマッピングでき、地図を多数持つ地図好きの有志とのコラボレーションによる、さまざまな地図の取り込みも進めているという。

地図を通して多様な世界の見方ができるプラットフォームへ

ストローリーは2005年に国際電気通信基礎技術研究所の社内ベンチャーとして始まり、2016年にMBOを経て、独立した。今回の調達資金は企業・自治体などのビジネス利用の促進と、開発のための人材確保に投資するとしている。開発では、Strolyに投稿された地図の利用状況をユーザーが見られる機能の将来的な実装や、ロックフェスティバルなどの大規模イベント会場での利用にも耐えるインフラ整備なども検討しているそうだ。また海外への進出もにらみ、多様な価値観を持つ、いろいろな国籍の人材を採用するとして、既に2名のフランス人を社員に迎えたという。

ストローリー代表取締役社長の高橋真知氏は、Strolyの目指す世界について「地図を通して、世界の多様な見え方をシェアできるプラットフォームにしていきたい」と話す。

地図とは元来、恣意的な位置情報を平面に表現したものだ。今や、戦時中には手に入れることもできなかった“正確な”地図が提供され、地図アプリで現在地まで分かるようになったが、地図の後ろに隠れたストーリーは簡単には見えてこない。Ingressのキャッチフレーズ「The world around you is not what it seems.(あなたの周りの世界は見たままのものとは限らない)」ではないけれども、“正しい”地図が必ずしも、その土地が持つ全ての顔を見せてくれるものとは限らない。

高橋氏は「そこに住んでいる人はその土地をどう見ているのか、過去の人はどう見ていたのか、未来にはどうなっていくのか。そういった情報はGoogle Mapだけでは意外と見えてこない。地図を通して街の新しい発見ができて、地域とのコミュニケーションにつながるようなサービスを提供したい」と言う。

「最終的には世界中から地図が投稿できるようにして『地図を投稿する文化』を創りたい。YouTubeがローンチした当初はみんな『誰が動画をアップロードするんだろう?』と思っていたはずだけれども、今では誰もが簡単に動画を投稿して、観光PRなどでも使われている。そんな感じで地図についても、みんなが緯度・経度の情報が付いたものをどんどん投稿するようになればいい。地図がトップダウンで提供されるものから、ボトムアップで共有されるものになればいいと思う」(高橋氏)