セキュアなデータ連携技術を開発するPlanetway、孫泰蔵氏率いるMistletoeから資金調達

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データ連携技術の「avenue-cross」などを展開するPlanetwayは5月26日、孫泰蔵氏がCEOを務めるMistletoeから資金調達を実施したと発表した。金額は非公開。

Planetwayは現在、IoTの新規事業創出に特化したプラットフォーム「avenue」を開発中。同社は開発拠点をエストニアに置いており、「avenue」のコアテクノロジーであるCross-Industry Data-Access(複数業者間でのデータ連携)に特化した「avenue-cross」を展開中だ。

Planetwayが注力するavenue-crossは、分散型のデータ連携を可能にするデータインフラ。avenue-crossに使われているテクノロジーは、エストニア政府の国民番号制度に利用されている技術にPlanetwayが独自開発を加えたものだという。

avenue-crossの最大の特徴は、セキュリティとデータの完全性を証明した状態でのデータの相互連携が可能であり、さらにアクセス履歴の完全な追跡も可能という点だ。また、このような特徴をもつavenue-crossとブロックチェーン技術を組み合わせることで、これまでは情報の秘匿性などの理由でデータの活用が難しかった領域・業種を含め、様々な業種間におけるデータ活用を実現できるという。

情報の秘匿性が求められる分野の例として考えられるのが保険業界だ。

東京海上日動火災保険(以下、東京海上日動)は2017年1月24日、Planetwayと共同でavenue-crossのテクノロジーを保険業界に適用するための実証実験を開始すると発表している

保険業務で取り扱われるのは、契約内容や医療情報など秘匿性の高いデータが多い。そのようなデータを異業種間で活用するためには従来の暗号化技術では不十分であり、よりセキュリティ性の高い新しい技術が求められていた。

この実証実験では、福岡地域戦略推進協議会(FDC)との協力のもとで福岡市域の医療機関との連携が実現した。東京海上日動は、顧客の入通院期間などの医療情報をブロックチェーン技術を利用して医療機関に要求する。この時、医療機関と共有するのは取引情報だけであり、秘匿性の高いデータは公開しない。

次に、医療機関は求められたデータをavenue-crossを通じて東京日動海上に提供する。これにより、データに対するセキュリティを確保しつつ、保険金支払い業務の簡略化が可能かどうかを検証するという。

そして今回、Planetwayがもつデータ連携技術に目をつけたのが、孫泰蔵氏率いるMistletoeだ。孫氏は今回の出資について以下のようにコメントしている:

「Planetwayに注目した一番の理由は、そのシステムが、データの『主権』を個人に帰属させることを可能にすると思ったからです。単純にデータをセキュアな環境でやりとりする技術なら他にもありますが、Planetwayが実現しようとしているのは、データの主権を個人に帰属させるインフラを創ることです。これにより、自分が好きな時に好きなデータを第三者に共有でき、そのデータはセキュアに扱われ、自分や社会に好ましいように活用されるようになる。我々は、Planetwayの理念と技術力が21世紀の社会に大きなインパクトを与えることができると、強い可能性を感じています」。

また、彼は「Mistletoeは、このたびの出資にとどまらず、今後Planetwayとパートナーシップを結び、この新しいインフラを作り出すサポートをしてゆきたいと考えております」とも加えており、今後この2社が共同でビジネスを展開していく可能性も示唆している。

Planetwayの創業は2015年7月。創業者兼CEOは日本人の平尾憲映氏だが、本社はカリフォルニア州サンノゼに置いている。同社は今回調達した資金を利用して、「avenue-cross」事業強化の為の人材採用、プロダクト開発及びマーケティング強化を目指すとしている。