Googleがスマートホームで存在感を示すためには

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去年のI/Oで発表されたとき、HomeはまるでEchoエコーの成功に便乗しようとしているかのように感じられた。そしてこの1年の間にも、その懸念は払拭されては来なかった。同社は今年のイベントで、HomeとAssistantにいくつかの追加をアナウンスして、先行するAmazonとの距離を縮めようとしているが、Google Home全体の歩みは相変わらず緩慢で無目的なものに感じられる。

Googleが、切り札として出したと考えていたモバイル上のAssistantも、それほどの助けにはなっていない。昨年10月にPixelを立ち上げて以来、音声ヘルパーは依然限られた範囲にしか用いられていない。Amazonが、HTCやHuaweiなどの企業による携帯端末を採用する一方で、Samsungをはじめとする他の企業たちは、単に家庭内のそれほど賢くもない独自アシスタントを生み出しただけだ。

GoogleにとってAssistantが、普及に時間がかかっている代物であることは明らかだ。同社は、本当に素晴らしいものを構築できる技術基盤と機械学習能力を持っている。今のところ、Alexaに対する優位性はあまり見受けられないが(まあもし迷惑な望まないオーディオ広告や、こちらの油断を突いてくるようなテレビ広告によってうんざりすることを無視できるのならということだが…)、Assistantをできるだけ広範囲の場所に届けたいというのが、今でも同社の最大の関心事の1つである。

その旗をスマートホームの中に打ち立てたいと願う同社にとって、Homeは明らかにそのパズルの大きなピースのひとつだ。しかし業界の見通しによれば、Googleの遅いスタートはあまり上手く行っていない。最近のアナリストの見積もりによれば、現在3500万台程度出回っているこの種のデバイスのうち、Homeは23%程度を占めているに過ぎない。一方Amazonのシェアは70%前後で推移している。

昨年Sundar Pichaiは、AIを使ってGoogleが目指すのは「だれでも、どこでも使える、パーソナルGoogleの構築である」と述べた。しかし、その願いの裏にある真意は、コンピューティングがもはやデスクトップに縛られるものではなく、急速にあらゆる種類の競合デバイスやインターフェイス(Amazon Echoのような)の上に分散化していることに対する危機感だ。Googleに迫っている戦略上の喫緊の課題は、その検索ビジネスの未来が、人びとがどこにいてどんなネットワークを使うにせよ、その手と声が届く範囲で、検索アルゴリズムがこの先も有効なのかという点なのだ。もしそうでなければデジタル検索が「ググる」とまで言われるようになった強い立場を失う危機に見舞われることだろう。

だからこそマウンテンビュー(Google)はスマートホームをチャンスとして掴み取ろうとしているのだ。この方面での消費者の動向は否定できないリスクを孕んでいるからだ。伝統的な検索よりも声による検索を好むやり方へのシフトは、Googleを脆弱なものにしてしまう。何故ならインターネットを整理するための最良のアルゴリズムが、自動的に最良の(もしくは最も人気のある)音声アシスタントになる訳ではないからだ。

AmazonのAlexaのように、広大な電子商取引市場にプラグインできて、(Alexaが努力し続けているように)機能を拡張するためにあらゆる種類のサードパーティサービスに手を差し伸べることができれば、ソファに座っている平均的な人間にとって声で呼び出せるGoogleは明らかにより魅力的なものになるだろう。Alexaはこうしたスキルのほとんどを今すでに持っている。

そしてより多くのライバルもやってくる。先週始め、Andy Rubinが主導するEssentialも、スマートホームに参入する独自の計画を発表した。そして今週、AppleはWWDCで、噂のSiriスピーカーに関する大きな発表を行うと思われている。とは言えAppleはAppleなので、彼らはプレミアム層への訴求にこだわることだろう。すなわち制御マニアだけではなくオーディオ愛好家のためのデバイスを発表するということだ。なので事態は厳しくなる一方だが、Googleにはスマートホームのメインストリーム市場の大きな部分を手に入れるための策を練る余裕はまだ持っている。そしてこれは、これまでの検索ビジネスからなんとか絞り出す努力を減らしていけるチャンスなのだ。

OK、Google …

  • スマートホームシナジーを活用しよう: Googleよ、すでにNestを所有しているのに、Assistantの福音を広めるために何故それを使わないのか?最近行われたAmazonのEcobeeとの提携のように、NestプロダクトとAssistantの統合には何の難しい点もない。そしてそれはサードパーティの統合に限った話でもない。Assistantを直接プロダクトに組み込もう。GoogleはTVやAndroid Wearサービスで似たような動きをしてきているが、マイクアレイをサーモスタットや煙感知器に組み込むことは、個別のHomeユニットを売り込むことなく、Assistantを家の中に送り込むことのできる簡単な方法だ。
  • より小さくて安いHome:これも簡単な話だ。もしそうしたいなら、Google Home Dotと呼ぶこともできる。私たちは、そのようなデバイスが秋のリリースに向けて開発中であるという噂を聞いている。現時点では、バックエンドのAssistantで差別化をしようとするよりも、Googleは価格的優位性を維持しなければならないだろう。ハードウェアがしばしば損失を招いているGoogleにとって、これは厳しい競争だ。しかしもしGoogleがユーザーたちをAssistantに素早く取り込みたいのなら、Amazonの価格と拮抗するために、50ドル程度の価格の何かを提供しなければならないだろう。
  • バンドル:より好ましい方法は、Google Homeを無償で提供する手段を見つけるということだ。例えば、Pixel/Homeバンドルとか。私たちはGoogleが、こうした線に沿ってプロットを描いているという噂も聞いている。わかっている、様々な観点から眺めても、(売上という意味で)Pixelはヒットしているとは言えない。しかし無償のHome Dotを投入することで、この事態を改善し、Googeのハードウェア部門に勢いをつけることになるだろう。競合相手は既にこうしたバンドルを提供している、例えばSamsungはGalaxy S8にGear VRを無償でバンドルしている。バンドリングは、普及のためには大きな力となる。この方法を使えば、まだ決してメインストリームではないこうしたデバイスを、自分では買うつもりのない人たちのリビングルームに送り込むことができるのだ。そしてまだこうしたデバイスの存在すら知らない人に届けることもできる。
  • サードパーティの統合を奨励:私たちはサードパーティが提供するサービスが、Alexaに欠けている機能を補っているところを目にするようになってきた。このことでAmazonのスマートアシスタントがリーチできる範囲が大いに広がる可能性がある。現実的には、このことはAndroid Wearを介してすぐに実現されようとしている訳ではない。Appleがウェアラブル部門を制している(少なくとも現段階では)。だからもっと積極的に行こう、Google。AmazonがConexantと行った共同開発から学べる重要なレッスンがある。この共同開発によって生み出されたマイクシステム開発キットは、各企業がプロトタイプを作ったり、機が熟したならば製品に組み込めるオンボードマイクを開発したりできるようにするものだ。また、明らかにAmazonブランドは消費者への大きな訴求力を有しているが、それが多くのサードパーティたちにGoogleよりもAlexaを支持させる理由になっている。Googleが表明したAI Assistantを「どこでも、だれでも助けるものにする」という目標は、その野望の範囲と規模を表明したものでもあるのだ。GoogleもまだGoogleなのだ。多くのAndroidユーザーにとって、多くのさまざまなIoTデバイスで同じAI Assistantを使える点は、強力なセールスポイントになるはずだ。

今のところ、Amazonの、声AIによる慎重で長期に亘る策略と、Echoによるスマートホームの先行によって、Googleの検索ビジネスがどれほど毀損したのかは分からない。こうした常時聴き取り型の家庭用AIの普及が、まだまだ低いことを考えると、この先まだチャンスは沢山あるだろう。とはいえいまでも端末に向かって命令を叫ぶ形態が多くのひとにとって魅力的なのかどうか、という疑問は残されているのだが。少なくともAIスピーカーがスマートフォン規模の社会現象になることはなさそうだ。しかしAmazonはAlexaが利便性を提供する人びとすべてを納得させようと、急速にそのハードウェアラインを拡張している。相手がファッション愛好家でも家族に心を砕く家庭人でもお構いなしだ。その一方で、Dotは価格面での参入障壁を下げている。

Jeff Bezosとその会社は、Googleのハードウェアビジネスの方向性の欠如によって助けられていることも明らかだ。ある情報筋が私たちに語った処によると、Googleのハードウェアビジネスは「非常に混沌としており」そして「混乱している」ようだ。お互いのことを知らないハードウェアチーム同士が同じプロダクトを作ってしまうこともあるらしい。そして、マウンテンビューの会社が、そのAssistantをスマートフォンを超えて普及させるにはどうすれば最善なのかを検討するのに苦慮している間に、Amazonはスマートホームでの優勝に目標を絞っていることが明らかなのだ。

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(翻訳:Sako)