徒歩5分圏内で探している目当てのモノが見つかる「Pathee」、シリーズAで3億円を資金調達

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Googleとスマホがあっても難しい検索がある。新宿駅を降りて「この辺でボールペンの替芯が買えるところは?」というような場所に関連した探しものだ。もっと難しいのはカレンダーを買うような場合。自分がほしいタイプのカレンダーを扱っているのは文具店かもしれないし、雑貨屋かもしれない。探しているのは「文具店」という店舗情報ではなく、具体的な商品ジャンルなのに、いまは探す手立てがないのだ。

これは徒歩5〜10分圏内にあるはずなのに、既存の地図アプリや検索エンジンで探すとなると30分くらい多数のページを行ったり来たりすることになる問題と言い換えてもいい。その解決に挑戦しているのが空間検索エンジン「Pathee」を開発するスタートアップ企業のトライトゥルーだ。

トライトゥルーは今日、Fidelity系投資ファンドのEight Roads Ventures Japan、関西の朝日放送のCVCであるABC Dream Ventures、既存投資家である大和企業投資から合計3億円の資金調達を実施したことを発表した。これまで同社は2014年にオプトベンチャーズから1.3億円を調達しているほか、2012年のシード期にサムライベンチャーズから数百万円規模の資金調達を実施している。

ふとした思い付きから生まれた新サービス「Patheeまとめ」に手応え

トライトゥルー代表取締役CEOの寺田真介氏

Googleが2016年5月に明かしたデータ によれば、モバイル検索というのはユーザーがいる場所や、これから行く場所に関連したものが約3分の1を占める。ただ、トライトゥルー代表取締役CEOの寺田真介氏はTechCrunch Japanの取材に対して「中華料理とか文房具とかジャンルによる検索はできます。でも、水着を売っているのはどこか、業務用ホッチキスはどこに行けば買えるか、というものはまだまだ」と話す。店舗名に「水着」と入っていないとGoogleでは出てこないからだ。同様の問題としてハロウィングッズを探しているのに「ハロウィン」で検索すると、そういう店名の中古車ショップとか飲食店が出てきてしまうということもある。

Patheeはネット上の情報を場所に関連付けて探せる検索サービスだ。現在は日本語で書かれた約2億ページをクロールしていて、例えばURLのパターンから、どこの地理関連の情報が含まれるかなど判定している。この判定には機械学習を使っていて、7割程度の精度で判定できるそうだ。

実際にスマホアプリで少し試してみた。例えば「(郵便)ポスト」とか「ATM」、あるいは「ハンバーガー」「自転車」といった検索語で東京都内の自宅周辺や会社周辺、通勤経路を調べると、こういうところが出てきてほしいなという以上の情報が出てきて好印象だ。店舗のウェブページをクロールしているので「カフェ 電源」という検索でもけっこう精度の高い情報が出てくる。同じ検索語をGoogleマップに入れても、1駅以上も離れた場所に数か所ポツポツと情報が出てくるだけで関連性も低い。

面白いのは、寺田氏が2017年のお正月に思い付きで作ったテストページが思わぬ鉱脈に繋がりつつある、という話だ。

Patheeを運営している経験から、もともと新宿で文房具を探している人が多いことを知っていた寺田氏は、ならばと単体のHTMLページで「新宿の文房具」の詳しい地図とページを作ってみたそうだ。ユーザー獲得に繋がると考えてのことだ。このページには予想を超えた手応えがあった。

そこで同様の「地域情報まとめ」を作り、これをサービス化。「Patheeまとめ」と名付けたサービスは2月から本腰で作り始めたばかりだが、すでに月間アクティブユーザー数が100万人を超えているという。位置情報が扱えるCMSとアナリティクスを自前で用意して、検索クエリの量を見ながらコンテンツを増やしているそうだ。コンテンツは今はトライトゥルーが社内で制作している。

例えば、読者の皆さんは秋葉原に「武器屋」というものがたくさんあるのを、もちろんご存じだと思う。モデルガンや日本刀を取り扱うショップのことだ。以下の「Patheeまとめ」を見れば分かるように狭い範囲に十数店舗は存在する。

Patheeまとめは、Patheeという検索アプリ(サービス)のためのコンテンツマーケティングのような位置付けだが、トラフィックに手応えがあることから、単体でのマネタイズも考えているという。といっても広告料の有無によって店舗のリスト順を変えるようなことではなく、商品名と、それが買える小売店を結びつけるようなマネタイズ手法を考えているそうだ。ちなみに、このPatheeまとめには、LINE Qというチャット型のQAサイトから多くのトラフィックが流れてきているという。

意外にトラフィック(ニーズ)があるのが、無料休憩所の場所情報。よくエレベーターの横っちょにベンチが置いてあるが、そうした「ちょっと休めるスペース」や、喫煙スペースを探している人というのは実は多いのだそうだ。ほかにもコンタクトレンズやボルダリング、花屋、女性ものの下着なんかの検索が多いそう。東京・日比谷にある帝国ホテルには下着が買えるお店があるが、そういうのは普通ユーザーは知らないし、ネットで検索できない情報の1種だ。もう1つ面白いのが、Patheeまとめの特徴は乗換駅に関するトラフィックが多いこと。仕事帰りに花を買いたい、というケースが多いんだとか。

ちょうど先日TechCrunchでもお伝えしたとおり、Googleはスモールビジネス向けに検索可能な投稿を開放するようになったし、Facebookも位置情報を取り込もうとしてる。そういう意味ではゴライアスのいる競争の激しい領域ではあるが、Patheeの取り組む領域にニーズがあることの証拠でもあるのだろう。

現在トライトゥルーは社員が8人。寺田氏は、東京大学で博士号を取得後に、日立の研究所に3年ほど勤め、ネットワークの経路最適化や通信プロトコル作りをしていた。今年4月には東京大学の客員研究員に就任するなど情報処理の専門家だ。