IBM Watsonはウォール街の今の基準から見ると不評、Jefferiesが酷評レポートを発表

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IBMのWatsonが今日、グローバルな証券大手JefferiesのJames Kisnerから、手厳しい批判を頂戴した。同グループは、WatsonへのIBMの投資が株主たちへのリターンを阻害している、と信じている。近年IBMは、重要な成長部門のひとつとしてWatsonをますます重視していた。それがまるで、IBMの未来を投射する影絵人形であるかのように。

かつて、IBMの競争上の優位性は、Fortune 500社との長年にわたる関係にあった。そんな中でWatsonは、一種のコンサルタントとして利用され、同社が企業との高額な契約を結ぶときには、それらの具体的なビジネスケースのためにWatsonのテクノロジーを実装してきた。しかし残念ながらIBMは、クライアントのニーズと、同社自身の技術力とのあいだのギャップを填めることに、今でも苦労している。

Jefferiesは、WatsonをスケールするというIBMのより広範な問題のケーススタディとして、IBM Watsonと大規模がんセンターMD Andersonとのパートナーシップの監査を取り上げている。MD AndersonはWatsonのプロジェクトに6000万ドルを浪費した挙句にIBMとの縁を切り、“人への治験や臨床的利用にはまだ適していない”、と断じた。

MD Andersonの悪夢は特例ではない。AI系のスタートアップのファウンダーの多くが、顧客である金融サービスやバイオテック企業がIBMと同様の経験をしている、と語っている。

しかしそれは特定の不具合に関する話ではなくむしろ、誇大なマーケティングや、ディープラーニングとGPUの稼働の欠陥、そしてデータ準備の要求が厳しすぎることを指している。

JefferiesがMonster.comのデータを使って集めた求人案件

求人の状況を見てみると(上図)、人工知能/機械学習/ディープラーニング関連でIBMは他のテクノロジー企業と肩を並べていない。ディープラーニングにいたっては、IBMの求人はAppleやAmazonに比べて死んだも同然だ。この図にGoogleやMicrosoft、Facebookなどを加えたら、IBMはもっと悲惨に見えるだろう。

Jefferiesのレポートが提供している情報は、新しくもなく、驚天動地でもないが、IBM Watsonが今抱えている問題をウォール街が気にし始めたことの、明らかな兆候だ。IBMの決算報告はいつも熱心に見ている方だが、しかし市場は短期的な成長を重視しすぎて、長期的な技術および戦略の持続可能性に目が行ってない。

お金を出し渋ることが仕事の一部であるCTOや、最新流行の役職であるCDO(chief data officer)たちに売る、という不毛なAI市場でIBMが槍玉に上がるのは十分に理解できるが、しかしAIは、大量の非定型データを吸い込んでインサイトを吐き出す、摩訶不思議なブラックホールではない。堅実なデータパイプラインと、AIに対する自己の業務レベルでの正しい理解が、利用者の最低限の必要条件だ。

今日のAIファーストの世界では、初期の成功がもたらした惰性は何の役にも立たない。今や機械学習のプラットホームなんか一山(ひとやま)なんぼで買えるし、GoogleやAmazonのような巨大テクノロジー企業が、そのためのクラウドのエコシステムに数十億ドルを投じている時代なのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))