GIF30年の歴史を振り返る――圧縮フォーマットからコミュニケーションツールへの変遷

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【編集部注】執筆者のDavid McIntoshはTenorの共同ファウンダーでCEO.

大きな変化を遂げずに5年以上――ましてや30年も――生き残れるテクノロジーはそう存在しない。過去10年間を振り返ってみても、携帯電話の情報処理能力は20倍近く向上し、マルチタスキングや視覚的なメッセージといった機能が追加された。HTMLの規格は5代目に突入し、ウェブ上の動画ストリーミングに使われるフォーマットはFLVからMP4へと移り変わった。IntelのファウンダーのひとりであるAndy Groveがかつて言ったように、「極度な心配性の人だけが生き残れる」のだ。そして進化しないテクノロジーは、いずれ時代遅れになっていく。

今年の夏で30周年を迎えたGIFは、変化の激しいテクノロジー界で長年生き残る、数少ないファイル形式のひとつだ。誕生時から技術的な変化はないGIFだが、これまでに3つの”人生”を経験し、今では過去にないほどの人気を誇っている。

第一の人生:画像ホスティングテクノロジー

GIFは、BMPをはじめとするファイル形式よりもサイズが小さい可逆圧縮フォーマットとして1987年に誕生し、それからすぐにウェブブラウザーを中心にサポートされていった。1989年にはGIFアニメも誕生したが、当時は単に効率的なファイルフォーマットして、静止画を中心に利用されていた。

 

第二の人生:ライトなエンタメ動画

初期のGIFアニメの多くは、Microsoftのクリップアートのような見た目で、ウェブサイトのナビゲーション要素として使われることもあった。ジオシティーズの登場で何百万人という人が自分のウェブサイトを作れるようになると、彼らは訪問者を楽しませようと、回転するメニューや燃えるビュレット、3DアニメーションなどのGIFアニメを使ってウェブサイトを自分流にアレンジしていった。この傾向はMyspace人気が高まるにつれてさらに加速していく。

Myspaceユーザーが自分のページを飾る”アクセサリー”を見つけるためのウェブサイトも、この頃大量に生まれた。しかし、YouTubeをはじめとする動画サイトの台頭とともにMyspace人気に陰りが見え始めると、GIF人気も落ち込み、そのうちGIFはニッチなネット掲示板でだけ使われるようになっていった。しかし、2009年頃からTumblrのユーザー数が増えるにつれて、GIFは復活を果たす。

Myspace同様、Tumblr上でGIFを使って自己表現を試みる人たちも出始めたが、彼らは点滅する文字の代わりに、お気に入りの映画やテレビ番組、オンライン動画のワンシーンを切り取ったものを共有した。これがBuzzFeedやImgur、GiphyといったGIFホスティングサービスへと繋がっていく。

第三の人生:コミュニケーションツール・ビジュアルランゲージ

モバイルメッセージが急速に普及する中、消費者のアテンションスパンとともに彼らが交わす言葉自体も短くなり、「lol(laughing out loud=爆笑)」や「jk(just kidding=冗談だよ)」といった略語が使われるようになる。こうして、かつては3〜5分かかっていたことも、3〜5秒間で行われることに。

今やGIFは文化的な文脈を使い、たった数秒間で感情をフルに表現できる、視覚的な略語のような存在になった。従来の略語よりも表現力が豊かで、広がりのある言葉だ。

例えば昨年だけでも、40億種類以上もの思いや感情、感覚がTenor(GIFホスティングサイト)の検索欄に入力され、検索ワード数は新たなニュースや文化、ミームの誕生に応じて日を追うごとに増えている。

モバイル界におけるGIFの転換期は、iOS8でカスタムキーボードがサポートされるようになった2014年秋までさかのぼることができる。コミュニケーションツールとしてのGIF第三の人生は、モバイルという史上最大のデジタルプラットフォーム、そしてその活動の中心がコミュニケーションであることを背景に、これまでの人生を大きく上回った。

誕生から30年が経ち、今やGIFはコミュニケーションとは切っても切れない関係性を構築し、モバイル界のビジュアルメッセージの新たなプロトコルへと進化したのだ。これ自体も素晴らしいことだが、GIFの人生はまだこれからだ。将来的には30億人ものモバイルユーザーが、1日に感じる何十種類という感情をGIFを使って表現するようになるだろう。

最後に先月の記念日を祝って、30年間の歴史の中でGIFの方向性を大きく変えた出来事を以下にリストアップした。

1987年:当時CompuServeのソフトウェアエンジニアだったSteve Wilhiteがグラフィックス・インターチェンジ・フォーマット(GIF)を開発
1989年:CompuServeがアニメーションをサポートしたGIFの改良版を発表
1993年:Mosaicブラウザのリリースにより、World Wide Webが一般公開される
1995年:NetscapeがNavigator 2.0にGIFアニメのループ機能を導入
2003年:Myspaceがローンチし、GIFを使ったウェブサイトの装飾が人気に
2007年6月:iPhone第一世代がリリースされ、iMessageをはじめとするメッセージングアプリが黎明期を迎える
2010年8月:新オックスフォード米語辞典第三版に「ギフ」と「ジフ」両方の発音が登録される
2014年10月:iPhone初となるGIFキーボードがローンチ
2015年6月:Facebook MessengerへのGIFボタン導入でトレンドに火がつき、その他の何百種類にもおよぶサービス(Twitter、Kik、WhatsApp、Discord等)にもGIFメッセージ機能が搭載される
2017年6月:世界中のモバイルユーザーがGIFの30周年を祝福

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(翻訳:Atsushi Yukutake