日本の仮想通貨法を武器とした資金調達のICOプラットフォーム「COMSA」をテックビューロが発表

新たな資金調達手段としてICO(Initial Coin Offering、仮想通貨発行による資金調達)に注目が集まっている。ICO情報を集めたcoinschedule.comによれば2017年1月から7月までのICOによる資金調達総額は1253Mドルと1Bドル(10億ドル、約1100億円)を越える水準にある。今はICOブームのただなかといっていい。

この盛り上がりを背景に、世界に先駆けて仮想通貨法(改正資金決済法)を成立させた日本ならではのICOソリューションが登場する。仮想通貨取引所Zaifを運営し、プライベートブロックチェーン技術mijinを開発するテックビューロが8月3日に発表した「COMSA」だ。3種類のパブリックブロックチェーンに対応する点、システム技術としてプライベートブロックチェーンを利用する点、日本の仮想通貨法による法的根拠を売り物とする。

COMSAの1号案件として、この2017年10月にCOMSA自体のICOを実施する予定。2号案件は11月中旬に東証二部上場企業のプレミアムウォーターホールディングス、3号案件は11月下旬にCAMPFIREを予定している。

COMSAの全体像は複雑だが、要点は以下のようになる。なお、これはCOMSAの完成イメージで、ICOの1号案件で調達した資金により開発していく構想だ。

The DAOを教訓に、上場企業が利用できるICO手法を構想

COMSAの構想からは、2016年に登場して数々の課題を残していった仮想通貨建て投資ファンドThe DAOの影響を見て取ることができる。The DAOは非中央集権型という建前のため素早いセキュリティ対策が取れないままハッキング被害を受けた。またハッキングによる被害を回復しようとしてEthereumのパブリックブロックチェーンのハードフォークによる巻き戻しという強行策を取り、その副作用として新たな仮想通貨Ethereum Classicが分岐した。さらにThe DAOには法的根拠が明確でないとの指摘があった。1年後の2017年7月25日にSEC(米証券取引委員会)が発表したレポートでは、The DAOを調査した結果「有価証券にあたり規制対象となる」と結論付けている。The DAOは事業リスクをデジタルなトークンの形にしたもので、証券法の対象となるとの指摘だ。

このような課題をCOMSAは次のように解決している。まずテックビューロがシステム、資金管理に責任を負う形とした。日本の仮想通貨法という法的根拠があり、分別管理など仮想通貨取引所に課せられている基準が適用される。またシステムはプライベートブロックチェーンとパブリックブロックチェーンを連動させる形とし、緊急時には切り離して対応可能とした。The DAO事件のようなセキュリティ上の脅威や相場操作のような事態に対処しやすいようにした。またSECの規制対象とならないよう「有価証券に相当しないトークンを発行する」(テックビューロ代表取締役の朝山貴生氏)と説明する。これは、リスクが高いプロジェクト立ち上げのための資金ではなく、継続中の事業の資金調達を主な対象と考えていることを意味する。

法的根拠に関しては、相当の調査を進めている模様だ。前述したICO協議会の委員に名前を連ねる増島雅和弁護士は、最近開催した勉強会で「有価証券の公募によるIPOは米証券法に関する規制対象となる。有価証券に該当しないようデザインした仮想通貨トークンを使わなければトークンセール/ICOの意味がない」と説明している。国境を越えて広い範囲から仮想通貨建てで資金を集めることができることがICOのメリットだが、そのメリットを享受するにはSECや各国の規制対象とならない種類のトークンにする必要がある。

以上見てきたように、COMSAは、今までよく耳にしてきた「非中央集権型のパブリックブロックチェーン上の分散型アプリケーション開発プロジェクトのための資金を調達する」といった発想とは正反対のプラットフォームといえる。運営主体は日本の一企業なので中央集権型だ。運営主体と法的根拠が明確な点で、すでに事業基盤を固めている企業が利用できる資金調達手法といえる。もっとも、スタートアップ企業の資金調達のためにCOMSAを使うことも今後はありうるとのことだ。「例えば、スタートアップ向けファンドから資金調達をした企業が、その信用を背景にICOで追加の資金調達をする使い方も考えられる」(朝山氏)としている。