資金調達

全ゲノムのサービスプラットフォーム「GENOMIC EXPLORER」が正式ローンチ、運営元は5000万円を調達

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ゲノムスタートアップのAWAKENSは8月21日、総額約5000万円の資金調達を実施した。今回のエンジェルラウンドに参加したのは500 Startups Japan、エムスリー、日本医療機器開発機構、エンジェル投資家の鎌田富久氏、西野恒五郎氏(マーソ代表取締役)、北野 宏明氏(ソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長兼所長)、その他複数の個人投資家だ。

AWAKENSは2017年1月にサンフランシスコに設立し、コンシューマー向けの「GENOMIC EXPLORER」と法人向けの「GENOME LINK」の2つのサービスを準備している。GENOMIC EXPLORERは米国でベータ版を先行リリースしていて、米国時間8月22日に正式版をリリースした。日本では今年秋以降に提供を開始する予定だ。

コンシューマー向けのGENOMIC EXPLORERは自身の全ゲノムデータを見える化し、ゲノムデータの網羅的な解釈情報へのアクセスするためのサービスだ。

自身の全ゲノム情報を取得するにはGENOMIC EXPLORERで遺伝子検査キットを注文するか、あるいはすでに米国の遺伝子検査サービス23andMeAncestry.comを受けたことのあるユーザーはその検査結果をアップロードして利用することもできる。ただ、23andmeやAncestry.comの検査は全ゲノムの解析ではないので、一部のデータしか閲覧できない。

GENOMIC EXPLORERの特徴は全ゲノム配列の生データを見たり、世界中の論文から自分のゲノムのどこにどのような傾向が出ているか調べたりできる点だ。また、レポーティング機能では、自分が朝型か夜型なのかや体質的に不足しやすい栄養素、味覚、性格の傾向などを知ることができる。

現在、数万円で受けられる遺伝子検査は複数あるが、そうしたサービスはゲノムデータ全体の0.01%から0.03%程度の配列データでしか解析していないものが多く、遺伝子検査サービスごとに解析結果が異なることもあると共同ファウンダーでCEOを務める高野誠大氏は説明する。

GENOMIC EXPLORERでは、まずユーザーにとって信頼できる情報にアクセスできる場を提供し、ユーザーが自分のゲノムについて知りたいことを調べ、理解できるようにしたい考えだという。ただ、最終的にAWAKENSが目指しているのはゲノムのビジュアライズツールに留まらず、「ユーザーがそのデータを他のサービスで活用できるプラットフォームになること」と高野氏は説明する。

現状では、全ゲノムの遺伝子検査は十数万円程度かかるが、今後5年から10年でその費用は数万円台まで下がることが見込まれている。そうなれば、ほとんどの人が人生のどこかの時点で自身のゲノムデータを取得し、そのデータを例えば、医療、ヘルスケア、フィットネス、教育サービスなどで活用するようになると高野氏は考えている。それは例えば、ユーザーが自身のゲノムデータをフィットネスサービスと連携することで、より自分の体質や性格に合ったサービスを受けられるような世界だ。

AWAKENSではそうした未来の実現のために、ユーザーのゲノム情報を個別化サービスに連携するためのB2B事業GENOME LINKを準備している。GENOME LINKは日本で医療やフィットネスといった分野企業とのパートナーシップを進めていると高野氏は言う。

高野氏は前職で医療ベンチャーのエムスリーにおいてゲノムビジネスの新規事業に携わっていた。同社の共同ファウンダーでCOOを務める松田祐太氏もDeNAにて遺伝子検査MYCODEの立ち上げに携わっていたそうだ。全ゲノムデータを用いるサービスは彼らが週末プロジェクトとして始めたものだったが、投資家のサポートもあり起業に至ったのだという。

今回の調達した資金は主にサービス開発と法人パートナー企業との連携構築を進める計画と高野氏は話している。

日本では8月21日に遺伝子検査サービスなどを提供するジェネシスヘルスケアが楽天から総額14億円を調達したとTechCrunch Japanでも報じた。他にもDeNAライフサイエンスやユーグレナの完全子会社となることを発表したGenequestなどの遺伝子検査サービスがある。遺伝子検査が一般的になるほど、その先データをどのように活用するかが重要な部分になりそうだ。