音楽メディア「block.fm」創業のm-flo☆Taku氏が考える分散型メディアの理想形

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block.fmは、音楽グループm-floの☆Taku氏が手がけるダンスミュージックに特化したメディアだ。block.fmは2011年11月に設立し、アーティストやDJによるラジオ番組の他、記事や動画コンテンツを配信している。2017年8月24日にサービスの全面リニューアルと共に、個人投資家より5000万円の資金調達を行なったことを発表した。そして本日、block.fmはSpotifyと協力し、Spotifyでのオフィシャルコラボプレイリスト「Hangover Detox」を開設し、9月3日から配信を開始すると伝えた。

今回TechCrunch Japanは、m-floのDJ、☆Taku氏ことblock.fmのファウンダーで代表取締役を務める高橋拓氏にblock.fmを創業した経緯や今後の展開について話を聞いた。

block.fmはウェブ、iOS、Androidでラジオ番組を中心に記事や動画コンテンツを配信している。ラジオ番組は24時間ストリーミングで3チャンネルあり、月50本ほどの番組を自社制作している。番組はオンデマンド形式で聞けるが、生放送番組も3、4本ある。block.fmは音楽を軸に次に来る新しいものを紹介するメディアで、コンセプトは「遊び、遊び方、遊び場所」と高橋氏は言う。

ラジオ番組だけを集めたアプリやニュース記事を読むことだけに特化しているアプリが多い中、block.fmは聞くタイプのコンテンツと読むコンテンツがサービス内に同居している。また、block.fmは自社の専用ウェブサイトとアプリを展開しているものの、同時にFacebook LiveやPeriscope、Instagramストーリーなどにもコンテンツを配信する分散型メディアの側面を持つのも特徴だ。今回、Spotifyでオフィシャルチャネルを持つに至ったのもそうした施策の一環という。

ラジオ番組や記事といったコンテンツ形式、あるいはSNSやストリーミングサービスといったプラットフォームは「どれも表現するためのキャンバス」と捉えていると、高橋氏はblock.fmのコンテンツの配信方針について説明する。

「ウェブメディアの中でインスタだけとか、フェイスブックだけにこだわるのではないような気がしています。極端な話をすると、文字原稿も動画も音もコンテンツはコンテンツ。表現方法が違うだけで、コアな情報はどれでも表現できるし、どんな手法でもできなきゃいけない時代であると感じています。それはスマホが出てきたからです。そうしたことを全部できるのが、一番理想的なメディアの発信の仕方なんじゃないかと考えています」。

アーティストにとってストリーミングサービスは敵か、味方か?

少し話はそれるが、SpotifyやApple Musicに代表されるストリーミングサービスでは利益の分配率を巡り、楽曲提供に否定的なアーティストも多くいる。block.fmではSpotifyと組んでいるが、m-floというアーティストとしての立場からはストリーミングサービスをどのように捉えているのか。

髙橋氏は「ストリーミングは別に正義でも悪でもなく、単なるプラットフォーム」と自身の見解を述べる。「ストリーミングサービスだけで収入を得ようとしても採算は合わない。これは始まる前からも分かっていたことです。ただ、今の音楽のUXの中で、音楽との出会いを作る場所として、ストリーミングサービスは必要なものだと考えています」。

m-floでは所属するエイベックスと相談し、楽曲は全てストリーミングサービスで配信する方針であり、「そこで収入を得るというよりは、いかに自分たちのプロモーションの場に活用できるかを考えています」と話す。

音楽とメディア、続ける理由

高橋氏はm-floでの音楽活動を19年間続けているが、m-floもblock.fmも、良いものを紹介したいという共通の思いがあって行なっていることと話す。

「m-floはJ-popというフィールドで活動していますが、m-floではJ-popではありえないものをどうやって広げるかというアティチュードでやってきました。自分の好きなものの楽しさをもっと知ってもらいたいという気持ちでやっています。そうした意味で音楽活動とblock.fmの活動はリンクしています」。

もともとblock.fmの取り組みを始めたのは8年くらい前のことだったという。当時メインストリームではなかったテクノや電子音楽を紹介するメディアはなく、世界に通用する才能を持つ日本のクリエイターが先に海外で取り上げられ、発表されてしまうことに課題を感じていたと髙橋氏は言う。アーティストが表現する場がないのなら、自分たちでやろうと始めたのがblock.fmだった。

block.fmは8月24日に個人投資家から5000万円を調達していて、これが彼らにとって初めての調達だった。調達した資金はサービス開発とコンテンツの拡充に充てる計画だ。また、サービスの多言語化も行い、海外展開も視野に入れているという。現段階では日本語コンテンツしか提供していないが、すでに海外のリスナーもいるのだそうだ。具体的にどの市場に進出するかは決めていないが、まずは英語に対応してユーザーの反応を見た上で判断したいと高橋氏は話す。

block.fmは今後もコンテンツを作れる団体であり続けたいと高橋氏は言う。スマホの登場で、記事コンテンツなら読む場所が紙からウェブへと移り変わってきているのと同じように今後もそうした変化はあるかもしれないが、コンテンツを作る団体はこれからも必要とされていくと高橋氏は話す。

「block.fmをラジオ、記事、イベント、楽曲を制作するクリエイターが集まるコンテンツのソリューションサービスを提供し、自分たちのブランドをしっかりと作っていきたいと考えています」と高橋氏は話している。