建材比較サービス「truss」が1億円を調達、“紙のカタログ”問題をITで解決

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IT化が遅れている業界の課題を、テクノロジーで解決する――このような挑戦をするスタートアップを知るとワクワクする。建材比較サービス「truss(トラス)」を通じて建築設計施工者、建材メーカーの課題を解決しようとしているトラスもまさにその1社だ。

建設業界というと何となくIT化が進んでいないイメージがあったが、少しずつその状況は変わってきているようだ。TechCrunchでも今年に入って建設現場向けチャットアプリ「stacc」建設業のための写真管理アプリ「Photoruction」を紹介した。staccの記事内では、「作業員の7割近くがスマホを持つようになりITが進められる状況になった」という話も紹介している。

このように設計者のコミュニケーションや業務を効率化するサービスは増えてきている。ただ一方で設計者が建築に使う「建材を選ぶ」段階では、今でも紙のカタログが主流でアナログな状況だ。

建材の種類はどんどん多様化する中で、紙のカタログをくまなくチェックして製品ごとの特徴を把握するのは困難。そのような「紙のカタログ問題」をITで解決するのが、建材比較サービスtrussだ。

同サービスを提供するトラスは10月2日、複数のベンチャーキャピタル及び個人投資家から1億円の資金調達を行ったことを明らかにした。調達先はDBJキャピタル、みらい創造機構、GMO VenturePartners、SMBCベンチャーキャピタル及び元ラクスル副社⻑の守屋実氏、キープレイヤーズ代表取締役の⾼野秀敏氏、レオスキャピタルワークス代表取締役の藤野英⼈氏だ。

なお守屋氏はトラスの経営顧問に就任している。

設計者と建材メーカー双方で課題となっている紙のカタログ

trussは建材メーカーが販売する製品を、横断して比較できるサービス。法規や性能など条件に応じて比較できるのはもちろん、性能や値段をグラフ上にプロットし分布図のような形で可視化する。製品の違いが一目でわかるため、効率的に情報を収集できるのが特徴だ。

現在は設計施工者を対象に無料で提供。マネタイズについては建材メーカー側からの販促費を考えているが、サービスの提供価値が上がればユーザーからの課金も検討する。

「建材はプロジェクトの内容に応じて必要なものが絞られるため、実際に必要なのは分厚い紙のカタログのうち、数ページほどだけ。そのわずかな情報のために各メーカーごとの分厚いカタログを引っ張り出して、細かく比較するというのは限界があった」(トラス代表取締役・久保田修司氏)

あるメーカーの断熱材カタログを実際に見せてもらったのだが、1冊で570ページほどだった。これが主要なメーカーのものだけでも10冊以上はあるそう。1つの材料を選ぶだけでも、紙のカタログでは相当骨の折れる仕事だ。

設計者は建材を選ぶことだけに膨大な時間を使うことはできないため、新製品の情報をキャッチアップできず過去に使ったものを何度も選ぶことがよくあるのだという。この現状は設計者だけではなく、建材メーカー側にとっても課題となっている。

「毎回大量のカタログを製本して送る、営業担当者が地道に新製品を紹介しに周るというのがずっと続いてきた。小さい事務所まで1件1件営業するのは難しいし、建材メーカーも効率が悪いのは分かっている。ただどのように効率化すればいいのかがわからないという状況。せっかくいい製品を作ったのに、認知されないから使われないというのはもったいないし、建材の質が建物の質に影響するため解決すべき課題だと思った」(久保田氏)

資金調達も実施、対象領域の拡大を目指す

trussを立ち上げてから約1年、現在は建材の中でも断熱材や窓、屋根材など外皮周りに特化して情報を掲載している。デザインやサイズ違いのものも含めサイト上では約7000種類の製品を比較できるようになったが、それでも市場に出回っているうちの約2~3割ほど。建材メーカーの許可を取りながら、その数を増やしている状況だ。

今後は外皮以外の領域にも対象を広げていく予定で、「trussにくれば建材の情報が一通りそろっていて、比較できる状態」を目指していく。

トラスは2014年12月の設立。東京工業大学建築学科の同級生だった3人で立ち上げた。trussの構想は代表取締役の久保田氏が総合商社に勤務していた頃に、ヨーロッパを訪れ現地の街並みや建物を見たことから。

「ヨーロッパの建物や街並みがきれいな要因は建材が統一されているからだと思った。東京に戻って建物を見ると建材がバラバラであることと同時に、種類の豊富さに気づいた。その時にどうやって建材を選んでいるのか、興味を持ったことがはじまり」(久保田氏)

共同創業者の1人が当時設計事務所で働いていて、紙のカタログを使っていることを聞いた。ITを使って効率化できないかを突き詰めた結果、trussのアイデアに行き着き起業に至ったという。

「建築にかかるお金は、大きくは『建材にかかるお金』と『建物を作り上げる人にかかるお金』にわかれる。後者に関しては設計者の業務効率化や彼らがお客さんを獲得するためのツールなど、IT化が進んできているが、建材の部分はまだまだ効率化が進んでいない。trussを通じて最適な建材選択を支援することで、建物の質をあげていくことに貢献していきたい」(久保田氏)