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福岡発AI・IoTスタートアップのスカイディスクが7.4億円を調達、提供分野の拡大と海外展開目指す

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AIやIoT を活用したソリューションを提供するスカイディスクは10月3日、ニッセイ・キャピタル、 DG Daiwa Ventures、環境エネルギー投資、山口キャピタル、加賀電子、ドーガンベータ、アーキタイプベンチャーズを引受先とする第三者割当増資により、総額7.4億円を調達したことを明らかにした。

スカイディスクは2013年に福岡で設立。2016年の1月にニッセイ・キャピタル、アーキタイプベンチャーズ、ドーガンが運営するファンドから1億円を調達していて、今回はそれに続く資金調達となる。

センサデバイスからAI分析サービスまでワンストップで提供

スカイディスクの特徴はAI・IoTを現場で導入するのに必要な機能をワンストップで提供していることだ。

具体的にはデータを取得するための「センサデバイス」、そのデータをクラウドに届けるための「通信システム」、取得したデータを蓄積する「データ蓄積クラウド」、貯まったデータを分析するための「AI分析・学習モデル」といった技術やシステムを全て自社で保有。様々な業界の課題に合わせて、IoTとAIを活用したソリューションを提供している。

その1つが先日TechCrunchでも紹介した、スマホのマイク機能を使って取得した「音」により、設備機器の異常診断ができる「スマート聴診棒」だ。

従来は熟練の担当者が機器の発する音をたよりに行っていた異常診断業務。高度な技術や経験が必要になる属人的な業務であり、後世へノウハウを継承することも現場の課題となっていた。

そこでスカイディスクではIoTとAIを活用し、若手の担当者でも対応できる仕組みを構築。ある電力会社のニーズからできあがったシステムだったが、他社でも同様の課題を抱えていることを知り、正式なサービスとしてリリースした。

スマート聴診棒

設備保全分野に限らず、スカイディスクでは農家向けにハウスの気温や湿度などを自動測定できるシステムや、フィットネススタジオ向けに施設内の室温や酸素濃度を感知するシステムなども提供している。

プロダクトアウト型から、マーケットイン型の企業体へ変化

「(2016年1月に)出資を受けてからビジネスサイドのメンバーも増え、プロダクトアウト型の企業体からマーケットイン型へシフトしてきている。顧客のニーズや痛みをAIやIoTでいかに解決していくのか探るアプローチへ変わった結果、スマート聴診棒のようなサービスが生まれた」

そう話すのは、スカイディスク代表取締役CEOの橋本司氏。この1年半ほどで5名だった同社の社員は約25名までに増えた。事業が前進するきっかけになったのは、チーム編成が変わったことに加え顧客の変化もあったからだという。

「以前は『IoTって何?』という顧客が多かったが、今では『AIやIoTを活用してこのような課題を解決できないか?』という声が増えた。問い合わせもIoT推進部のような新設された部署だけでなく、実際に課題を抱えている事業部からいただくように変わってきている。現場の課題が明確なため取り組みやすく、仮に対応できない場合も断りやすい。状況判断のサイクルが早くなり、事業の成長に繋がっている」(橋本氏)

スカイディスク代表取締役CEOの橋本司氏

この1、2年ほどで「AIやIoTの活用に貪欲になった企業が増えてきている」(橋本氏)という実感があるからこそ、さらに多くの顧客に自社の技術を提供できるように資金調達へと踏み切った。今後スカイディスクではAIエンジニアやビジネス開発人員を増やした上で、「提供分野の拡大」と「海外展開」の2つに取り組む。

たとえば現在同社が注力している設備保全分野では、工場やビルの機械装置だけでなく、鉄道やトンネル、橋梁といったインフラにも拡大していきたい考えだ。扱うデータについてもスマート聴診棒のような「音」に加え、「振動・電流」から故障予兆が検知できるサービスを準備し顧客のニーズに応える。

また九州工業大学と介護領域でのIoT活用に関する共同研究をスタート。これまで着手できていなかった分野でもチャレンジを始めていく計画だ。

そしてAIやIoTを活用したサービスを提供できるのは、日本国内の企業だけではない。特に設備保全の問題などは世界でも共通する部分が多いという。橋本氏によると「主にアジア圏で実際に話が出てきている」そうだ。日本で作った事例の海外展開やその逆パターンなど、これから1、2年で国を超えた取り組みも行っていくという。