政治戦略家のブラッドリー・タスクは6分野の規制と戦う――Uber株はSoftBankに売却

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ブラッドリー・タスクはニューヨークの元市長、マイケル・ブルームバーグの選挙を繰り返し成功させた政治戦略家として政界では以前から著名な存在だった。その後、Uberの元CEO、トラビス・カラニックの招聘に応じてシリコンバレーに拠点を移し、Uberが各種の既成勢力と戦うのを助けた。タスクはUberが契約した最初の外部コンサルタントだったが、料金の支払いをUber株式で受け取ることに合意したため大株主の一人となった。ここで一挙に現在に飛ぶと、タスクは現在、政治戦略のコンサルタント企業ベンチャーファンドを運営している。

TechCrunchのインタビューに対し、タスクはSoftBankグループが主導するUberへの大型投資に際し、このコンソーシアムにUber株式を売却するつもりだと語った。タスクは「これは絶好のタイミングだ」と述べ、その理由を次のように説明した。

「Uberの上場がどうなるか決まったわけではないが、私はこの問題に詳しい。 [Uberが上場しても]現在の株価の1.5倍以上で売るのは難しいだろう。もちろん歴史的な大型上場になるだろうが、まだあと2年はかかる。プラス、上場後、株主が株式を売却できるようになるまで[標準的な]6か月のロックアップがかかるはずだ。その代わりに他の分野に投資したら私はどのくらいのリターンが見込めるだろう? おそらく1.5倍以上だと思う」。

タスクは最近lUberの業務を手がけていないが、他のクライアントに対して諸規制と戦う戦略を授けている。TechCrunchは先週タスクから詳しく話を聞くチャンスがあった。2018年にタスクが反規制のコンサルティングとベンチャー投資を行う重要な分野は以下の6部門だという。タスクの説明を要約すると―

社員vs契約者:これはきわめて大きな問題だ。まず独立契約者とはどういうものなのか、定義そのものがはっきりしない。しかし社員であるかないかは、時間外手当の支払い、源泉徴収、福利厚生を始めとして双方に甚大な影響がある。他の人々もそう言っているが、州政府は規則の文言をもっと明確化すべきだ。しかし〔問題は〕労働組合が透明性の高い労働市場を好まないことだ。『ルールをはっきりさせてくれ。そうすればわれわれの対応も決まる。そのルールでビジネスが成立しそうなら続ける。そうでないなら撤退する。しかしルールを教えないのはデモクラシーではない』というのがシェアリング・エコノミー側の主張だ。

ただ現在ワシントンで審議中の減税案は「労働者を契約者として分類する傾向を強めそうだ。〔タスクは〕属人的な福利厚生システムを考えている。これは福利厚生をプールして持ち歩き可能にするもので、労働者がどこでどのような形態で収入を得たとしても常に福利厚生などの便益が得られるようにする。フルタイムの正社員が得られる便益がすべて含まれるわけではないが、〔Uberのような会社が報酬の〕一部を拠出し、ドライバーも一部を拠出して、ヘルスケアや年金などに充当するモデルだ。

もちろん一夜にしてこうしてシステムを確立することはできない。また問題点として、労働組合は(正社員だけでなく)契約社員の待遇にももっと関心を抱くべきだ。しかし誰もが独立の契約社員のフレキシブルな労働条件と正社員の福利厚生の双方を得られるようなったら、正社員に雇用されるメリットがなくなるかもしれない。

自動運転車:私の考えでは〔自動運転は〕乗用車についは順調に進むだろうが、トラックには問題が起きそうだ(タスクのチームはこの問題にも取り組もうとしている。

He pointいわゆる自動運転法(SELF DRIVE Act)は超党派の支持を受けて、去る9月に下院を通過したが、上院ではまだ可決されていない。

これが自動運転車を律するアメリカで最初の連邦法になりそうだが、困ったことに、下院で可決されたものも上院で審議中のものも、対象から自動運転トラックを除外している。これは職が失われる(と同時に安全性も低下する)と懸念するトラック運転手組合からの圧力によるものだ。(上院の法案では自動車メーカーが生産できる自動運転車の台数にも上限が設けられている。自動運転のみ可能な車両の上限は1年目が1万5000台、3年目までが8万台、4年目以降は上限なし、となっている)。

大型トラックの除外―これはチームスター〔トラック運転手組合〕にとっては勝利だ。しかし戦いは政府のあらゆるレベルで続いている。Uberや〔Googleの〕WaymoやTesla側とチームスターのような既存勢力の間に一大闘争が巻き起こるのは誰にでも予測ができる話だ。しかし一度瓶から出てしまった魔神をもとに戻すことはできない。チームスターのような勢力ができるのは物事の進行を少し遅くすることだけだろう。

モバイル投票: モバイル投票には以前から強い関心がある。最近、あるモバイル投票のスタートアップのプロモーションを手がけた。モバイル投票は投票率の低下、特に地方選挙への関心の低下に対する解決策になると思う。 地方選挙の投票率は10%から15%というのが普通だ。〔タスクが関与している〕スタートアップはVoatzといい、創立4年目でブロックチェーンを利用しており、TechStarsのアクセラレーター・プログラムを今年出たばかりだ。この会社のテクノロジーはアメリカにかぎらず、世界中いたるところでわれわれの選挙に対するあり方を変える可能性がある。(タスクはこの会社に限らず、モバイル投票に関するソリューションを提供できる考えるあらゆるチームを援助する用意があるという)。

乗り捨て方式の自転車共有: これはやっかいな問題になる。道路は混雑している。ホームレスの数も多い。そういう状況で自転車をあちこちに乗り捨てる方式ではうまくいかないはずだ。自治体は禁止に動くと思う。アメリカの本当に混雑した都市でこれが自然な交通手段になるとは想像しにくい。(タスク自身がBirdというサンタモニカのキックスターターのデザインの電動スクーターのシェアリング・サービスへの投資家であることを考えると興味ある意見だ。BindのCEO、Travis VanderZandenは以前Uberのグロース担当副社長だった)。

eスポーツによるギャンブル:現在アメリカ最高裁はChristie対NCAAの訴訟を審理している。焦点はニュージャージー州はe〔オンライン〕スポーツ・ギャンブルを合法化する権限があるかどうかというものだ。1992年の連邦法はネバダ州以外でのスポーツ賭博を禁止している。Yahoo Financeが最近報じたとおり、今回の判決がどちらになろうと、アメリカのギャンブル禁止法規は近く緩和されるだろうとeスポーツ業界は楽観している(トランプ大統領は以前カジノのオーナーだった)。

もしギャンブル推進派が勝てばアメリカ中の州政府がeスポーツ・ギャンブルに殺到するだろう。eスポーツの運営企業はアメリカ先住民が運営しているカジノとのバトルロイヤル・モード突入する。〔カジノを特権的に運営できるために得られる〕売上と雇用をeスポーツ・ギャンブルと奪い合うことになる。共和党の減税案が法制化されれば、多くの州政府と自治体が収入を失うことになる。これがeスポーツに追い風となると予想する。

マリファナ合法化: マリファナが合法化される地域は増えるだろう。関連するスタートアップにとってはグッドニュースだ。議会の共和党はドラグを嫌っているが、もし(減税によって)カリフォルニアやニュージャージーで税収がダウンすれば、どこかでその穴埋めをする必要がある。しかも〔不人気な〕増税はできないだろう。〔こうした事情から〕マリファナの合法化は予想よりずっと早まるはずだ。(タスクの会社はマリファナのオンデマンド配送のスタートアップEazeのアドバイザー、投資家でもある)。

画像: Tusk Ventures

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+