キラキラ(#kirakira)の流行

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写真:Eva ChenのInstagramより

「光がとても明るく輝くためには、暗闇が存在しなければならない」
―フランシス・ベーコンおよび/またはレディ・ガガ

【編集部】著者のAlexia Tsotsisは、まだ世の中であまり知られていないものを探し続けている超オタクである。これまではビジネススクールに在籍していたが、その前はTechCrunchに在籍していた。

写真に輝きを加えるアプリKirakira+は、この記事を書いている時点では、iOS App Storeの有料アプリ第1位の座を占めている。そのクリエイター山健太郎(Kentaro Yama)は、日本在住の開発者であり、東京にあるTHA LTD. デザインスタジオに勤務するフルタイム開発者である。

彼は副業の突然のブレークを予期しておらず、もちろん27万5000人もの月間アクティブユーザーを引きつけるとも想像していなかった。Apptopiaのデータによる11月中のおよそ30万件のダウンロード数も、アプリの値段(0.99ドル、日本のストアでは120円)から推定される30万ドルの収入も全く想像の外だった。(山はApptopiaの推定には異を唱えていて、アプリは10月だけで40万件のダウンロードを数えたとしている)。

THA LTD.で、山は資生堂と日本の男性体操チームのプロジェクトに携わってきた。彼は、Kirakiraの着想は仕事から得たものではなく、リアルタイムアプリの中で、フォトリアリスティックな効果を生み出したいという、夢想的な欲求から生み出されたものだと強調した。

健太郎は光の調整をリアルタイムに行っている …

… 一方CGの世界は、相変わらずこんな感じで扱いにくい。

それで、一体何がKirakiraを流行らせているのだろうか(Kirakiraというのは日本語で「輝く」という意味だ)、何がアプリをApp Storeの片隅から引っ張り出して、「いいね!」に重みのあるインフルエンサーたちのホーム画面を飾るようにさせたのか。

「効果はひと目でわかりますし、楽しいですよね」と山は私に書いてきた。しかし、それではKirakiraが9月を過ぎるまで話題にならなかったかの説明にはなっていない。この頃には、InstagramのトップパートナーであるEve Chanが、アプリを偶然見つけてスプリング/サマーファッションウィーク2018で使い始めたというファッション界の噂がある。

Instagramの広報チームは、私たちからのコメント要請に答えていないが、Chenがアプリの「ゼロ号患者」だった可能性は高い。「掛け値なく本当に驚きました」と、アプリが2ヶ月前に突然売れはじめたとき、山は私に対してそう語った。「ダウンロード数が増えたので、必要だと思っていた機能を更新しました。私が想像していた以上に、みんなキラキラすることが好きなんですね」と彼は詩人のように呟く。

山は昼間の仕事をしている最中に、Kirakiraのインスピレーションを得た。THA LTD.で、ポストプロダクションの照明効果を作成していたときのことだ。

山は、活き活きとした、強調されたライティングは、携帯電話のカメラに良く合うのではと直感した。そうして、その効果をリアルタイムに適用するアプリを作成したのだ。しかし、この秋のスプリング/サマーファッションウィークが来るまで、アプリには何も起きることはなかった(奇妙に聞こえるとは思うが、これが事実なのだ)。

その成功に浮かれることなく、山は既にフィルターアプリが世間には腐るほどあるという事実はよく認識している。また彼は、競争相手を踏み潰すためには一片のうしろめたさも感じることが無いことで有名な、InstagramやFacebookといった既存勢力の脅威にも懸念を抱いている。

「はい、少しは気になりますね」と彼は言う。「新機能のKirakiragraphは良いアイデアだと思っています。これもコピーされるなら、残念ですね」。

山は、Kirakiraがソーシャルグラフの獲得ではなく、光の増幅に専念していることが、競争上の優位性だと考えている。

Apptopiaの統計情報

Kirakiraの11月13日の最新アップデートで導入された、新機能のKirakiragraph(光を動かすだけの機能)は、1年で最も光にあふれるホリデイシーズンのクリスマスと新年イブに向かって近付いていることを思えば、先見の明があると言えるだろう。

このアップデートを使えば、KIrakira効果を静止画像上で得ることができる、これはIconeryのようなオンラインのブランドが既にPhotoshopを使って行っているようなものだ。

山は彼自身が持つダウンロードのデータは開示しなかったが、彼自身アプリの日次ならびに月次のアクティブユーザー数のデータは持っていないのだと語った。収入と利益に関しても同様に開示は行わなかったが、彼はApptopiaの数字はおおよその傾向を示すものだと語った。彼の将来の計画にはAndroid版のKirakiraを開発することが含まれているが、ソーシャルネットワークの構築は考えられていない。VCによる資金調達については考えてもいない。

山はKim Kardashianのような世界的に有名な人びとが、彼のアプリを使っていることに畏怖の念を抱いている。

「その世界は、私にとってはあまりにも遠い世界です」山は、Kirakiraを使っている有名人で、彼に連絡してきた人はまだいないと述べた。「個人からの連絡はないのですが、企業とのコラボレーションの話ならいくつか持ち込まれています」と彼は説明する。

彼は、この先ARに、Kirakiraのやり方以上にファッションに影響を与える多くのチャンスがあるだろうと見ている。「CGはリアルな写真表現に適しているので、CGやカメラがもっと身近になり、ARとして様々な表現が生まれるでしょう」と彼は説明する。

Kirakiraは意図的にシンプルにされたものだが、美しさとファッションの世界にはより複雑なARの相互作用が入り込む余地がある。SephoraとMacの両者はModiface SDKを活用して、混乱すること無く猫の目や光沢のある唇を試すことを可能にする。Fabby Lookのようなアプリは、髪の色を変えることを助けるし、世の中はデジタル整形手術を施してくれるアプリケーションの宝庫だ(Amanda Hessでお馴染みにように、結果は良かったり悪かったりだが)。

似たようなセマンティック画像認識技術が、服の色や、全身の体型に適用されるのは、もう時間(とAI、画像認識、そしてCGの発展)の問題である。David Foster Wallaceの予言するディストピアアバター技術の登場だ。

最近行われたAmazonによるBody Labsの買収が何かの合図ならば、テクノロジーマフィアは、ソーシャルメディアの写真のインパクトを、さらに高めるために、全身を赤ずくめ、黄色ずくめ、もしくは毛皮に加工するアプリに取り組んでいることだろう。いまやインパクトが何よりも大事な指標になりつつあるからだ。今やファッションショーは、人びとに服をInstagramに投稿してもらうための方便に過ぎないと、アナ・ウィンター(映画「プラダを着た悪魔」の鬼編集長のモデルとされる人物)が語ったというこ噂がまことしやかに流されている。

さてソフトウェアも同じようにショーの舞台に上がれるだろうか?#kirakiraハッシュタグをクリックするだけで、このアプリが既にインフルエンサーたちに影響を与えていることがわかる ― 上の例を見て欲しい。これらの輝くシャネルのブーツはこのシーズンの最新の靴だ。そしてこれらの輝くドレスたち。そしてこれ。そしてこのアイシャドウ。 そしてこれも

「2017年の終わりまで、キラキラした服(Kirakirable outfits)だけを着よう」Instagramを活用する新しいビューティブランドGlossierが、最近このような投稿を行った。新しい流行りへ方向性を嗅ぎつけたのだろう(彼らはいち早く “millennial pink”を取り入れたブランドでもある)。

結局のところ、美とは何だろう?光の増幅に過ぎないのだろうか?

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(翻訳:Sako)