ベンチャーキャピタリストが求めているのは何か。出資を求める起業家であるなら、VCが何に興味を持っているのかを知り、その興味分野に応対するのが正しいやり方だろう。昨日(米国時間6/24)、Media Kitchenが主催したイベントでベンチャーファームのプレゼンテーションを3つ見てきた。Union Square Ventures、DFJ Gotham VenturesおよびFirst Round Capitalの三社のものだ。プレゼンテーションではそれぞれのファームが興味を持つ分野について説明があった。共通するのは何か既存の仕組みに変革をもたらす「構造改革」だ。
共通して興味を感じているらしいのは、数年間の胎動期を経てようやく姿を見せつつある携帯向けウェブの分野。DFJ GothamのパートナーであるThatcher Bellは、iPhoneと台頭や進行中のAndroidを巡る動きで、携帯向けウェブがゴミでないことが証明されたと語った。各種機能をフルに実装した携帯向けウェブを作成することができるようになり、これまでPC上で作成してきたウェブと同等の機能を持つものを携帯向けにも実現できるようになったとのこと。また、コンテンツ、商取引、広告などのパーソナライズ分野には依然注目が集まっている。さらに今やすべての人が利用する膨大な情報やパーソナルメディアのデータをうまく活用するスタートアップもVCの興味を惹きやすい。
Union Square VenturesのパートナーであるAlbert Wengerは、ハイプ曲線に乗って現実を多少リードしてもウェブ上で実装される技術によっていずれ追いつかれることになると言う(上掲のスライド参照)。Union Squareが投資を考える構造的な変化ないしシフトには以下のようなものがある。
市場によらないone-to-oneの商取引
仮想世界と現実世界の融合
異なるサイトやサービス間での統合的ID管理
世代交代
ウェブの世界規模での発展
モバイル
ウェブはソーシャルなものとなり、プログラマブルで面白く、そして知的なものとして成長を続けている。しかしモバイル環境の充実や世界規模での広がりはウェブの世界により大きな「シフト」をもたらすものだ。また、ウェブユーザの世代交代もある。Wengerの定義はこうだ。
最初のコンピューターを所有する前にデートしていた世代と、デートを始める前に最初のコンピュータを所有していた世代
ウェブ世界におけるリスクについても触れていた。
スケーリング
ネットの中立性
データの所有権問題
急激に人気の高まっていくウェブを運用するスタートアップは、スケーリングの問題にきちんと対応しないと全体の計画を頓挫させてしまうこともあり得る(Union Squareの投資するTwitterを見よ)。但しWengerは、この問題はクラウドコンピューティングの成熟によって、自然に解決されると考えている。ネットの中立性については、ISPが特定のデータをブロックしたり、他データと区別して取り扱う際にリスクとなり得る。またウェブ企業がユーザからかき集めたデータがいったい誰のものなのかという話になるとプライバシー問題も絡んだややこしい問題になることもある。スタートアップ企業はこれらのリスクへの対応も練っておく必要がある。
昨今のウェブ広告費の鈍化にも関わらず、VCはオンライン広告は他のメディア広告からシェアを奪ってくるものと楽観的だ。また、デジタルメディアのパーソナライズ傾向の進行により広告分野にもこの傾向が適用されると見ている。DFJ GothamのBellは広告配信方法の進化は、一斉配信のマスメディア方式からカテゴリ、行動様式、文脈別、そして最終的には社会関係に応じた形への配信へと進んでいくと見ている(下のスライド参照)。Bellが注目するテーマは次の通り。
コンテンツ生成の自動化
ようやく日の目を見そうな携帯向けウェブ
より高度なターゲティング広告
よりフレンドリーなヒューマンインタフェース
クラウドコンピューティング
Bellによると、ウェブはまだまだ快適に利用できるようになる。例えば現在のGoogleのインタフェースとウィンドウズ登場前のPCにあった C: プロンプトを比較している。
利用者から入力を受け取ってそれを金に換えるGoogleのやり方は、検索エンジン運営会社にとって本当に素晴らしいものだ。しかし人間にとってみれば、これがコンピュータと関係する最適な方法というわけではない。
SearchMeなどで実装されているような、より直感的な検索インタフェースが必要だとBellは主張する。
現在、IPOを行う企業数が激減している(National Venture Capital Associationによれば、複数ベンチャーによる投資を受けた企業のIPOが第二四半期には0件だった)。しかしVCは次、あるいはさらにその次を探し続けている。
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(翻訳:Maeda, H)



