Google対Viacom 訴訟で連邦地裁、YouTubeのユーザーをオオカミに投げ与える
by Michael Arrington on 2008年7月3日

現在進行中のGoogle/YouTube対Viacom訴訟はついにユーザー側に波及してきた。このほど裁判所はGoogleに対して膨大なユーザー情報をViacomに引き渡すよう命じた。もしこのデータが実際に開示されると、その結果は2006年にAOLの検索データが公開された事件に比べても比較にならないくらい深刻な結果をもたらす。

ニューヨーク南地区連邦地裁のLouis L. Stanton上席判事が発した命令と見解はここに(PDF)。

開示を命じられたデータにはYouTubeのすべてのユーザー名、そのIPアドレス、そのユーザーがYouTubeで閲覧したビデオの情報が含まれる。GoogleはさらにYoutubeから削除されたすべてのビデオも(DMCAに基づく削除要求であるか、ユーザー自身が削除したかに関わりなく)引き渡すよう命令された。この要求はユーザーのプライバシーを侵害するものだとGoogleは抗議したが、Stanton判事はそのようなプライバシーに関する懸念は単なる推測に過ぎないとして退けた。

ところが一方で、ViacomがGoogleに対してYouTubeのソースコードを引き渡すよう要求していた点については、同判事は「他社が同じだけの投資をせずに同様のサービスを構築できることとなり、Googleの競争的立場に破壊的影響を与える」として認めなかった。

ロースクールを1955年に卒業したStanton判事のような人物がオンライン・ビデオに関する問題点にまったく無知であるのは驚くに当らない。しかし判事に仕える若い助手や研修生の1人くらいは次のような点を指摘するべきだった。(1)Viacomのような名うての訴訟好きの著作権保有者にYouTubeユーザーのビデオ閲覧情報を引き渡せば、そのユーザーが著作権を侵害したとして訴えられる可能性がきわめて高い。(2) YouTubeのソースコードなどはそれが記録されているハードディスク・ドライブほどの価値しかない。そもそもYouTubeのテクノロジーの中核をなすFlashはGoogleではなくAdobeの所有にかかるものであり、YouTubeより画質が良いクローンがすでに無数に誕生している。

YouTubeの本質的な価値はネットワーク効果にある。つまりすでに蓄積されたコンテンツとその膨大なユーザーにこそ価値がある。

したがって今回のプライバシーの崩壊の影響は測り知れない。EFF〔電子フロンティア財団〕はすでに「この命令は連邦法に違反するおそれがきわめて高い」という声明を発表している。

Stanton判事は今のところ問題の法律には興味がないようだ。また判事は、今回引渡しを命じたデータには、Viacomの要求、つまり著作権を侵害するコンテンツとそれ以外のコンテンツの比率を判定するという目的のためには不必要な情報が大量に含まれているという点も全く理解していないようだ。Viacomはその目的のために必要ない、はるかに広い範囲のデータを要求している。その目的は音楽ビデオやテレビ番組を何度か見たユーザー個人を訴える(あるいは訴えると脅して金を搾り取るというRIAAの大好きな手法)以外に考えられない。

私は謹んで申し上げるが、Stanton判事は大バカ者だ。一方、Googleがこのデータを引き渡したが最後、膨大な集団訴訟の嵐に直面することになるだろう。

[原文へ]

(翻訳:Namekawa, U)

  • http://jp.techcrunch.com/archives/20080703department-of-civil-disobedience-google-should-deliver-its-youtube-data-to-viacom-in-paper-form/ TechCrunch Japanese アーカイブ » 「市民的不服従」部門:GoogleはYouTubeデータを紙でViacomに渡すべきだ

    [...] 最近のGoogleに対する裁判所命令で、これまで視聴されたYouTubeビデオに関する全データをViacomに引き渡すよう指示が出されたことは、YouTubeを一度でも利用したことのある人(即ちインターネット利用者ほぼ全員)のプライバシーに対するばかげた法の拡大解釈である、と多くの人たちを脅かした。Googleは可能であればこの裁定と戦い続けるべきだ。 [...]

  • http://d.hatena.ne.jp/kaoru19/20080704/1215143679 よしのずいから

    [技術] Googleが裁判に負けた…

    Google(YouTube)がViacomに裁判で負けた件 Google対Viacom 訴訟で連邦地裁、YouTubeのユーザーをオオカミに投げ与える(TechCrunch、2008/07/03) この判決は疑問。理由が想像がつかない。 参考リンク…

  • http://refueler.cno.jp/archives/815 基地内( ´∀`)

    本気の馬って5馬力ぐらいだっけ?…

     
    普通の人間でも短時間なら1馬力は…
     
    馬力の話でもしようかと思ったけど( ´∀`)
    向こうの方の電話の声がオモシロすぎて噴いた
    「あーなるほど。スラユーザーのチョロチョロ….

  • http://cottonwoodhill.blog21.fc2.com/blog-entry-4594.html Cottonwoodhill 別別館

    (開示)Google敗訴により全世界のYoutubeのユーザー情報がViacomに渡る?…

    批判コメントの嵐!Google訴訟、Youtubeのユーザー情報まで開示の判決

    そのうち日本も大騒ぎになると思いますが、Googleが昨日裁判に負けて大変な……

  • http://suicidegarden.blog47.fc2.com/blog-entry-44.html 紅天手記

    Stanton、恥を知れ…

    Google対Viacom 訴訟で連邦地裁、YouTubeのユーザーをオオカミに投げ与える
    一部こちらの記事から文章を引用させていただいてます。

    かの有名なGoo……

  • http://fenethtool.wordpress.com/2008/07/05/links-for-2008-07-04/ links for 2008-07-04 « Closed Guys

    [...] TechCrunch Japanese アーカイブ » Google対Viacom 訴訟で連邦地裁、YouTubeのユーザ… (tags: youtube google copyright 裁判) [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/20080707google-lets-you-monitor-access-to-your-gmail-account/ TechCrunch Japanese アーカイブ » Googleが、Gmailアカウントを監視可能に

    [...] 今回のGmailの新機能は、検索の巨人による一連のプライバシー関連発表の最新のものだ。われわれは先週火曜日(7/3)司法がGoogleに対し、YouTubeの全ユーザー記録をViacom/YouTube裁判の一環として提出するよう求め、これが大きな怒りを買ったことを報じた。それ以来Googleはプライバシーに関する懸念を示すのに余念がないようで、(何か月も反対し続けた後)サイトのプライバシーポリシーをトップページに移動したほか、Gmailのセキュリティ強化を実施した。 [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/20080712the-issue-of-trust-is-with-google-not-viacom/ TechCrunch Japanese アーカイブ » YouTubeのログ引き渡し問題で問われているのはGoogleの信頼性だ

    [...] Google対Viacom 訴訟で連邦地裁、YouTubeのユーザーをオオカミに投げ与える [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/20080827transcoding-is-not-a-crime-says-court-in-veoh-porn-case/ TechCrunch Japanese アーカイブ » フォーマット変換は犯罪ではない, Veohがポルノ訴訟で勝訴

    [...] 実際に一二度インターネットを訪れてみてから判決前の審理をしてくれる裁判官がやっと現れた。カリフォルニア州北部地区地裁のHoward Lloydは、アダルトエンタテイメント企業IO GroupがVeohに対して2006年に起こした著作権侵犯の訴訟を今日(米国時間8月27日)却下した。当時Veohは、ユーザがアップロードしたポルノを掲載していたが、それらが実はIO Groupのものだった。DMCA通告による素早い取り下げにもかかわらず、IO Groupは訴訟に踏み切った。 [...]