退屈な企業への追い越し車線をひた走るFacebook
by Michael Arrington on 2008年7月25日

まったくSam Gustinの言う通りで、昨日(米国時間7/23)サンフランシスコで開かれたFacebookデベロッパーカンファレンスは結局は高いびきを催すような退屈なものだった。でもそれはCEOのマーク・ザカーバーグのステージが失敗だったせいではない。

まず、イベントそれ自体が眠気を催す内容だったというのは単に事実と異なっている。基調講演の前後ではミュージックをガンガン大音量で流した。あの音があまりにも大きかったせいで耳が悪くなった人が文句を言ってるんだろう。私もあのノイズ聴いたときには「これはまずいな」と警戒し、ややパニックに陥ったけどね。でも絶対眠くなんかなかったぞ。それにもっと真面目なこと言わせてもらえば、ズッカーバーグ自身これまで見た中では最も寛いだ雰囲気でカリスマ性を発揮していた。まだスティーブ・ジョブズとは程遠いが、だからと言って怠け者ってわけでもない。

Facebookやるなあ、というかなり盛り上がった気持ちで会場を後にした。彼らはデベロッパーに対し、人を惹きつけるアプリを作って、お互いナイスにプレイしていこうと、明確なメッセージを出した。褒めるところは褒めて罰すべきは罰するという物事の両端に対処する飴(報酬)と鞭(処罰)のシステムもクリアに打ち出した。

が、この手の超豪華ショーはじっくり時間を置いてからじゃないと現実に何が起こったか消化できないものだということも、私は経験から学んでいる。で、よくよく考えてみると、Facebookのサービスと遂行能力には少なからず期待外れの感も否めないのだ。

Snatching Mediocrity From The Jaws Of Victory

1年前、FacebookはFacebook Platformをローンチしてネットは火をつけたような騒ぎになった。 ライバルは大慌て対抗策を打ち出し、それを皮切りにFacebookの馬鹿騒ぎが始まった。

世界最大手のSNS企業価値は最大ではないが)としてFacebookは注目を独り占めしており、ずっと自社の一般イメージを変えるような、対話型の大胆な新プロダクト(News Feeds、Platform、Beacon)の発表に意欲を燃やしてきた。

次は何を出してくれるんだろう、とみんなが注視している。5月には「Facebook Connect」という、サードパーティーのサイトが自サービスとFacebookのプロフィール情報を統合化できるものが出るという噂が表面化し、GoogleMySpaceも大急ぎでほぼ同じ機能を備えた自社バージョンの同じプロダクトの発表を出した。 Google(Friend Connect)に至っては名前まで、怪しいぐらい似ている。

が、今日の彼らは大胆とは言い難く、その行動には世の中のオピニオンリーダーらしいところも見られなかった。物議を醸すエキサイティングな新製品の実験を公開し、聴衆がどっと沸く場面もない。代わりに出たのは大掛かりな総点検が必要なプラットフォームに対し、どうでもいいような小さな改善を行うという発表である。

この日のアジェンダ最大の注目株のFacebook Connectも、まだバイパーウェアの段階だ。提携各社がずらずらと並んでステージに登場し、今秋サービス開始後はこれを使ってどんな素晴らしいことをやるか説明した。そうこうしてる間にもGoogleプロダクトは実稼働中のアルファ段階だし、MySpaceなんてData Availabilityの全面サービス開始を済ませてしまってる。

新登場の3階層のアプリ格付けランキングシステム3月初出エントリ)には、ブラックハットのデベロッパーに対処するものだが、プラスより頭痛の種を多く抱え込むことになる恐れもある。それじゃなくてもデベロッパーたちの間からは前々からFacebookの対応はえこ贔屓という不満の声が挙がっているしね。

もっとがっかりなのは、Facebookがこの日は発表を控えた内容だ。 決済プラットフォームもなし、デベロッパーたちが憐れなまでに低い(しかも降下曲線を辿っている)CPM広告以外にも収入を確保できる道を作ってくれと泣きついているにも関わらず。

Facebookは、今や古臭くて基本的に使いものにならないメッセージシステムの問題にも言及しなかった。Gears導入でMySpaceが良い前轍を踏み固めてくれたのはもう2ヶ月近く前の話なのに。

Facebookはこの絶好の機会を生かしてグーグルに機嫌を直してもらい、互いのサービスの統合化を図ろうと呼びかけることもしなかった。競争もいいけど、ユーザーにしてみれば相互運用性のあるサービスの方がいいに決まってる。つまりFacebookはこれからも、ユーザーが自分の情報でしていいことと悪いことを当の持ち主であるユーザーにいちいち言ってくる状況が続くのだ。

最後にひとこと。Facebookはスローなアプリ作るデベロッパーに対し、もっとスピードアップしなきゃだめだ、スケーリングのことも考えろよと言って非難してきた。が、今やFacebookの事業全般のこの遅さはなんなのだ、という不満の声が急増している。自分のアドバイスに耳を傾けるべき頃合いなんじゃないかな。

あわよくば世の中をひっかき回してやろうとチャンスを窺っている、若くて向こう見ずなアンダードッグ(負け犬)のスタートアップ。こちらのイマジネーションを捉えて離さない、世界を変えるはずのFacebookが、突如手のひら返したように、失うものが大きい企業のように振舞っている(だから守りに回るのだ)。そろそろここも元の大胆不敵なところを取り戻してリスクをとる時期ではないか。そうでもしないと単につまんない会社になるリスクが待ってるだけだ。 そうなったらおしまいで、追い越し車線で十人並みの会社にたちまち落ちぶれるだろう。

[原文へ]

(翻訳:satomi)

  • http://jp.techcrunch.com/archives/20081204facebook-connect-now-generally-available-as-well/ どうするGoogle。Facebook Connectも一般公開だ

    [...] Facebook Connectは全デベロッパーに開放されたものの、Facebookの初期パートナーであるはずの多くのサービスでまだ公開実装されていない。一部のサービスは、この夏に行われたF8カンファレンスで大きく取り上げられていた。 [...]

  • http://hati.ever.jp/69.html 前轍をもっと深めたい。 | 最近のドラマ情報・クローバー

    [...] TechCrunch Japanese アーカイブ » 退屈な企業への追い越し車…myspaceが良い前轍を踏み固めてくれたのはもう2ヶ月近く前の話なのに。 facebookはこの絶好の機会を生かしてグーグルに機嫌を直してもらい、互いのサービスの統合化を図ろうと呼びかけることもしなかった。競争もいいけど、ユーザーにしてみれば相互運用性のある…はてなブックマークより [...]