
アップルの国際製品マーケティング部門シニアVPのPhil Schillerが去る6月、WWDC基調講演のステージでMobileMeを初披露した時には、その場に居合わせた誰もがその公約を聞きながら、自分の目の前でこの最もスタイリッシュなハードウェア&ソフトウェア・カンパニーが強大なインターネットサービスプロバイダに脱皮したものとばかり思い込んでいた。
MobileMeは、ずば抜けて機能性に優れている ―プッシュ・テクノロジーを使って全端末でメール、連絡先、カレンダ記載のアポ、写真をシンクできる“残りみんなのためのExchange”― のみならず、飛びぬけて美しいという触れ込みだった。伝説のデザインの技能をSproutCoreのJavaScriptフレームワークに応用することで、アップルはブラウザベースのハブを実現した。それは、コンシューマに端末の柔軟性をエンパワーするだけでなく、アップルがクラウドコンピューティング分野で主要プレーヤーになるという発想も生むようなものだった。MobileMeは建前上は、6年前からある.Macサービスのアップグレード版に過ぎないということだったが。
あ~あ、それがどうだい。蓋を明けてみると、この転身はアップルが期待した以上に長く辛い強行軍ではないか。見切り発車後もダウン続きで、ビジネス全般で欠陥が…。スティーブ・ジョブズは従業員宛ての社内メールで「MobileMeをiPhone 3GとiPhone 2.0ソフトウェア、App Storeと同時にスタートしたのは失策だった」と認め、「MobileMeのローンチで分かったのは、まだまだうちもインターネットサービスについては学ぶべきことが多いということだ」と書いた(日本語詳細)。ミス一つない完全無欠イメージを大事に保持することで有名な企業からこんな自白が出るのは異例なことだが、ここではまた別の疑問も持ち上がる。つまりアップルが今後オンラインにサービスおよびソフトウェアを移転するに伴い、ちゃんとそれに合わせて変体していける(体質を変えていける)かどうか、という部分だ。
なるほど、アップルはネットで成功を収めた実績がゼロではない。つまりiTunes Storeで有料楽曲・映画ダウンロードを実現した。MobileMeがコケたのを受け、アップルiTunesのVP、Eddy Cueがアップルのインターネットサービス全体の責任者に配置されたのも、このストア運営の成功が買われてのことに思える。が、Cueがプロプリエタリのフレームワークの中で済むWebで繋がるデスクトップ専用アプリ(iTunes)の導入で培った経験を、Live MeshやSugarSyncみたいな会社と競合する、より分散したブラウザベースのプラットフォームにすんなり当てはめていけるかどうかは今後を見ないとなんとも言えない。それに、グーグルが自社のウェブトップサービスにデスクトップと同期が取れる機能を追加投入し、MobileMeのサービスともっと直接対決ということだって考えられる。それも気になるところだ。
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(翻訳:satomi)




