BrightcoveのCEO、オンラインビデオの成功と失敗を語る
by Jason Kincaid on 2008年8月25日

先週、私はファウンダー、CEOのJeremy Allaireを始め Brightcoveのメンバーと会って話す機会があった。われわれはコンシューマ向けとプロ向けのマーケットの棲み分けを含め、オンライン・ビデオの将来について議論した。たいへん興味深いことに、AllaireはBrightcove(とオンラインビデオ企業全般)がこのマーケットに進出するにあたって味わった失敗について進んで語ってくれた。

2005年のローンチ以来、Brightcoveはオンラインでビデオコンテンツを公開しようとするテレビ局、出版社、音楽業界などのユーザーを集めてきた。同社はまたバイオテクノロジーや製薬業界といった普通考えられないような分野で大いにユーザーベースを増やしている。Brightcoveのサービスは海外でも急成長を遂げており、国際展開してわずか1年で、外国市場は収入の20%を占めるまでになっている。

しかし、これだけの成功にも関わらず、Brightcoveやその他のビデオプラットフォーム各社が現実に何をしているのかについて、依然大きな誤解が広まっている。長年にわたって、Brightcoveのようなサービスと一般ユーザー向けビデオポータルのYouTubeやMetacafeはひとくくりに考えられてきたが、両者はまったく異なった性格のサービスだ。

両者の間には、Flashベースのビデオプレイヤーを利用しているという以外、共通点はほとんどない。Brightcoveやそのライバルが対象とするユーザーはプロフェッショナルな企業であり、クラウド・ベースのソフトウェア・サービスでそれらの企業がビデオ・コンテンツをオンライン化する作業を受注している。これは単にメディアプレイヤーを提供するだけにとどまらない。Brightcoveはユーザー企業のコンテンツがそれぞれのサイトに適正にプラグインされるよう、広告分析やコンテンツ管理のためのプログラミング・ツールの提供も行っている。逆にYouTubeその他のサービスは主としてアマチュアが手軽にコンテンツをウェブ上で利用できるようにすることを目指している。

混乱は主に名称から来ている。どちらもビデオ・プラットフォームと呼ばれるからだ。とはいえ、Brightcove自身、混乱に多少の責任がある。というのも、Brightcoveは一時、Brightcove.TVというYouTube風の一般ユーザー向けサービスを提供していたことがあるからだ。このサービスは2007年後半に事実上打ち切られた。以来、同社はB2B(企業対企業)サービスに全力を注いでいる。

Brightcoveのように大きな成功を収めた企業にも、Brightcove.TVのような失敗サービスが生じるということは、オンライン・ビデオというのはなかなか作り手が思ったように成長してくれないものだということを改めて証拠だてる。当初、このマーケットが成長し始めた頃は、何百万というアマチュアのビデオ・コンテンツ制作者がビデオで収益を上げようとし、それによって巨大なロングテール・マーケットが現実化するものと広く期待されていた。この期待はまったく実現しなかったとAllaireは言う。なるほど、一部には成功したビデオ制作者も出たが、ロングテールによるビデオ市場のビジネス化は不可能なまま終わった。

Allaireによると、オンライン・ビデオ配信というコンセプトがおおむね失敗に終わった分野としては、もうひとつ、テレビ放送のコンピュータ化があげられるという。Allaireも当初オンライン・ビデオによるテレビ番組の民主化を期待していたという。しかし、主として多数の互換性のないビデオ・フォーマットと著作権のライセンス問題のせいでこれは実現が阻まれた。 この問題についてBrightcove自身ができることはほとんどなかったので、Allarieは消費者向けエレクトロニクス業界に対して公開状を書いて対処を訴えた。しかしわれわれが期待しているようなオープンな標準の早急な実現はもちろん望み薄だ。

最後に、Allaireは有料で視聴するオンライン・コンテンツというモデルはおおむね失敗に終わったと認めた。(ただし、この点ではあまり失望していないとも述べた)。Brightcoveは有料メディア・コンテンツ向けのプラットフォームの開発に多額の投資を行った。しかしこのマーケットも不発に終わった。AllaireはAppleのiTunesのテレビ、映画販売のようにいちおう成功した例もあるものの、全体としては、消費者向エレクトロニクス業界が前述の障害、標準化とライセンスの問題を解決するまで、コンテンツ配信の全面的なオンライン化が起きるのは難しいだろうと考えている。

向こう数ヶ月の間に、Brightcoveはすっかりリニューアルされた新しいバージョンを公開する予定だ。(現在プライベートなベータテスト中)。この新バージョンの公開後は、なおいっそう国際化が進み、また一般企業が気軽にビデオを公開するようになるにつれて、テレビ局や音楽産業のような通常のコンテンツ産業に依存する割合も少なくなるだろうとAllaireは予想している。ビデオ・プラットフォームを提供するライバルには、Maven NetworksMove NetworksDelve NetworksOoyalaなどがある。

[原文へ]

(翻訳:Namekawa, U)

  • http://bookmark.dac.co.jp/story.php?id=108 匿名

    BrightcoveのCEO、オンラインビデオの成功と失敗を語る…

    私はファウンダー、CEOのJeremy Allaireを始め Brightcoveのメンバーと会って話す機会があった。われわれはコンシューマ向けとプロ向けのマーケットの棲み分けを含め、オンライン・ビデオの…