いろいろ問題を抱えながらもMicrosoftは偉大なソフトウェア会社だ。同社の中核商品であるWindowsオペレーティングシステムとOffice生産性スイーツは、未だにそれぞれの分野を支配しており、常に力のあるライバルに直面して市場シェアを減少させながらも、WindowsとOfficeが強力な製品ラインであることに変わりはない。
しかし、レドモンド国で何かが腐り始めていることは間違いない。Microsoftの年次報告書を読んでこの確信は強まるばかりだ。全文を読みたくない方々のために、Brier Dudleyのブログに優れた要約が載っており、Ballmerを夜も眠れなくしている諸問題に注目している。
しかし、Microsoftに対する消費者指向を変えさせたのは市場勢力図ではなさそうだ。本当にMicrosoftの計算を誤らせているのは、新しいテクノロジーを使ってみたい、テクノロジーにお金を使いたがっている消費者、即ちY世代の消費者たちに対して、Microsoftなど必要ないということを示している他の会社たちだ。Facebook、Apple、Googleをはじめとする会社が、若い消費者のテクノロジーの消費形態を、即ち購買行動を変えた。そしてこれは、ソフトウェア会社、それも動きの早いとは言えない会社にとっては特に危険な状況だ。
おそらくFacebookが最もわかりやすい事例だろう。Mark ZuckerbergらはFacebookにソーシャルユーテイリティーというブランドを冠しているが、若者たちが気にしているのは機能だけで、Facebookが成功したのはコミュニケーションと情報管理のためのキラーウェブアプリケーションだからだ。Facebook Mailには問題があるが、Facebook MailとFacebook Chatに自動更新アドレス帳として機能するものが加わると、Facebookが新しいOutlookに変わる。これは、シリコンバレーにいる人たちだけでなく、Facebookを唯一または主たるデジタルアイデンティティーとしている何百万という人たち誰にでもいえることだ。LinkedInはFacebook以上に明確で、
デジタルRolodexとして機能することによって、個人にとって不可欠あるいはプロフェッショナルなコミュニケーションの主要地点になろうとしている。
Microsoftが若年ユーザーの理解ができていない実例をもうひとつあげるならこの会社のソフトウェア設計哲学で、私が「できるだけ機能を盛り込め」と概括するものだ。しかし、これは市場で、特に若年層に対して最もよく売れている製品とは対極にあるようだ。Microsoft Officeはこの一番わかりやすい例だ。Word 2008のリボンには無数のオプションが埋もれているが、ほとんどのユーザーはめったに使うことがない。また、Excel 2008では、ビボットテープルが必要なユーザーもいるだろうが、スプレッドシートを使う大多数のユーザーは生涯使う必要がなく、Visual Basicでマクロやスクリプトを書くこともないだろう。Google DocsとZohoが特に学生の間で成功していることから明らかなのは、求められているのが強力であると同時に簡単に使えるツールだということだ。使いやすさ、協業機能、デジタル環境での公開なとに焦点を絞ったウェブベースのOffice代替品だけでなく、iWorkやStar Officeも好調なのは、これが理由だ。
ここから一体何が言えるだろうか。Microsoftが格言に学びそれに従うなら、消費者が何を望んでいるかを聞き、そのニーズに合った製品をデザインしなければならない。Microsoft製品であるというだけの理由で、消費者がMicrosoftが出したものを何でも買うと想定してはいけない。そして、今日の若い消費者、即ち明日の浪費家が欲しがっている製品は、携帯性、使いやすさ、シンプルさに焦点を絞ったものだ。おそらく、Microsoftを最もいらだたせているのは、Appleキラー製品を作れない理由がハードウェアではないことだろう。Windowsプラットホームの走る優秀な製品は存在している。しかし、若い消費者が情報を作り、広め、消費するやり方を考えると、彼らは優れたハードウェアだけが欲しいのではなく、優れたコンピューティング体験が欲しいのだと私は確信している。Microsoftが若者の声を聞いて、ただひたすら使える製品とサービス、即ちクラッシュせず、ブルースクリーンも出ず、あきれるほど簡単なユーザーインターフェースの製品とサービスを作るようにならない限り、Microsoftとその株価に憂鬱な気分が垂れ込めることになっても私は驚かない。
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(翻訳:Nob Takahashi)




