何故オンライン楽曲業界は収益分配モデルに切り換えるべきなのか
by Erick Schonfeld on 2008年10月2日

「大きいパイほど苺はたくさん入る」―米政府機関「Copyright Royalty Board(CRB)」にはそうひとこと言いたい。

楽曲版権使用料のレートを審議するCRBの3人合議が明日(米国時間10/2)、向こう5年間のデジタル楽曲ダウンロード新料金体系を発表する。これは音楽出版社(各楽曲の事実上の版権所有者)の懐に入る版権料で、現在は1曲9セントに定められている。音楽出版社はこれを1曲15セントまで値上げしたい方針。アップルは、そんな新レートが適用されたらiTunes閉鎖やむなしな状況になっちゃうかもよ、とそれとなく脅しをかけている(はいはい、仰る通りで)。

アップルは今もデジタル楽曲ダウンロード市場の約85%をコントロールしているが、この版権使用料はAmazon、Rhapsody、MySpace Musicはじめ他の企業も拠出しなくてはならない。音楽出版社(アーティスト本人が兼業のことも多い)は自分たちの分け前が風化しないよう、ここでなるべく高いレートで鍵をかけてしまいたいのだ。一方、アップルとレコード会社は楽曲当たりの一律固定料金ではなく、収益に応じた歩合にすべきだと主張。アップルは収益の6%、レーベルは8%でどうかと提案している。 iTunesの場合、この歩合は今の1曲99セントの料金から捻出するので楽曲当たりの使用料は(それぞれ6セント、8セントで)減る計算になる。

表面上はアップルとレコード会社が弱い者(アーティスト、ソングライター、その他の音楽出版社)いじめしてるように見えるけど、このケースでは実のところアップルとレコード会社の言い分に理がある。オンライン楽曲は今や、Copyright Royalty Board(CRB)が定める版権使用料に手足がもがれた状態に陥っている(料金はダウンロードだけでなく、インターネットラジオのストリーミングにもかかる)。アップルは販売した1曲当たり70セントをレコード会社に払っている(その中から音楽出版社にも取り分が支払われる)。さらに6セント天引きできるほど大きなマージンは残っていないし、かと言って1曲$1.05にすると、これまた売上げに響くだろう。

それよりは収益分配(レベニューシェア)モデルに切り換える方が経済的にも納得で、デジタル楽曲販売ももっと独立運営の余裕が生まれるし、アーティストも業界と共存共栄できる。大きなパイから8%取る方が、小さなパイから9%取るより旨味は大きいのだ。

Copyright Royalty Board(CRB)は楽曲当たりいくらを音楽出版社の取り分にするか決めるよりも、音楽出版社が受け取る版権料の合計額を最大限確保する方向で努力すべき。収益分配モデルで行くしかないだろう。

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(翻訳:satomi)

  • http://jp.techcrunch.com/archives/20081002the-copyright-royalty-board-does-nothing-itunes-rates-remain-the-same/ TechCrunch Japanese アーカイブ » 著作権使用料委員会が現状を維持。iTunesの使用料も据え置き

    [...] 過渡期にある業界で、日々ルールが書き換わるなか、審査員3名からなるパネルは何もしないことを選んだ。そしてこれは賢明な選択だっただろう。しかし、今後5年間の料金体系を設定したことによって、同委員会はデジタル音楽業界全体がさらに確固たる基盤を作るのを手伝う機会を失ってしまった。昨日私が書いたように、著作権使用料委員会は、曲毎の料金ではなく、デジタル音楽収益の比率に基づいた料金体系を設定すべきだった。そうすれば、業界全体が揃って成長することができたはずだ。 [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/20081002nokias-comes-with-music-on-the-5800-nokias-attempt-to-out-itunes-itunes/ TechCrunch Japanese アーカイブ » [IT] Nokia、Comes With Music搭載5800を発表:iTunesではないiTunesへのチャレンジ

    [...] Nokiaの音楽戦略はMySpaceやimeemの、ちょっと利用する分には無料だが、最終的にはいろいろとお金のかかってくる、「魅力を示せば利用者は料金を支払う」というような方針に則ったものだ。Erickが言うように、一曲をストリーミングで提供する毎に9セントを支払い、関連グッズの売上げでその分を取り戻そうとしている。これはラジオにおけるビジネスモデルとほぼ同じものだ。Nokiaは、いったん契約が途切れた際に利用者が継続してくれないリスクを抱えている。しかし種を蒔くこと(すなわちNokiaの音楽ダウンロードサービスのこと)は重要な第一歩だ。Nokiaは長らく参入しなかった分野に進出するために、Comes With Musicを用意した。Oviなどの新サービスでウェブサービスへの参入(これは良い方針だ)を果たしたが、音楽や動画は得意分野ではない。但し電話機自体は良いものだし魅力的なもので、十分考慮に値するものになっている。 [...]