
仮に自分がビリオネアで株が落ちると分かってたら、普通は本能で売る。だが自分がインサイダー情報に内通した当事者な関係で株が落ちると分かってたとしたら、売るのは良くない。まさにこれをやって、ダラス・マーベリックのオーナー兼HDNet会長の企業家マーク・キューバン(Mark Cuban)が今、米国証券取引委員会(SEC)からインサイダー取引きで訴えられている。問題の取引きは2004年6月に売った検索エンジン「Mamma.com」の60万株。キューバンは株式の希薄化を伴う追加株式売出に参加するよう同社に依頼され、その後、この株を売った。
たぶん定型通りの契約書にはサインしたはずだが、その中に追加株式売出の詳細はインサイダー情報だと種別が明記されていたところまでは目を通していなかったのかもしれない。がSECでは、この情報はいったん入手したら最後、情報が一般公開になるまで法律では動けない定めになっている、と言っている。SECのプレスリリースは以下の通り。:
委員会がテキサス州北部地区連邦地方裁判所に提出した訴状によると、Mamma.com Inc.は2004年6月、 キューバンを情報秘匿に合意させた上で株式売出への参加を誘った。キューバンはこの売出しが一般市場価格より安い価格で実施され、既存投資家に株式の希薄化を招くことも知っていた、と訴状にはある。
さらに訴状によると、情報を入手して数時間以内にキューバンは自分のブローカーに電話をかけて自分が抱えている同社株のポジションをすべて売り払うよう指示したという。株式売出が公表されると、Mamma.comの株価は前日終値$13.105から9.3%($1.215)下がって$11.89で取引開始となった。訴えによると、キューバンは株式売出の公表前に持ち株を売ったことにより75万ドル超もの損失を回避した。
キューバンが得た株売却益はたった75万ドル。今回の裁判費用の方がずっと高くつくだろう。何故こんなことをやったのだろう? いつもは多弁な彼のブログもSECからの訴えに関しては口をつぐんでいるが、2004年のエントリにはこの株を買った理由が書かれているし、2005年の別トピの記事には余談としてMamma.comの株を売った理由がこのように書かれている。:
Mamma.com株を買ったのは前途有望な検索エンジンになれると期待したからだ。デューディリジェンスもある程度やったと思う。同社経営陣とも話した。営業で働く社員とも話した。SEC申請書類も読んだ。同社は運のない過去を持ち、株式プロモーターIrving Kottと繋がりがあったし、委託先の法律事務所は未だにKottのビジネスの一部業務を担当していた。それは分かっていたのだが、CEOも会長も弁護士たちもみんな口を揃えて、それは全部改革し、今はビジネスに集中していると言った。
そしたら、同社がPIPE(プライベート・インベストメント・イン・パブリック・エクイティ)の資金調達をやった。PIPEファイナンシングの良し悪しをここで論じるつもりはなが、自分にとってこれはデカいレッドフラグ(危険信号)だ。こういう資金調達の手を使う会社の株は持っていたくない。
理由か? 私募で株主以外の第三者に市場価格より安く売って、しかもさらに悪いことにワラント債発行で価格を下げる、この発想が好かないんだね。そこで株は売った。
彼は売った理由をかなり明確に書いている。PIPEを赤信号と見てとったからだ。それがインサイダー情報だという認識が彼にあったかどうかは本人のみぞ知る、である。 何故やったのか? これは彼のブログのトップに今出ている投稿(マーベリックの試合の話だが)のタイトルが、すべてを物語ってるようだ。「I Hate To Lose」。
Update: キューバンが以下の声明をブログに発表した(英文のまま転載)。法的な理由から多くは語れないようだ。:
I wish I could say more, but I will have to leave it to this, and let the judicial process do its job.
November 17, 2008
RE: SEC Civil Action in the United States Districtfor the Northern District of Texas, Dallas Division
Mark Cuban today responded to a civil complaint filed by the United States Securities and Exchange Commission in the United States District for the Northern District of Texas, Dallas Division. In its complaint, the Commission charges that Mr. Cuban engaged in violations of the federal securities laws in connection with transactions in the securities of Mamma.com Inc.
This matter, which has been pending before the Commission for nearly two years, has no merit and is a product of gross abuse of prosecutorial discretion. Mr. Cuban intends to contest the allegations and to demonstrate that the Commission’s claims are infected by the misconduct of the staff of its Enforcement Division.
Mr. Cuban stated, “I am disappointed that the Commission chose to bring this case based upon its Enforcement staff’s win-at-any-cost ambitions. The staff’s process was result-oriented, facts be damned. The government’s claims are false and they will be proven to be so.”
いやはや、SECも証拠集めに2年かかったようだし、これは一筋縄で片付かないかもしれない。

[原文へ]
(翻訳:satomi)




