
YouTubeのビデオのほとんどが、せいぜい数人にしか見られることがないのに、一方では大衆現象にまでなるものがあるのはなぜだろう。
米国のポストドクター研究員で、現在
スイス・チューリッヒ、ETH大学の起業家リスク講座で研究を行っているRiley Craneは、その答えを知っていると言う。氏によればオンラインビデオの成功は物理学で説明できるそうだ。
Craneによると、YouTubeビデオがヒットするときは必ず、ある「注目スパイラル」の形式に従って広まっていくという。部分的に物理法則に従う幾何学パターンだ。例えば、ある種のビデオの人気の減衰が、地震の余震のモデル化に通常使われている手法で説明できることを、同氏が発見した。ウェブでのソーシャルシステムは物理法則に従うので、数学的な分析が可能であると彼は信じている。
YouTubeビデオの人気は、各ビデオの視聴者数と注目の度合の増減を視覚化した曲線によって、その特徴をみることができる。例えば下の図では、2種類の注目スパイラルがみてとれる(左上:2004年12月にアジアの一部を襲った津波の後の検索行動のレベル。右上:ハリーポッターの2007年4月~12月の検索件数。左下:YouTubeでのハリーポッタービデオの再生回数。右下:YouTubeでの津波のビデオの再生回数)


Craneが、8か月以上にわたって約500万本のYouTubeビデオの利用状況を調査した結果、1日に100回以上見られたビデオは10%にすぎないことがわかった。この種のビデオの人気は、大規模な「外因性」ショックの後の爆発的な行動が観察されたか、あるいは数多い小規模な「内因性」要因による蓄積効果によるものなのかによって、識別することができるという。また、ウェブユーザーが他の人たちにそのビデオに対して行動を起こさせるよう、どの程度影響を与えられるかを考慮することも重要なようだ(Craneはこれを「臨界的」対「臨界未満」と呼ぶ。後者は影響を与えることが不可能であるという意味)。
Craneは、特に人気の高いヒデオを3種類のカテゴリーに分類している。
- 「ジャンク」(外因性臨界未満型。人気が出るのも落ちるのも急激なビデオ。下図左下の緑色のグラフ参照)
- 「バイラル」(内因性臨界型。サイトからクチコミで広がるビデオ。下図右上の赤いグラフ参照)
- 「上質」(外因性臨界型。急速に注目を集め、かつ質が高いためになかなか魅力を失わないビデオ。下図右下の青いグラフ参照)
ジャンクビデオの特徴は、視聴者の大半を含む非常に大きなピークがあり、サイトを通じて広まっていないことだ。バイラルビデオは、上質ビデオとは異なり、ピーク前に予兆的な増加がみられ、ゆっくりと減衰していく(上のハリーポッターの例のA図参照)。外因的な現象が確立してネットワークに広がるのには時間がかかる。しかし上質ビデオは、外因性「ショック」に反応してはるかに早くピークに達し、かつ減衰が遅い(上の津波の例のB図参照)。
Craneは、バイラルおよび上質ビデオについて、一定の期間きわめて特徴あるパターンを示すので、ヒデオが大ヒットする可能性を(傾向を分析することによって)予知できるはずであるという説を唱えている。
最終目標は、包活的で科学的根拠のあるオンライントレンド監視システムの構築だ。同大学のニューズレター(ドイツ語のみ)によると、現在AmazonがCraneのモデルをサイトに組み込むべく同氏と交渉中であり、早期段階に新製品の可能性を予測できるようになることを期待しているという。
ここでの決定的因子は(長期的目標の一つでもある)、変曲点、即ちバイラル効果が発動し、ビデオの販売または再生回数(YouTubeの場合)が急増する時点を、正確に見極めることだ。Craneモデルの詳細(共同研究者のDidier Sornetteと共著)はここにあり、オンラインで読むことができる)。
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(翻訳:Nob Takahashi)





