報道協定に死を
by Michael Arrington on 2008年12月19日

今のPR会社は制御不能だ。このカオスと戦うため本日(米国時間12/17)われわれはラディカルな対抗手段を敷く。これより先このブログでは、合意した報道協定を片っ端から、破る。

経緯:

ハイテク企業はなんとしてもマスコミに紹介してもらいたいので、ブログや大手メディアのサイトで取上げてもらえるようPR代理店にせっつく。するとせっつかれたPR会社は、自分たちのクライアントの記事を書くよう、こちらにせっついてくる。かくして礼儀正しく営業し、対面で付き合いを深める時代は終わった。今やPR会社はネタ1本で20回メールし、TechCrunch所属ライター全員の携帯に何度でも電話をかけてくる。記事に書かない(その場合がほとんど)など言おうものなら、散々な目に遭うことも多い(HWH PR/New MediaのLois Whitmanが良い例だ。ご一読を)。

この問題については時たまTwitterで悪態をつく程度で、ここ数年おおむね穏便に済ませてきた。よそ様にはWiredマガジンのクリス・アンダーソン編集長のように不満をもっと表に出している人もいるが。

ところが今になって、こちらも無視できない新たな問題が浮上してきたのだ。

ここで書くネタには、“報道協定”のニュースも一部混じっている。これは自力で掘り当てたネタではなく、PR会社が予めニュースの内容を説明し、記事化するよう依頼してくるもので、字にする場合、指定日時より早く公開してはならない決まりになっている。

そんな同報ニュースでも、ここの読者が知りたがるような良いネタは多い。それに予備説明の間に記事内容をじっくり考え、取材し、しっかりした記事を書く時間が取れるメリットもある。報道協定もきちんと守られれば、企業・読者の互いにプラスになる示唆に富んだ記事が書けるものなのだ。

なのに、ここに問題が生じた。崖っぷちのクライアントがPR会社にこれだけのプレッシャーをかけた結果、PR会社はハイテクニュースの記事を書く人なら文字通り誰にでも報道協定のニュースを流すようになったのだ。ブログも大手報道機関のサイトも、今はどんな零細でも新米でもメールがくる。昔はこうではなかった。が、これがますます問題になってきた。折りしも経済は地盤沈下の最中で、PR会社は月俸1万~3万ドルかそれ以上の報酬に見合う、それなりの成果を挙げなくてはならないプレッシャーが前以上にかかっている。早い話、彼らとしてもハイテク・ワールドにスパムを撒き散らしてニュースに取上げてもらうか、仕事を失うか、のるかそるかの瀬戸際なのだ。

が、ひとつ迷惑なのは報道協定違反 ―つまりニュースサイトが協定の日時まで記事差し止めを約束したにも関わらず、抜け駆けで先に報じてしまうケースだ。リークのメリットは言わなくても分かるだろう。―Google NewsやTechMemeは一番乗りでニュースを報じたメディアとして彼らの優先順位を上げるので、報道協定を最初に破った媒体に誰彼かまわずトラフィックとリンクがドッと流れ込むのである。

これはいわば、競争激化の市場環境と広告収入の落ち込みで自分の体内にストレスが溜まりに溜まっているニュースサイトが、どん底まで先を争って落ちていくレースのようなものだ。

ほんの1年前までは報道協定破りも月に1件というレアケースだった。それが今はどうだろう。報道協定はほぼ全部、破られているではないか。他より数分早く出す人もいれば、半日以上も前に出す人もいる有り様だ。

こんなルールではこちらも経営が立ちゆかないのである。

われわれの新方針

これは今後ますます深刻な問題になっていく。協定を破っても違反者には何一つとしてマイナスがないからだ。PR会社は怒る。でもそれで違反した版元やライター相手の仕事をやめるわけではない。違反者は手首にビシッとやられても懲りず、また同じ日に別の協定を破るのだ。

例外も稀にはある(本当に稀だが)。その一人がWaggener Edstromという、マイクロソフトの広報担当の人だ。彼らの報道協定は誰も破らない。何故なら破った人間には地獄を見舞うからだ。もう一社はグーグル。あそこは数回問題を起こした人間に対し核発射のオプションを選び、取材を延々1年も禁じた。もう想像がつくと思うが、グーグルとマイクロソフトが報道協定を敷いたニュースに、“抜き”はないのである。

TechCrunchではこれまで報道協定を破ったことがない。一度も。それも今日で終わる。これより先われわれの新方針は報道協定を片っ端から破ることなのだ。先方からの依頼には何でも喜んで合意する。そして合意した次の瞬間から何でもこちらの好きにさせてもらう。報道協定は1分早く破るかもしれない、3日早く破るかもしれない。それもランダムに選ばせてもらう。

二度と口をきいてくれない企業も出るだろう(よし!メールが減る)。が、それならそれで同じニュースを仕入れる別の方策を探すまでだ。TechCrunchは読まなくて本稿もまだ読んでない人たちは、その時になってギョッと驚くだろう。こうしてわれわれが充分お灸を据えればPR会社だって、ルールを破る版元の対処に重い腰を上げるだろう。

これも例外はある。こちらに独占でニュースを提供してくる信頼のおける企業やPR会社がお相手なら、こちらも記事差し止めに従うのはやぶさかではない。独占ニュースなら当方としても抜かりはないから大船に乗っていられる。あと、マスコミ全社対象の報道協定でも引き続きお付き合いしたいと思うほど信頼のおける相手もほんの一握りだが - たぶん3人 – いる(自分も入ってるかな? と今思った広報マンのみなさんはたぶん、入ってない)。だが、こちらの受信箱に飛んでくるニュースの圧倒的多数については、こちらの好き勝手な時期に場当たりでガンガン読者に流させてもらう。

この方針は本稿にUPDATEが入るまで有効とする。当分UPDATEはないものと思って欲しい。

それと報道協定が破られた有事には、関与する業者・企業・版元・個人ライターのブラックリストもこのTechCrunchに公開していくこととする。 無論この新方針が有効となった以上、リストのトップはわれわれのものだ。

Update: これに関する充実したディスカッションはMahaloでどうぞ。

Update 2: 暴言の続きはこちら

[原文へ]

(翻訳:satomi)

  • http://jp.techcrunch.com/archives/20081218meet-lois-whitman-the-poster-child-for-everything-wrong-with-pr/ Lois Whitmanは最悪に不快なPR屋の代表だ

    [...] ニューヨークのPR代理店HWHのLois Whitman-Hessをご存じだろうか? 彼女は最悪に不快なPR屋だ。PR活動でこれだけはやってはいけない、ということことばかりやっている。この記事は昨日(米国時間12/17)の私のPR代理店に関する批判の続きと考えてもらってよい。Loisは人を不愉快にして喜ぶ性癖をもっている。得意技はスパムだ。彼女がわれわれのレーダーに最初に映ったのはCrunchGearがPhoneScoopとこの女のやりとりを報じたときだ。.PhoneScoopはCESに登録したが、そうすると連絡先がありとあらゆるPR代理店に流されることを知らなかったようだ。その後、Loisからえらく場違いなPR(Samsungのテレビ)メールを受け取ったときに、PhoneScoopは次のようなメッセージを送り返した。「そちらのリストから私を削除してください。われわれのブログはこの種の製品を扱っておりません。私はこの種の情報、ないしこれに多少でも近いような情報を受け取るよう登録していません。CESのガイドラインによると、私のところにこういったメールが来るべきではないと思います。これはあまりにもスパムに近いやり方であり、顧客企業の利益にならないものと考えます。敬具」彼らがLoisから受け取ったメッセージは、あろうことか、以下のようなものだった。CESは媒体のリストを公表しているのよ。 そちらは数千社の一つです。誰でもこのリストにアクセスして自由に使える。公開情報です。ブースの出展者のためPR代理店としてわれわれはこのリストを使う権利があるのでご理解ください。メールが気にいらなければ「削除」ボタンというものがあるでしょう。それもいやならこれからはCESにプレスとして登録するのを止めたらどう? だいたい私を脅かすのを止めてちょうだい。何が正しいか間違っているかなんてあんたからお説教させるいわれはないわよ。私はこの商売を42年もやっているんだから。それに加えて、あんたのような馬鹿者を長年見てきたけど、みんな雨に降られた雪だるまみたいにあっという間に消えたわね。謝ってちょうだい。CESで会ったら仲直りするか、でなきゃやっつけてやる。P.S. おたくのウェブサイトを見てきたけど、あんなブログがメディアだなんてとんでもない。でも、もしあんたのブログに本当に面白い記事が載ったら、あんたたちの助けになるようなクライアントを紹介してあげるわよ。連絡ちょうだい。というわけでLoisは、PR業界「恥かきの殿堂」入り決定だ。しかし本人のブログをざっと眺めると、一にスパム、二にもスパム、目的を遂げるまでスパムに次ぐスパムというのがこの女の方針とわかる。9月にBad Pitch Blog (私の新しいお気に入り)がLoisのスパム行為を暴露したにも関わらず、HWHはスパムを継続している。 Loisのクライアントがなぜこんな行為に金を払い続けているのか、私には理解できない。企業がPR代理店を雇うのはメディアと良好な関係を気付くためで、スパムのノウハウと誹謗の技術に金を払っているわけではあるまい。これからも私はこういう連中の無法な行動を監視してどしどし公開していくつもりだ。[原文へ](翻訳:Namekawa, U) ShowListings(“arc3″); ShowListings(“arc2″); AddClipsUrl = ‘http://jp.techcrunch.com/archives/20081218meet-lois-whitman-the-poster-child-for-everything-wrong-with-pr/’; AddClipsTitle = ‘Lois Whitmanは最悪に不快なPR屋の代表だ’; AddClipsId = ‘2CBE02C952CFE’; AddClipsBcolor=’#78BE44′; AddClipsNcolor=’#D1E9C0′; AddClipsTcolor=’#666666′; AddClipsType=’1′; AddClipsVerticalAlign=’middle’; 次の投稿へ 前の投稿へ レスポンス報道協定に死を12 月 19th, 2008 at 10:48 am トラックバック [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/20081218techcrunch-passes-10000-posts/ TechCrunchが投稿1万件の大台突破!

    [...] ところで1万件目の投稿は何だと思う?  これがもう金字塔にぴったりな、マイケルが昨日書いた瞬間ヒットの名作「Death to the Embargo」なのだ。 [...]

  • http://www.appbank.net/2008/12/19/iphone-application/4627.php iPhone SimCity, Rolando。とか言って置いて昨夜は7 cities TD! iPhoneニュースと世相斜め読み 2008/12/19 ver 1.2 : iPhone AppBank

    [...] 報道協定に死を 非常に楽しい内容だった。Appbankも、そのうち似たようなこと言い出したりするのかな。どうなのかな。 [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/20090504survey-says-pr-people-love-our-no-embargo-policy/ PR業界の人たちは本誌の留め置き無視の姿勢が好き(らしい)という調査結果

    [...] PR業界の人たちのやることは、いつもぼくらシロウトをびっくりさせる。本誌は2008年の12月に、記事の留め置き(発表時日の提供者指定==一定期間の掲載禁止)をほとんど無視すると決定し、そのことを公に宣言したのに、相変わらず“掲載は○月○日以降にせよ”と但し書きの付いた迷惑メールやプレスリリースが毎日山のように送られてくる。こういう、留め置きという風習からおさらばする決定をした本誌は、PR業界から意地悪されるだろうと覚悟していた。実際にこれまでも、ほかのメディアがすでに勝手に載せている重要なロンチに関する記事の留め置きを無視しようとして、もめたことも何度かある。しかし、このたびPRSourceCodeが行ったPRのプロたち246人に対する調査の結果では、彼らがクライアントの記事を載せてほしいと思うテクノロジ系ブログのナンバーワンはTechCrunchなのだ。こいつは、すごい!。 [...]

  • http://www.kgrand.jp/index.php/2009/05/05/pr%e6%a5%ad%e7%95%8c%e3%81%ae%e4%ba%ba%e3%81%9f%e3%81%a1%e3%81%af%e6%9c%ac%e8%aa%8c%e3%81%ae%e7%95%99%e3%82%81%e7%bd%ae%e3%81%8d%e7%84%a1%e8%a6%96%e3%81%ae%e5 PR業界の人たちは本誌の留め置き無視の姿勢が好き(らしい)という調査結果 | KGRAND ONLINE NEWS

    [...] PR業界の人たちのやることは、いつもぼくらシロウトをびっくりさせる。本誌は2008年の12月に、記事の留め置き(発表時日の提供者指定==一定期間の掲載禁止)をほとんど無視すると決定し、そのことを公に宣言したのに、相変わらず“掲載は○月○日以降にせよ”と但し書きの付いた迷惑メールやプレスリリースが毎日山のように送られてくる。こういう、留め置きという風習からおさらばする決定をした本誌は、PR業界から意地悪されるだろうと覚悟していた。実際にこれまでも、ほかのメディアがすでに勝手に載せている重要なロンチに関する記事の留め置きを無視しようとして、もめたことも何度かある。しかし、このたびPRSourceCodeが行ったPRのプロたち246人に対する調査の結果では、彼らがクライアントの記事を載せてほしいと思うテクノロジ系ブログのナンバーワンはTechCrunchなのだ。こいつは、すごい!。 [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/20090923the-last-has-fallen-the-embargo-is-dead/ 最後の砦、崩れる。報道協定は死んだ。

    [...] 昨年私はTechCrunchの新しいポリシーを発表した ― エンバーゴ(報道協定)を守るのをやめたのである。いや、実際はもう少し複雑で、目的は広報の世界での秩序に混乱を起こすことだった。われわれは、あらゆるエンバーゴを守らないと宣言しただけでなく、独占情報および少数の選ばれた企業、特にMicrosoftとGoogleに関しては、信頼できることが保証されているので、エンバーゴを尊重すると言った。要するにわれわれは、事を複雑にすることを意図したのであり、実際そうしてきた。 [...]

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