
SEOという言葉を聞くと、計量分析を専攻した頭のいい連中がどこかのアパートの一室に閉じこもってA/B分割テストをしたり、リンクを稼ぐための餌(えさ)(link-bait, リンクベイト)を書いている様子を思い浮かべる。
Search Engine Optimization(検索エンジン最適化, SEO)は、自分の会社を消費者がGoogleを使ってすぐに見つけて欲しいと願う企業が、それを実現するために編み出す工夫だ。検索エンジンはアルゴリズムを公開していないから、SEOはもっぱらリバースエンジニアリングになる。
そんな当てずっぽうのゲームなのに、SEOは計量化できる結果を作り出す。しかも不況のときには。成功を数で評価することが一層重要になる。
しかしSEOの性質そのもの…正体不明、たえず変わっている、倫理に反するスパム的なやり口…は、企業の文化の対極にあるもののようだ。そこで私は、Netconceptsの社長でファウンダのStephan Spencerにインタビューした。彼の主な顧客は、Cabela’s、HSN、AOL、SuperPages.com、Zappos、Discovery Channelなどだ。
大企業とSEOに関してどんな経験をしたか?
ことSEOに関しては、大企業は無関心か無知かまたはその両方だ。たとえばConocoPhillipsはFortune 500で5位の企業だが、同社のブランド、たとえば”76″をGoogleで検索すると、上位10ぐらいの結果は同社とまったく無関係にしか見えない。トップの結果は本当は正しいサイトだが、検索結果のページやサイトそのものからは、そうは見えないのだ。そもそもdrivesavvy.com がConocoPhillipsと関係があるとは誰も思わない。ドメイン名からも、実際のホームページの画面からもね。SEOという観点からみれば、そのホームページはジョークだ。テキストがまったくないんだよ。ブランド名すらない。そのサイトは、Googleにはこのように見えるのだ。
大企業はSEOに励むべきか?
一概には言えないが、大規模小売企業ならSEOは重要だ。それはたとえば、”yellow queen size flannel sheets(黄色でクイーンサイズのネルのシーツ)”といったロングテールなクエリで検索したときいつもGoogleでトップに出てくるBizrateやeBay、Nexttagのようなサイトだ。
でもこういう結果はむかつくね。そういう商品を実際に作ったり売ったりしているブランドや企業はどこへ行っちゃったんだ? JCPenneyはどこにいる? LL Beanは? Lands Endは? 連中はPPCで広告してるかもしらんが、でも消費者の85%はナチュラルリスティング〔関連サイトが含まれる検索結果リスト〕をクリックするんだぞ。
問題は、消費者が今まさに必要としているときに、これらのブランドが目の前に姿を現さないことなんだ。連中は、大衆という複数のニッチ市場の大きな集まりの心を掴んでいない…そんなこと許されないご時世なのに。代わりに彼らは、消費者の目や心に対して侵襲的(押しつけがましい)、あるいは可避的(無視することができる)な広告メディア(PPC広告やディスプレイ広告)に無駄金を使っている。この愚行の真犯人は、従来型のSEOの現場での無能だ。
なぜそうなのか?
企業とSEOという組み合わせは、認知論的不協和音だ。SEOは機敏で小回りがきき、実験的で、実時間的に動的で、たえず変化していく、終わりのない工程だ。それは、プロジェクト指向で、「やれ、そして終わったら忘れろ」主義の企業のITから見れば、ぞっとするようなしろものだ。
また、SEOとITやマーケティングとの間に社内的なぎくしゃくがある。SEOは、ITとマーケティングを横断するからだ。たとえば、ものすごく長くてキーワードのまったくない、おそろしいURLを、短いすっきりしたURLに変えることは、マーケティング的な発想だが、実現は完全にITに依存してしまう。SEOは、両者にまたがって仕事をしなければならない。
Fortune 500の大企業は、いわゆる“対話的”なになに〔==企業のマーケティング的インターネット利用の一切合切〕を広告代理店に丸投げしていることも問題だ。広告代理店には、ブランドマーケティングにSEOをどう組み込むかという発想も知識もない。
それにそもそも、WebサイトがSEOを念頭に置いて作られることはほとんどない。デベロッパやプログラマにそれを求めても無理。家にたとえると、おざなりな電気工事をやった家に住むと、数年後には時間と費用のかかる大規模な再工事が必要になる。デベロッパまかせのWebサイトは、そんな家に似ている。
大企業のSEOの良い例と悪い例として、どんなのがあるか?
EMCのWebサイトはホームページでユーザが自分の国を指定できるようになっている。しかしGoogleのキャッシュを見てみると、この部分はバイパスされてGoogleは合衆国のサイトだけをインデクシングしている。対照的にLenovoではキャッシュに何もない。Googleで”site:www.lenovo.com“を検索するとLenovoのホームページは結果のトップにない。SEOをちゃんとやらなければ、会社のホームページをトップにすることはできないね。
SEOをうまくやってる例としては、Cabela’sがある(Googleでたとえば”hunting socks“を検索してみよ)。もう一つはExpedia.comだ(”disneyworld vacation“で検索してみよ)。
Cottonelleは有名企業で有名ブランドだが、ナチュラル検索〔広告等の人為性のない通常のプレーンなキーワード検索の正しい該当項目結果, a.k.a.オーガニック検索〕では網にかからない。Flashを多用しているサイトだが、Flashはスパイダー〔spiders, 別名“クロウラー(crawlers)”、Web上をはい回って目的語彙を拾い上げるソフト〕と相性が悪い〔通常の検索アルゴリズムはFlashが表示するテキストを見ない〕。Home Depotも悪い例の一つだ。同社のサイトの細分化されたナビゲーションガイドは“無限のフィルタリング”とすさまじく大量の重複コンテンツを作り出すから、SEOの点では大きな問題だ(つまり重複コンテンツがフィルタされ、PageRank–ページのランクを表すパラメータ–が希薄化する)。この現象はこのページに詳しい解説がある。
じゃあ、私が大企業の経営者だったら、どこからSEOに着手すべきか?
まず、具体的な制約事項を明確にすること。実装できないことを提案されても困るからね。
以前、いろんな小さな台所用品を作っている会社を手がけたことがあるが、同社の連中は自社の製品のことをあくまでも”kitchen electrics〔仮訳:キッチン電化器具〕”と呼びたがるんだ。消費者は”appliances〔仮訳:台所用品〕” で検索しますよとアドバイスしても、連中はWebサイトから”electrics〔仮訳:電化器具〕”という言葉–消費者の日常ボキャブラリにない言葉–を下(お)ろそうとしない。まったく、アタマにきたよ。
第二に、すでにSEOをうまくやっているパートナー企業を参考にすること。模範となる企業は、必ず必要だ。
第三に、SEOを内製でいくのか、外部に頼むのかを決める。どちらにも、一長一短がある。
Netconceptsでは、ページを検索エンジンフレンドリにするためにWebページをリライトするプロキシサーバを作った。企業はふつうにサイトを作り、検索エンジンのロボット(スパイダー等)はそのプロキシを見る。URLやデータをすっきりした形にしてSEO化するが、それを社内のおおげさなITプロジェクトにはしない。この方針で、Cabela’sのようなサイトはSEOを完全に外注(アウトソース)できたのだ。
〔—以上でStephan Spencer終わり—〕
〔—以下Jessica Bowmanインタビュー—〕
次に、SEOの内製化(社内的な作業でSEOをやること)についてJessica Bowmanにインタビューし、アドバイスを聞いた。
内製のSEOが失敗するのはなぜか?
内製SEOは今、数年前のユーザビリティと同様の苦戦を経験している。企業が製品開発にユーザビリティを含めるようになるまで、何年もかかった。内製SEOは、それと同じ成熟過程のまっただ中にある。
失敗には3種類ある:
- 不適切な人材の雇用。人件費を安く抑えようとすると経験の浅い若い人を雇うことになり、そういう人に大きなプロジェクトを任せるのは無理。また、SEOのいろんなやり方を知っている人は多いが、具体的な実装と運用の経験者は少ない。今週は、“雇ったばかりの新人に仕事を任せたらトラフィックが落ちた”という電話が2社からあった。
- 開発工程にSEO担当の者がずっと関与していない。このことによって、開発ライフサイクルのあちこちで間違いが起きる。SEO担当者は開発工程全体の利害関係者として、検索エンジンフレンドリーな製品ができあがるよう、全工程にわたって監視/干渉する必要がある。よく見かける光景は、SEOのために行った変更が、あとからSEOとその利益を理解していない者によって削除されることだ。SEO担当者は最低限、プロジェクトのプランを精査してどの部分にSEOが関与すべきかを同定しなければならない。とくにワイヤフレーム(主要素の基本配置/基本レイアウト)、ページデザイン、そしてページの仕様を見れば、SEO側からプログラマたちに要求すべき技術的要件が分かるはずだ。
- SEOの人間的側面。SEOのエキスパートが社内で孤立している場合がよくある。彼/彼女の専門知識や技術は企業全体のワークフローに当たり前のように組み込まれていなければならない。また会社のWebサイトに関わる全員から、長期的で安定的な尊敬や前向きの評価が与えられていなければならない。よくある例は、SEOがマーケティングや製品管理の担当になっていて、開発の本当にSEOが必要な場面に関与できないケースだ。良い結果を生んでいる企業に一貫して共通しているのは、SEOの担当者がIT部門にいることだ。しかしマーケティングにいる場合でも、ITとのコミュニケーションを常時緊密に維持すれば、ロンチしたその日から検索エンジンフレンドリーなサイトが動き出すだろう。
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(翻訳:hiwa)
