Google Ventures、早分かり
by Erick Schonfeld on 2009年4月6日

先週、Googleは長らく噂になっていたベンチャーキャピタルについて、Google Venturesという新たなベンチャーファンドを創立したことを発表した。今後、Googleの小規模なベンチャー投資はすべてこのファンドを通して行われることになる。発表の当日、私はこのファンドの責任者となるGoogle幹部、BillMarisとRich Minerと電話で話しをして、様子を探ってみた。

その結果、彼らはインターネットやクラウドコンピューティングから携帯電話、ヘルスケアまでほとんどありとあらゆる分野に投資する用意があることが判明した。Minerは「われわれはあえて自己規定はしない」と述べた。それじゃスペースエレベーター〔のような夢想的なプロジェクト〕はどうなんだ、と尋ねると、Marisは「デモを見せてくれ。十分可能性があればわれわれは投資する」と反論した。この2人でファンドを事実上すべて切り盛りすることになる。投資先のスタートアップを援助するために必要であれば他のGoogle社員の知識を借りたり、助力を得たりすることになるようだ。MarisとMinerにはベンチャー投資の経験がある。Marisはスウェーデンの持ち株会社ABで、MinerはOrange Venturesで働いていた。Minerはこのファンドに専念するため、現在加わっているAndroidチームを離れる。MinerはこれまでAndroidについてキャリヤや端末メーカーとの交渉を多数まとめてきた。

2週間ほど前、私はGoogleがベンチャーキャピタルを始めるのはまずいアイディアだ、Googleにはもっとマシな資金の使い方があるはずだ、と述べた。これに対して、 Marisは、今回のファンドの規模は比較的少額であること($100M(1億ドル))を指摘し、「Googleは起業家が偉大なことをなしとげるとずっと信じてきた。Googleはその信念のもとに多くの企業に投資してきたし、これからも投資していく」と述べた。

しかし、私としては、Googleは純然たる経済的見返りのために投資するのか、Google自身の企業戦略を助けるために投資するのかについて、懸念が捨てきれず、その点を尋ねてみた。MarisとMinerはこの点についても問題はないと請け合った。Minerは「戦略的投資にはいろいろ問題がある」と認めたが、その上で「われわれは利益を上げるつもりで投資する。スタートアップは最初の目的と違う方向に動かねばならないことがある。スタートアップの最初のプレゼンのスライドにたまたまXという製品が書いてあったので、投資家がスタートアップにX以外の分野への転進を認めない、といったことが時折起きる。Google Venturesはそういった落とし穴にはまらないよう注意していくつもりだ」とMinerは言った。

もし読者が投資を求めてプレゼンをしようと考えているのであれば、以下はGoogle Venturesについて最初に心得ておかねばならない基本的な情報だ。

  • ファンドの総額は$100M(1億ドル)。(この12ヶ月での投資に割り当てられた額)。Marisによると「われわれは$100Mを向こう1年でなにがなんでも投資しなければならないわけではない。あくまでも計画だ」。
  • あらゆる分野の企業が対象。シード資金、初期段階の資金に特化。Minerによれば「しかし、われわれが事業内容を十分理解し、審査できないような企業には投資しない」。
  • 最初投資先は、Pixazza(AdSenseの画像)、Silver Spring Networks (スマート・グリッド技術)の2社
  • 唯一の有限責任パートナーはGoogle
  • Googleのベンチャー投資は今後すべてGoogle Venturesに集約される。(たとえばGoogle.orgは今後はベンチャー投資を行わない)。
  • 数億ドル、あるいは数十億ドル以上の大型投資案件はGoogleはDavid Laweeが責任者を務める企業開発チームが行う。
  • 「マジックミラー」原則を用いる。つまり「スタートアップからGoogleの内部情報を見ることができるが、Googleからは(特に要望されないかかぎり)スタートアップの内部情報を見ることはしない」という原則によってスタートアップを保護する」とMinerは約束した。
  • もっとも優先される判断基準は投資に対する利益であり、Google自身の戦略的思惑ではない。
  • ただし、Googleの企業戦略が無視されるということではない。「もしわれわれの投資先の企業がGoogleの企業戦略にとって興味不覚、また相手企業もそう望むのであれば、われわれはGoogleの企業開発部門に連絡することはありうる」とMinerは言った。

さて、そうするとスタートアップとして「マジックミラー原則」をどこまで信用していいものか? 一般ユーザー向けインターネット関連事業、検索、広告関連事業のスタートアップはGoogle Venturesにどこまで内情を明らかにするか十分慎重に考えたほうがいいだろう。「これは自己規制の問題だ。われわれは話したくないという人々に無理に話を聞こうというのではない」とMaris。しかしその点がどうであり、大勢の起業家がGoogle Venturesに殺到するのは間違いあるまい。

[原文へ]

(翻訳:Namekawa, U)

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  • http://life.is.ideaful.net/info-tech/google-ma-history.html スタンフォード思考分解留学日誌 » Googleは今までM&Aに何億円費やしてきたのか?

    [...] 世界中の優秀な人材を囲い込み、検索エンジンを軸に独自情報技術を構築し続けるGoogleは、M&Aを企業戦略に組み込みその一挙手一投足が注目される存在です。そんなGoogleが今まで手掛けた買収案件は、後のGoogle Groupsの原型となった2001年2月12日のDeja買収を皮切りに、約50件(2009年8月現在:List of acquisitions by Google – Wikipedia)。この中で最も買収金額が高かったのが、ディスプレイ広告市場のプラットフォーム分野で市場を牽引するDoubleClickの買収額31億ドル(2007年4月13日当時で約3700億円)でした。この買収によりGoogleはWeb1.0世代を代表するオンライン広告市場を手中に収め、本来ライバルのYahoo!が差別化戦略としていたディスプレイ広告から検索広告に至るまでの総合広告サービスを提供する広告企業へと進化しました。MicrosoftやYahoo!をこのDoubleClickから遠ざけることができただけでGoogleはかなりの成功だと評するアナリストもいるくらいです。 買収金額が公表されていない案件も多数ありますが、恐らくGoogleがM&Aで費やした金額は優に1兆円を超えているでしょう。ライバルを意識した対競合企業戦略や、「育てるなら買うべし」の指針に基づく加速的成長戦略として、時間と人材をお金で買っているわけです。Googleの「お買い物」は世界各国が注目し、インターネットビジネス市場に大きな影響を及ぼすので、これからもその動向を注目し続けなければならないでしょう。注目のGoogle M&A企業リストはWikipedia内のこちらからご確認頂けます。→List of acquisitions by Google – Wikipedia しかしながら、GoogleのM&A担当幹部曰く現在M&Aチームからの投資案件数は減少中で、ファンド総額100億ドルのGoogle Ventures(シード資金・初期段階投資に特化)が組成され、以後のGoogleのベンチャー投資は全てこのGoogle Venturesに集約されるとのことです。 [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/20100503google-ventures-details-its-competitive-advantage-20000-googlers/ Google Venturesの強み:2万人のグーグラーたち

    [...] Venturesは検索巨人の一種独立した投資部門で、2009年4月に発表された。当時Google Venturesには従業員わずか2名 ― 現在は15名 [...]