聞こえてくるあの泣き言は、新聞の死のあえぎ
by Erick Schonfeld on 2009年4月8日

最近新聞業界から、ウェブがコンテンツを「盗んで」オレたちのビジネスをぶち壊している、という雑音が聞こえてくる。新聞記者たちは相も変わらず、インクに汚れた指でブログをさしては、「寄生虫」以外の何者でもないと言ってみたり、Googleに対しては、貴重な新聞記事の大型窃盗団を手伝い手引きしていると指摘する。ウォールストリート・ジャーナルをはじめとする一流(およびそうでもない)出版物のオーナーであるRupert Murdochが最近、業界はこれ以上Googleに「著作権の侵害」をさせてはならない、と警告した。そして昨日(米国時間4/6)、AP通信社はインターネットに対して全面戦争を宣告した

たしかに大規模な窃盗は行われている。それは新聞でも、TechCrunchでも、ウェブ上のあらゆる大型パブリッシャーでもあることだ。しかし勘違いしないでほしい。これは、今起きていることとは違う。殆どの場合、盗みを働いているのは数百万人のまともなブロガーではなく、Googleでもない。今起きているのは、新聞業界が昨年米国内だけで$7.5B(75億ドル)を失い、情報消費の新たな現実に適応する代わりに、誰か責める相手を探しているということだ。

彼らの泣き言の中でも最悪なのは、それが完全に偽善的であることだ。新聞社のトップが公にGoogleに文句をつける一方で、編集部ではブログを立ち上げ、技術部門は自社の記事がGoogle検索やGoogle Newsに間違いなく載るようにと、本に書いてあるあらゆるSEO技巧を使っている。Danny Sullivanがすばらしい暴言の中で指摘しているように、もし本気で自分たちの記事がGoogleに載らないようにしたいのなら、どの新聞社もコードを1行書くだけでよい。

技術部門の人間を呼んで、robots.txtファイルに次の行を書き加えさせる。

User-agent: *
Disallow: /

完了。これでGoogleから逃がれられる。その新聞社のあらゆるページが削除され、Googleがウォールストリート・ジャーナルを載せる心配は一切しなくてもよくなる。

でも、そうはしないだろう。トラフィックが欲しいし、さらにはAPのようになって、Googleを脅かして金を払わせたいと思うだろう。うまくいくかもしれない。あるいは、同じことをやろうとしたあのベルギーの新聞社たちのように、ひどくトラフィックが落ちるはめになるかもしれない。

このことはGoogleも今日指摘している。しかし、新聞業界はみんなと全く同じようにGoogleを標的にする。それは、Googleが一番金を持っていて、ウェブ上の情報や関心の大きな流れを作れるからだ。しかし、Sullivanも言うとおり、新聞業界がYahooに文句を言ったのを聞いたことがない。Yahoo NewsはGoogle Newsよりはるかに規模が大きいにもかかわらず。恐らくそれは、Yahooが米国内の新聞793紙の広告パートナーであり、トラフィックの流れを直接新聞社のウェブサイトに向けているからだろう。

新聞はトラフィックを欲しがっている。読者がGoogleやニュースアグリゲーターから見出しとほんの数行のテキストだけをすくい取っては、どこか別のところをクリックするのは何とも耐え難い。 Googleはニューススタンドだ。Digg、TechMeme、Reddit等々のニュースフィルターも同じだ。もし、新聞と新聞社のウェブサイトだけが「上質な」情報源であるなら、Sullivan曰く、自分たちでオンラインニューススタンドを作ればいい。Huluのニュース版だ。たぶん相互にリンクを貼ることもできるだろう。

そうなれば、いかに新聞が優れたオリジナル記事を書けるか(それができるのはごくわずかの人間で、殆どがコピーしあっているだけ)がわかるし、実際読者がどの程度気にかけているかもわかるだろう。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)

  • kan

    彼らの持っているコンテンツは何から出来ているのだろうか?
    それは、私たちが持っていた情報だ。
    私たちは彼らに情報を提供し、彼らがコンテンツに変えたのだ。

    なぜ、私たちの情報を彼らに提供するのか?
    彼らに情報を提供することが有益であると考えるからだ。

    私はメディアを”情報を運用する機関”と考える。
    ファンドや銀行に似ているからだ。

    彼らの失策は、情報の運用に失敗したことだ。

    銀行は資金を提供した企業が倒産しても
    「お金をうまく運用できませんでした」とユーザーに言わない。

  • http://yukiyukii.wordpress.com/2009/04/08/links-for-2009-04-08/ links for 2009-04-08 « fragment

    [...] 聞こえてくるあの泣き言は、新聞の死のあえぎ (tags: media wire google) [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/20090506next09-video-interview-what-would-jeff-jarvis-do/ Next09 ビデオインタビュー:ジェフ・ジャービス的思考

    [...] ようやく私は、ここドイツ、ハンブルグのNext09でジェフ・ジャービスに会うことができ、最近の著書What Would Google Do?(邦訳『グーグル的思考』)や、伝統的メディア業界と今の苦闘ぶりに対する彼の見方、さらにはTechCrunchへの深遠な愛情(はいっ、親分)について語ってもらった。 [...]

  • http://www.kgrand.jp/index.php/2009/05/07/next09-%e3%83%93%e3%83%87%e3%82%aa%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%82%bf%e3%83%93%e3%83%a5%e3%83%bc%ef%bc%9a%e3%82%b8%e3%82%a7%e3%83%95%e3%83%bb%e3%82%b8%e3%83%a3%e3%83% Next09 ビデオインタビュー:ジェフ・ジャービス的思考 | KGRAND ONLINE NEWS

    [...] ようやく私は、ここドイツ、ハンブルグのNext09でジェフ・ジャービスに会うことができ、最近の著書What Would Google Do?(邦訳『グーグル的思考』)や、伝統的メディア業界と今の苦闘ぶりに対する彼の見方、さらにはTechCrunchへの深遠な愛情(はいっ、親分)について語ってもらった。 [...]

  • http://www.kgrand.jp/index.php/2009/06/03/%e6%82%b2%e6%83%a8%e3%81%8b%e3%82%89%e6%81%90%e6%80%96%e3%81%b8%ef%bc%9a%e7%b1%b3%e5%9b%bd%e6%96%b0%e8%81%9e%e6%a5%ad%e7%95%8c%e3%81%ae2009%e5%b9%b41q%e5%ba%8 悲惨から恐怖へ:米国新聞業界の2009年1Q広告売上が$2.6Bに激減 | KGRAND ONLINE NEWS

    [...] しかも、私はまだ新聞が、どん底まで落ちていないのではないかと心配している。 [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/20090628how-to-save-the-newspapers-vol-xii-outlaw-linking/ 新聞業界を救う法[第7巻]:リンクを禁止せよ

    [...] 新聞業界を救済すべく最近提案された数々の見当外れのもくろみ(少額支払い!、やGoogleのせいだ!)の中でも、Richard Posner判事の提案には、まさしく開いた口がふさがらない。著作権付コンテンツへのリンクを禁止すべきだそうだ。 [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/20090816the-media-bundle-is-dead-long-live-the-news-aggregators/ 新聞はもはや「なんでもあり(ミニ総合メディア)」が売りではなく、Web上で良質な記事が評価される時代

    [...] また同じ話の蒸し返しだ。新聞業界は、新聞社の業績低迷をインターネット上のニュース集積サイト(news aggregators, ニューズアグリゲータ)のせいにして非難し、リンクから成る世界と、今やどこへでも飛んでいける翼を得た情報への、適応を怠っている(彼らはネット上の情報の自由な流れを毎日の記事の制作に利用しているのに、自分のとこから出ていく情報に関しては「どけち」を貫き、蟻一匹出すまいとする)。 [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/20100309google-hal-varian-news-never-made-money/ Googleのチーフ・エコノミスト曰く「新聞がニュースで儲けたことなどない」

    [...] 今日(米国時間3/9)Googleのチーフ・エコノミストHal Varianが、FTC(米連邦取引委員会)の新聞業界における経済の変化に関するワークショップで講演を行った。新聞広告の収益がここ数年急降下していることは誰もが知っている。多くのメディア企業がGoogleに責任をなすりつけ、魔人を壷の中に戻そうとオンラインニュースの 従量課金モデルを導入しようとしている。 [...]