イスラエルの平均的なベンチャーキャピタリストに、注目を続ける企業はどこだと尋ねてみれば、BenchmarkのConduitやSequoiaのKenshoo同様、Fixyaの名前が出ることだろう。Fixyaを耳にしたことのない人のために記しておくと、そのコンセプトは非常にシンプルだ。ひとことで言うなら購入後の技術サポートを行うサイトだ。商品についての質問をする利用者がいて、そしてその質問に回答する利用者が参加している。つまりFixyaはUGCサイトとして構築されており、そしてここに価値を生み出すものを次々に投入している。今回はProduct Recommendations(推奨製品)の機能を加え、従前の「購入後のサポート」を行うサービス内容に、「購入前のサポート」という新たなテリトリーを加えた。このようなサービスは驚くには値しないと考えることだろう。だがこの種のサービスの将来性を理解し、VCがなぜ熱い視線を送り続けるのかを理解するためには一歩下がって全体を見てみる必要がある。
Fixyaに掲載されている商品は、今や100万件にも達し、エレクトロニクス関連からベビーカーまでと幅広い。サイトには月間で1500万のユニークユーザーが訪問し(ほとんどが英語利用者)、6000万のページビューを産み出している(comScoreの数値によればユニークビジター数は半数の770万となっている。下のグラフ参照)。月間で250,000の質問が投げられ、加えて回答も寄せられている。回答のうち75%は「良い」ないし「すばらしい」とレーティングされており、さらに回答の50%は質問後5時間ないし6時間のうちに寄せられている。興味深いことに、大半の質問は技術的なものではなく使い勝手についてのものとなっている。
新しく推奨製品の機能を加えたことにより、Fixyaはサイトに蓄積されている製品に関するフィードバックを活用して、当該商品の購入を考えている人にアドバイスを送ることができる。このレコメンデーションにもサムアップ/ダウンが表示され、そのレコメンデーションをサムアップで評価した利用者数も表示される(Fixyaは利用者からの信頼性、使い勝手、総合面に関する評点で商品を評価している)。またより詳細な情報を求める人のために、文書によるレコメンドも掲載されている。情報は全てサイト上に揃っている。ただしAmazonなどを参考に、表示形式についてはもう少し考慮できるはずだ。
CEOのYaniv Bensadonは、展開するサービスの目的はNet Promoter Score(顧客ロイヤリティの計測単位)のようなものを構築することだと述べる。これによってFixyaへのトラフィックが増大すれば、250,000人のエクスパートによるコミュニティの販売前サポートを提供することで、収益手段をひとつ増やすことになる。購入後のサポートでは既に実現していることであり、購入前サポートを新たな柱としていくことも難しいことではないだろう。まずはFixyaは必要なクリティカルマスを獲得する必要がある。それによって特定の商品についての意見を交換することのできるソーシャルコマースネットワークを構築することができるようになる。
VCがFixyaに着目する理由についても記しておこう。Fixyaが注目され、VCに着目され続ける理由は収益可能性にある。また興味深い点をいくつか、以下に列挙しておこう。
- SEO – 多くの商品を扱っていることにより、SEOの面で付加的な価値を発揮する。デスクにある電子機器4つについて、名前と「サポート」を指定してGoogleで検索してみた(つまり「l1706 support」、「seagate freeagent support」など)。全てについてFixyaが上位5位以内に表示された。
- 広告 – Fixyaの収益の50%は多様な広告によるものだ(ペイパークリック、スポンサー広告、ディスプレイ広告)。またしても驚きを感じてしまったのだが、広範な商品を扱うことで、FixyaではGoogle AdSenseからかなりの収益を上げているのだ。どのくらいうまく機能しているのかと言えば、eCPMで2ドルないし3ドル(これはCPMではない点に注意)だ。私の知る限りAdSenseでこれだけの額を稼ぎ出しているところは他にない。
- プレミアムサポート – Fixyaでは利用者にエキスパートの支援も提供している。価格はインシデントあたり10ドルないし20ドルで、Fixyaはここからコミッションも得ている。
- Lead Gen – Fixyaはサポート、製品保証、部品交換などを行う地元企業をリードする。ここでもコミッションを得ることになる。
- 将来の方向性 – 製品、カテゴリ、ブランド、位置情報などにターゲティングを行う、セルフサービス式の広告プラットフォームを準備中だ。またサービスのOEM提供も考えているようだ。これによってSonyなどの企業にサービスを提供して、相手先企業の技術サポートのコストをクラウドソーシングの機能によって下げる事ができる(ここから新たな収益を得ることになる)。
おわかりいただけただろうか。FixyaはUGCを収益マシンとして活用しているわけだ。私が「$60M(6000万ドル)あたりが出口戦略としての価額だと聞いているのだが」と尋ねたときにBensadonが笑いながら言ったのも頷ける。「そんな額は目じゃない」というのが彼の回答だ。興味深い企業ではないだろうか。


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(翻訳:Maeda, H)




