近くTime Warnerグループから独立することが決定したAOLが、Google、Microsoft、Facebookが君臨するオンラインの世界で今後どうやってユーザーと売上を拡大していったらよいか、その方策についてはさまざまな推測が出ている。新CEOのTim Armstrongは「部内からいいアイディアが出てくるのを待つために少し時間をかけたい」としている。
しかし一部の情報源によると、印刷メディアの世界が凋落するのと逆に、AOLを強力なオンライン・メディアハウスに育てようとする計画が進行中だという。
AOLにはキャッシュを生む重要な資産がある。ダイアルアップ事業は依然として年間$1B(10億ドル)の売上がある。この市場は急速に縮小しているが、あと1年半から2年間は多額のキャッシュを生んでくれるだろう。ソーシャル・サービスとしてはBeboとAIMがある。こうしたサービスをAOLの他のサービスやサードパーティーのサイトから利用しようという努力も継続されている。
しかし同社の関係者は「AOLにとって重要なのは、オープンな市場でシェアを奪うことだ」と言っている。AOLの幹部のあるグループはArmstrongに対して「トヨタ方式」なる戦略を売りこんでいるという。つまり優良なオンラインメディアのブランドを大量に買収し、AOLをいわばウェブのトヨタに育てようとするものだ。トヨタは多数の成功したブランド、ハイランダー、カムリ、プリウスなどを擁している。AOLもこれを見習おうというわけである。この比喩は必ず必ずしも適当なものとは思えないが、考えの方向は分かる。
AOLにはこの戦略に関して、すでにしっかりした出発点を確保している。2005年にJason Calacansiから$25M(2500万ドル)前後でWeblogs, Inc.を買収したのが始まりだった(当時のCEOは3代前で、Jonathan Millerだった)。Weblogs傘下の有名ブログは買収後も驚くべき成長をみせた。Engadget、TUAW、Joystiqなど、いずれもそれぞれのニッチの代表的ブランドとなっている。AOLはBill Wilsonが指揮するMediaGlow事業部を通じて優れた中小ブランドの買収も続けてきた。
MediaGlowが出発したのは1年前だ。ここにはAOLの音楽、経済、ブログなどのコンテンツ・サイトが所属している。最近は、政治サイトのPoliticsDailyや「ビートルズからハムスターまで」人々が好きなトピックについて語り合うLove.comなどをローンチしている。これら総合して月間ユニーク訪問者は7600万に上っている(Comsore、2009年5月)。 27 of the Technorati調べでは、ブログのトップ100のうち、27がAOL傘下だった。
一方で、MediaGlowチームは絶滅しかかっている紙媒体のニュースメディアから人材を引き抜こうとしている。雑誌、新聞の広告は底なしに急減している(数十億ドルの広告売上が蒸発してしまった)。印刷メディアはの高コスト体質(高い賃金、用紙代、印刷費、送料)と相まって、多くのメディアが破たんしたり、リストラを余儀なくされ、大量の優秀な人材がずっと安い給料で新たな職を探さざるをえない羽目に陥っている。
AOLの計画は、ビジネス化が見込めるあらゆるニッチで独自にあるいは買収でメディアブランドを立ち上げようというものだ。つまり雑誌売り場に何かのテーマについて雑誌が出ているなら、AOLはそのオンライン版をブログなりウェブサイトなりとして作ろうと考えているらしい。この場合すでにMediaGlowが既存のプラットフォームとして利用できる。新ブランドを立ち上げるのにも運営費は最少ですむ。前述のように人材は市場にあふれている。
そこでダイアルアップ事業からの収入が生きてくる。向こう1年半から2年の猶予期間中に既存のブランドを大量に買収し、それを運営する人材を雇い入れることができる。もしAOLが最良の人材の獲得に成功して事業を軌道に乗せることができたら、他の大手が追いつくのは難しくなるだろう。市場ではおそらくYahooがライバルになる可能性がある唯一のプレイヤーだろうが、新CEOのCarol Bartzがその方向に踏み出す気配はまったくない。
私はこの戦略が気に入った。方向が明確で大胆だ。FacebookやTwitterの単なる後追いではないし、目のくらむような巨額の資金を必要とする検索エンジン戦争に巻き込まれるのを避けたところもよい。ダイアルアップ事業からの収入が続くうちにプリント・メディアの凋落であぶれた優秀なジャーナリストを利用して大規模なコンテンツサイト群を構築するというのは理にかなった戦略だ。この戦略ならAOLは勝利の目算が得られよう。スタートの号砲を待つばかりだ。
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(翻訳:Namekawa, U)




