国際出版連合は、ジャーナリズムの将来を守るために、新たな知的所有権法の確立を要求する。
これは先週末に発表されたEuropean Publishers Council(EPC)のプレスリリースで、原文はこちらに掲載されている。なかなか強硬なものとなっているようだ。EPCはあれば良いのではないかなどと提案するのではなく「要求」しているのだ。また現行の知的所有権法を改善するのでなく、完全に新しい法律が必要だとしている。そしてEPCは、新たな知的所有権法を作ることによって、ジャーナリズムの未来が守られるとしている(拍手するのはちょっと待っていただきたい)。
このプレスリリースの後半は、Independent News & MediaのGroup Chief Executive Officerで、World Association of Newspapers and News Publishers(WAN-IFRA)のプレジデントでもあり、かつACAP(Automated Content Access Protocol)のチェアマンでもあるGavin O’Reillyの言葉をいろいろと掲載している。
私たちは、かつてないほど多数の聴衆にコンテンツを提供している。しかし印刷メディアないしTVなどと異なり、提供するコンテンツから利益を上げてはいない。このような状況では、コンテンツの提供を続けていくことができなくなる。コンテンツ提供者側が倒れることで利益を得る人など誰もいない。検索エンジンにしても、その他の各種アグリゲーションサービスにしても、我々の提供する知的財産を利用して膨大な利益を上げているのだ。
この論調に賛同するにせよしないにせよ、この件についてはDanny Sullivanが記している多くのブログ記事が参考になる。もっとも面白かったのは“Google’s Love For Newspapers & How Little They Appreciate It”だ。O’Reillyの主張に対する記事として、これ以上のものはない。
ところで、EPCがプレスリリースの発表を行った理由は何だろうか。パブリッシャー側が好むと好まざるとに関わらず、情報消費のあり方が過去のスタイルとは完全に変化して、メディアのあり方やコンテンツ生成の方法も姿を変えてしまった中、新たなビジネスモデルを見いだそうとしているのだろうか。EPCは欧州のメディアコミッショナーであるViviane Redingに対し、EPCメンバーのコンテンツがアグリゲーションサービスや検索エンジンにより対価を支払われることなく不当に利用されていると訴えかけている。
EPCの主張はHamburg Declaration(PDF)に、簡単にまとめられている。この宣言文書にはMathias Döpfner(Axel Springer AG、ドイツ)、James Murdoch(News Corp、欧州およびアジア)、The Rt. Hon、The Viscount Rothermere(Daily MailおよびGeneral Trust、英国)、Ian Smith (Reed Elsevier、英国)、Hannu Syrjanen(Sanoma、フィンランド)、Robert Thomson(Dow Jones、Wall Street Journal、米国)など、世界中からたくさんの署名が集まっている。この宣言文書から一部を引いておく。
ウェブサイトへのユニバーサルアクセスというのは、必ずしも無料であるべきということを意味するわけではない。情報自由化というものが、情報がすべて無料になることによって成し遂げられると主張する人には賛成することはできない。サービスを通じて提供されるコンテンツには誰もがアクセスできるべきではあるが、全く無制限に我々の財産を垂れ流しせざるを得ない現状にはもはや耐えることはできない。
これはつまりこういうことだ。提供するサービスのページビューを増やして広告主を満足させて利益をあげる(ありそうもない話だが)ため、Googleからのトラフィックは無償で提供され続けるべきだ。しかし、コンテンツを閲覧する人には課金できるべきだし、情報を外部に漏らす人は罰せられるべきだ。そのようなことが可能になってはじめて、ジャーナリズムは守られ得るのだ。
メディアコミッショナーのReding氏に言っておきたい。いくら巨大企業の偉い人たちが署名していても、このような宣言は無視して良い。また、ウェブ上のどこであれ、Robin Wautersがそう言っていたと名前を出して頂いてかまわない。
[原文へ]
(翻訳:Maeda, H)




