速報―MicrosoftとYahooの検索提携の主な内容
by Robin Wauters on 2009年7月30日

yahoo_microsoftYahooとMicrosoftの検索提携は、両社のプレスリリースChoiceValueInnovation.comというサイトよって公式に確認された。ここではとりあえず提携の主要な内容をチェックし、簡単な論評を加えたいと思う。

予想どおり、MicrosoftがYahoo Searchの検索実行を引き受ける代りに、Yahoo!は世界でYahoo!とMicrosoftの独占広告代理店となることとなった。

MicrosoftとYahooのポジションを考えれば、この提携がオンライン検索・広告界にきわめて大きな影響を与えることになるのは明らかだ。もちろん、この提携をビジネスとして軌道に乗せるには、何年とはいわないまでも何か月もかかるだろう。プラスの面として、YahooのCEO、Carol Bartzがプレスリリースで述べたとおり、広告主も広告掲載者も2つのプラットフォームが統合されたことによるスケールメリットを得るだろう。実際、圧倒的に優位なライバル、Googleと両社が戦う上で、スケールの拡大こそが今回の提携の核心になると思う。

もちろん、今朝の公式声明では、両社とも(Yahooのブログ記事のリンクを除いて)Googleと名指しはしていない。しかし「検索シェアの70%を占めている」ライバルといえば、Google以外にあるはずもない。われわれはGoogleのシェアはおそらく65%だと見ているが、多少の数字のズレはGoogleが検索市場で圧倒的なシェアを握っていると同時に、検索広告の売上シェアではおそらくそれだという事実を変えるものではない。Microsoftとしては、Googleからこの市場のシェアを奪う―それも相当のシェアでなければならない―ことがなんとしても必要だ。

Microsoftは検索テクノロジーでGoogleと対抗できることをBingリリースによって実証した。Bingは実際に 一般ユーザーが利用し始めているし、その評判は非常に良い。MicrosoftはBingのプロモーションに大金をつぎ込む計画だし、Microsoftならそれができることは疑いない。さらに両社は「この提携によって両社のテクノロジー面での交流が進み、さらなるイノベーションが期待できる」としている。私もさまざまな側面でそういった技術革新が実現することを心から期待するものだ。しかし、それによっ本当にGoogleに打撃を与えられるほどの検索広告シェアを獲得できるかはなんともいえない。

一方、事前にニュースやブログ記事で予測されていなかったのは、提携が10年間ときわめて長期間にわたることだ。10年といえば、インターネット業界では「永遠」と同義といってもよい。Microsoftは今後10年間にわたってYahoo Searchテクノロジーについて、あらゆる細部にわたって独占的にアクセスできる権利を得た。要するにYahoo Searchが蓄積してきた検索テクノロジーのノウハウを完全に独占することができたわけで、これはBing検索エンジンの改良に大きな力となるだろう。逆にBingがYahooが利用する検索連動広告の唯一のエンジンとなることに決まった。これらを総合すると、Yahooは検索マーケットできわめて大きな譲歩をしたといってよいだろう。

Yaoo!は全世界で両社のための有料検索連動広告の代理店を独占的に勤めることになった。ただし両社ともセルフサービス広告システムはMicrosoftのAdCenterプラットフォームが利用される。広告料金は引き続きAdCenterの自動オークション・アルゴリズムによって決定される。一言でいえば、オンライン広告の世界はGoogle AdWords対Microsoft AdCenter、Google AdSense対Microsoft PubCenterという2大勢力に分割されたといってよい。他に主要なプレイヤーは存在しなくなった。広告関係者は胆に銘じておくべきだろう。

MicrosoftはYahooが所有し、運営するサイトからの検索トラフィックに関して、契約開始から5年間にわたり、検索広告売上の88%を分配する。また、この提携が有効となる国において、当初18か月にわたってMicrosoftはYahooに対して検索件数に比例する収入を保証する。これは巨額に上るはずだ。しかしMicrosoftはGoogleのコアビジネスに打撃を与えるためならいかに金がかかろうと実行する覚悟のようだ。この18ヵ月、ないし5年間が終了した後の契約内容についてははっきり分からない。あと、Yahoo!が既存の検索アフィリエイト提携に関してはそのまま続行するとしているのが注目すべき点だろう。

規制当局による承認が得られ次第、今後24か月を目途として、Yahooは提携の内容を完全に実行する体制を築きたいとしている。当局の承認は2010年前半にクリアできることを希望している。両社は、現在の売上高と経費の額から推計して$500M(5億ドル)の一般会計原則による営業収入と設備投資の効率化による$200M(2億ドル)の節約が見込まれるとしている。またYahoo!では、この提携によって、年間キャッシュフローが$275M(2億7500万ドル)程度改善することを期待している。これが実現すれば、株主にとっては何よりのうれしいニュースとなるだろう。

YahooとMicrosoftは、すでに、規制当局の調査や一般からの批判を避けるために、両社でのデータ共有は検索プラットフォームの改良のために必要」な最小限に抑える、また共有したデータの使用も厳しく制限すると声明している。

さて読者はどうご覧になるだろう? MicrosoftとYahooにとってウィン・ウィンの提携といってよいのか?ユーザーにとっては? Googleにとって脅威になるのか? 規制当局の見解は?

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦/namekawa01

  • http://jp.techcrunch.com/archives/20090729wall-streets-reaction-to-the-microsoft-yahoo-search-deal-not-good/ マイクロソフトとYahooの検索提携:ウォールストリートは今のところ好感せず

    [...] 長らく懸案となっていた検索提携交渉の決着を見て、Carol BartzおよびSteve Ballmerの双方共に満足している様子だ。しかしこの検索提携の内容について、ウォールストリートの反応はあまり良くないようだ。Yahooの株価は提携合意の発表を受けた今朝(米国時間7/29)より下落し、現在は15ドル31セント周辺で取引されており、これは昨日の終値と比較して11%安となっている。マイクロソフトの株価については横ばいとなっている。 [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/20090729yahoo-got-binged/ Microsoftにとっては成功、しかしYahooは頭にガツンとBingを喰らう―検索エンジンとしては死亡

    [...] 今日(米国時間7/29)、Yahooは検索エンジンとしては死亡した。Microsoftとの提携が当局によって承認されれば、Yahoo Searchにとって代わるのは、Microsoftがほんの2か月前にリリースしたBingだ。ほんの数か月で、Microsoftのアメリカでの検索シェアはわずか8%から28%(comScore)に急上昇する。 それでもGoogleの65%かそこらのシェアの半分にも満たないが、MicrosoftがGoogleとの競争を続けていく上で大きな足がかりを得たことは確かだ。 [...]

  • http://news-connect.bsnest.com/2009/07/30/yahoo-10years/ 10年後、ヤフーはどうなる? 「マイクロソフトとヤフーが提携」 – News Connect

    [...] 速報―MicrosoftとYahooの検索提携の主な内容 [...]

  • http://life.is.ideaful.net/info-tech/yahoo-and-microsoft-got-together-in-web-searching.html 言わばご機嫌なスタンフォード留学準備日誌

    地に落ちたYahoo!の検索エンジン – Bing導入が市場のカンフル剤となるか…

    Yahoo!JAPANの検索エンジンがBingになるとのこと(7月29日 Internet Impressより)。Yahoo!がMicrosoftと提携し、Microsoftが開発した検索エンジンBingを採用すると発表したことを受け、Yahoo!幹部は7月30…

  • http://jp.techcrunch.com/archives/20090808which-search-engine-do-you-choose-in-the-blind-test/ 本当に役立つ検索エンジンはどれだ? ブラインド比較ツールで試してみよう

    [...] どれがどの検索エンジンか見抜いてユーザーがインチキできる抜け道が発見されたため統計を取ることは中止されたが、読者は自分自身でどの検索結果が自分に役立つのか実験してみることはできる。私のお気に入りのYahoo検索が近くお蔵入りになってしまうのは残念だ。 [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/20090820yahoo-recommends-firefox-users-to-switch-to-the-new-safer-ie8/ YahooがFirefoxユーザーに「もっと安全な新IE8」に乗り換えるよう推奨

    [...] いつからのことなのか、正確にはわからないが、YahooがFirefoxユーザーに対して、早く「もっと安全な新Internet Explorer 8」に乗り換えた方がいいよと言っているらしい。きのう発信されたこのつぶやき以外には、気付いたという話を聞いていないので、恐らくこれは新しい話で、先日のYahooとMicrosoftの愛の祭典の成果が早々に出ているなのではないかと思う。 [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/20091122bing-tries-to-buy-the-news/ Microsoft、マードックと話し合い―本気でBingのためにニュースを札束で買おうとしているのか?

    [...] Microsoftはこれまでも検索市場シェアを金で買うことをためらわなかった。Yahooとの検索提携がそうだし、キャッシュバック・キャンペーンをやったこともある。しかし今回はニュースそのもの、あるいは少なくともニュースへの独占的アクセスの権利を金で買おうというのだ。 [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/20100107yahoo-boss-doj/ Microsoft/Yahooにはしごを外されそうなBOSSデベロッパたちが司法省に助けを求める

    [...] 【抄訳】 2008年の7月にYahooは、BOSSというラジカルな新製品を発表した。BOSSは”Build Your Own Search Service”〔仮訳: あなた独自の検索サービスを構築する〕の頭字語で、デベロッパがYahooの検索インデクスに、他に例のないほど大きな自由度でアクセスできる。しかし昨年夏、Yahooの検索をMicrosoftが買収するという話が持ち上がり、BOSSの将来が危ぶまれた。BOSSのAPIを使ってプロジェクトを構築しているデベロッパは多いし、自分自身のビジネスを構築している者もいる。そしてYahooやMicrosoftから何の発表もないまま数か月が過ぎた今、BOSSデベロッパの一部が立ち上がった: 彼らは司法省と電話会議をして、自分たちの懸念を話し合おうというのだ。 [...]