Webサイトビジネスは先輩たちの失敗とドジから学べ
by ゲスト ライター on 2009年7月31日 append.gif この記事をBuzzurlにブックマークする

このゲスト記事の筆者Marcelo Calbucciは、来月閉鎖する個人のホームページを作成するサービスSampaの、ファウンダでCTOだ。彼は、そこから学んだ教訓をhttp://blog.calbucci.comに連載している。シアトルの起業家やスタートアップのための情報サイトSeattle 2.0も、彼のサイトだ。

一般消費者を対象とするWebサイトを成功させるのは難しい。有料か無料(あるいはフリーミアム)かという選択肢はあるが、有料にするとビジター数は限られてくる。一方、無料のサービスは、今後、YouTubeやWordPress、Facebookのような大物に育つ可能性がある。起業家は、リスクを怖がらない人が多いから、大物になる夢を追って“無料の道”を突き進む場合が多い。

無料のサイトをオープンすると、ありとあらゆる人が、ありとあらゆる目的のためにそれを利用するようになる。読者は、Sampaなんて家族や赤ちゃんの写真を載せたホームページづくりが専門だから、零細企業やティーンエイジャーや犯罪者は近づかないだろうと思っているかもしれないが、全然そうではない。今でも、ブログサービス、写真共有サービス、Webサイト構築代行サービスなどの多くが、多様なユーザの多様なニーズや振る舞いというモンダイに悩まされているはずだ。

起業家や投資家たちは、何かの平均値や合計値を気にすることが多い。ブログサービスなら、一人のユーザが1週間に平均何通の記事を投稿するか。一人のユーザが1か月に何回サインイン(登録ユーザとしてのアクセス)をするか。口コミによる各月のユーザ数の増加率は。アクティブユーザの総数は。などなど。もうちょっと気の利いた起業家は、これらの“平均値”や“合計値”を3つのグループに分ける。たとえばユーザ総数なら、毎月のサインインが30回以上の人(とても活発)、10〜20回の人(活発)、0〜9回の人(ほとんど休眠会員)の3グループに分けて、いろんな分析測度の各グループごとの合計や平均を求める(たとえば、“とても活発なユーザは月平均25枚の写真をアップロードする、活発なユーザは月平均7枚”など)。

ユーザを世代や価値観などでグループ分けして分析しているサイトは、とても少ない。性、年齢、収入、関心対象、志向性(やりたいこと)などの情報は、ユーザに質問しないと得られないことが多いが、そういうアンケートに答えないユーザや、ウソを書くユーザも少なくない。

以前、シアトルのあるVCにSampaを売り込みに行ったら、彼はいきなり、私たちのビジネスとは何の関係もないサイトの話を始めた。そのサイトは、今急激に伸びているのだそうだ。そのあと、私はそのサイトにアクセスしてみた。CompeteAlexaで調べると、そのサイトの躍進ぶりはすばらしかった。それは一般向けのソーシャルネットワークだったので、ユーザのプロフィールを見ることができた。そこで、ホームページに載っている“最近参加したユーザ”20名を調べてみた。すると、そのおよそ3/4は9歳から13歳までの女の子だった。それは、いちばん収益源になりにくい年齢層だ。

そのサイトは、このことを知っていただろうか? そこに投資するつもりらしかったVCはどうか? たぶん知っていなかったと思うね。

2008年の半ばに、うちのユーザ層の内訳分析をやってみた。非常にいろんな人たちがSampaでホームページを作っている。赤ちゃんサイト、家族サイト、零細企業サイト、技術系ブログ、などなどの比率が分からない。そこで300のサイトをランダムに選び、スプレッドシート上で分類してみた。すると、驚くべきことが分かった!

うちのメインターゲットである赤ちゃんや家族のページは、全体のわずか20%だった。残る80%はそうではないということ。それだけならまだ許せるが、ユーザの25%以上が12歳以下の子どもだ。それには二つの問題がある: 合衆国などでは、親の同意がなくてはこのようなサービスを利用できない。また、広告を主な収益源とするビジネスモデルにとって、彼らは“良いお客さん”ではない。

しかも、12歳以下の年齢層は線香花火だ。大量の写真をアップロードし、大量のブログ記事を書き、自分のサイトを誇示し、20名あまりの友だちを招待し、そして1か月も経たないうちに、完全にいなくなってしまう。しかし、この層を排除して、ビジター数の成長や口コミ率などのサイト分析データを見ると、うちのサイトは全然たいしたことないのだ!

積極性が裏目に出ることも

ユーザにサイトの「サービス規約(Terms-Of-Service, TOS)」を守らせて、なおかつ、UGC(user generated contents, ユーザ作成コンテンツ)サービスとして成功できるだろうか? FacebookやFlickrなどは、TOS遵守を厳しくチェックして、それでも成功している。しかしWeb 2.0のサイトの多くは、そこまで厳しくやっていない。典型的な例がYouTubeで、その$1.6B(16億ドル)と言われる企業価値は、著作権違反を厳しくチェックしないサービス体質の上に成り立っている。うちも、儲けるためにはそうすべきだったかもしれない。

しかしうちは、YouTubeのような放任主義とは逆に、12歳以下のユーザのホームページを(合衆国では親の同意がないのは違法なので)積極的に削除していった。それはなかなか見つけにくいが、とにかく見つけたら本人に通知して削除した。彼らは怒って“JamieもEmilyもSallyもSampaにWebサイトを持ってるわ”と言う。われわれは、ありがとうと言ってその子の友だちのサイトも削除するのだ。

ポルノ系のWebサイトも、積極的に削除した。ポルノ自体は違法でも何でもないが、うちの家族指向のイメージを損なうのだ。それにUGCのポルノサイトは、派手に著作権違反をしている場合が多い。DMCAの問題や弁護士たちと関わるのは、避けたかった。

クレジットカード盗み、パスワード盗み、醜悪な児童性愛など、犯罪的なサイトもあった。証拠集めのためにFBIが来たことが、二度もある。

そして、リンクファーム(link-farm)を忘れてはいけない。うちは新しいWebサイトの作成に際して、CAPTCHAとメールによる確認をしているが、でもときどき、一日で一挙に何十ものサイトを作り、そこに、銀行、不動産会社、住宅ローン仲介業者、自動車販売店などのリンクを大量に貼り付けるやつがいる。これらの企業はいわば、“犯罪的なSEOの達人たち”にネット上のマーケティングを委託し、しかもそのことに気づいていないのだ。

ソーシャルネットワーク作成サービス、Webサイト作成サービス、コンテンツ共有サービスといったサイトは、ほとんどどこも、私たちが経験したのと同じ問題に直面している。しかし起業家や投資家の多くはそういう事実に気づかず、何もかもうまく行ってそのうち何億ドルも稼げるようになると思っている。しかしその“偉大なるサイト”のユーザの意外な実態が分かると、誰もがずっこけてしまうのだ。

[原文へ]

(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

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