活字とウェブの融合―有名料理研究家がクッキング本をクラウドソーシング中
by Erick Schonfeld on 2009年8月12日

最近は本を出版するときには同時にウェブサイトを立ち上げるのが常識になりつつある。スマートな著者なら本が店頭に並ぶ前に読者の興味を引きつけようとしてオンラインであの手この手を使う。そして今度は読者を(タダで)共同執筆者にリクルートしようという試みが出てきた。ニューヨークはブルックリン在住の料理ライター、Amanda HesserMerrill Stubbsは現在プライベート・ベータ中のサイト、Food52 (一般公開は9月15日の予定だが、ベータに参加を申し出れば招待される)を通じて、次の料理本をクラウド・シーシングしようとしている。HesserはNewYork Timesの料理記者で、すでに数冊の料理本を書いている。(Cooking For Mr. LatteThe Cook And The Gardener、そして現在準備中のNew York Times Cookbook)。Stubbsはフリーのライター、フードコーディネーターだ。

このFood52プロジェクトはHarper Studio同社は有名ワイン・ブロガー、Gary Vaynerchukの本を10冊一括出版契約している)から出版の予定。この本のレシピはすべてFood52サイトに投稿されたものから選ばれる。私はHesserにインタビューしてみたが、「わたしたちはこのサイトをユーザーが自分の考えが出版される本に実際に影響を与えられる場にしたいと」と語った。

このサイト(と本)は、自分でもレシピ本を書きたいがその時間がない人々の関心を大いにひきつけるだろう。ただし、投稿されたものが何でも本になるわけではない。HesserとStubbsが最終的に編集上の決定を下す。サイトのコミュニティーのメンバーとの関係はギブ・アンド・テイクだ。2人の編集者は毎週、コミュニティーに対して、2つのテーマを出してレシピを募集する。今週のテーマは(いわば「宿題」だ)、「ポーク・グリル」と「西瓜」だった。誰でもこのテーマに沿ったレシピを(写真やビデオを添付して)投稿することができる。投稿されたレシピからHesserとStubbsが有望そうな候補を選び、テストしてみた上で、それぞれのテーマごとにベストの2組のレシピを選んでFood52サイトで発表する。コミュニティーのメンバーはどちらがよいと思うか投票する。そして勝った方が本に掲載されることになるわけだ。

「投稿をベースにした料理本というのは昔から数多く出版されている。しかしコミュニティーの評価を聞いて作られたものはまだないはず」とHesserは言う。ユーザーはレシピを投稿するだけでなく、候補となったレシピに投票することで本づくりに参加できる。(他の料理本やサイトに掲載されていたレシピをパクったことが明らかになった場合は無効となる)。毎週の最終候補に選ばれてサイトにレシピが掲載されたユーザーには本とオリジナルの調理器具がプレゼントされる。

本の材料が収集されるプロセスは長期間(1年間)に及ぶので、その間に多数の常連ファンが獲得できるだろう。52週間後にはHesserとStubbsはレシピばかりでなく、本を買ってくれるファン層も獲得できそうだ。この手法は料理本だけでなく手芸その他読者参加が可能な他のジャンルでも有効だろう。

Food52は総合的なクッキングサイトというより、編集者によってきちんと管理された投稿サイトという印象を受ける。メインとなる読者参加コンテストの他に、「編集者の推薦」レシピも掲載される。レシピはカテゴリー、時系列、投稿者(コンテストの勝者、投稿数、人気、など)によって分類され閲覧できる。もちろん、HesserとStubbsのブログもある。もっとも編集者のブログはこのサイトのメインの売り物ではない。第一、最初の記事は「料理をしているときに履く靴」だった。残念ながら、あまり食欲をそそる話題ではない。

HesserとStubbsは、最初の料理本を出した後もFood52がクッキング・サイトとして存続できるよう期待している。Hesserは「もっと本が出せたらいいと思う。これはコミュニティーづくりのスタート地点だ」と語った。Food52はHesserとStubbsが共同で創立したBurntToast, LLCによって所有、運営されている。資金は本のアドバンスを充てたという。このサイトが本の印税以上の価値を生み出すようになるとよいと思う。



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(翻訳:滑川海彦/namekawa01

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