Twitterはスケールしない―MS Exchangeのように分散化してサーバを売るべきだ
by tcnikc on 2009年10月5日

Twitterが効果的にスケールを拡大できるかどうかという議論が熱を帯びてきた。1年以上前、私はTwitterのスケーリング:可能性はあるのか?という記事をで疑問を呈した。現在、Twitterは比較にならないくらい巨大化した。そしてダウンタイムの多さという悩みは続いている。

Twitterサービスの構造上の問題は「無制限の一方的フォロー」だ。つまり1アカウントに対するフォロワー数の上限は理論的にはTwitterの全ユーザー数だ。この非対称性によってTwitterシステムには非常に大きな困難が持ち込まれている。他のSNSサービスでは、この問題を避けるため、友達関係を確立するには相互の承認が必要というかたちを取り、関係を1:1に制限するところが多い。Facebookではさらに友達の数の上限を5000としている。Twitterはいずれの制限も取り入れていない。しかもTwitterは中央集権的なシステムだから、Twitterサーバがボトルネック化するのは避けがたい。これによってスケールし難く、攻撃を受けやすいシステムとなっている。

Twitterが導入したショート・メッセージ・フォーマットは今やウェブの一つの標準の地位を確立している。そうであれば、他の標準的ウェブサービス(メール、DNS、ブログその他)同様、分散化に取り組むべきだろう。インターネットは冷戦中にソ連の核攻撃にも耐えるコミュニケーション・インフラを構築するために生まれた。インターネットは誰か特定の運営者の所有物ではない。インターネットでは完全に中央集権的なサービスがうまく行ったためしはない。

Twitterもこれだけに成長してきたからには、もはやインターネットをモデルにすべきだろう。

Twitter新COO、Dick CostoloはTwitterは現在の中央集権的アーキテクチャーのままで十分成長できると語った。つまり現状維持ということだ。しかし同時にCostoloは「こうした議論は現状では理論的なもので、分散的なTwitterの可能性の検討を排除するものではない」とも述べている。

われわれはTwitterの分散化は2つの重要な問題を解決するものと考える。まず、サービスが無限に拡大することを可能にする。第2に、分散化は非常に有利なビジネスチャンスを提供する。

電子メールは有力なビジネスになっている―Microsoft Exchangeモデルを見よ(顧客から料金を取りながら、実際の作業は顧客自身にやらせている)

Twitterは企業向けメール・サービス事業に着目すべきだ。 Microsoft Exchange Serverのような商用メール・システムは有力なビジネスとなっている。Microsoftはこれによって多数の企業に基幹サービス(メール、カレンダーなど)を提供し、年間$2B(20億ドル)以上の売上を得ている。企業はExchangeの利用にあたって数百ドル、プラス、ユーザー1人あたり年額$50ドルを徴収している。一方、企業はインフラ(サーバ、通信料)をすべて自己負担している。

TwitterはMicrosoftがExchangeサーバを売るのと同じようにTwitterサーバを売るべきだ。企業はそれぞれ自社で独自のハードウェアの上にTwitterノードを構築して運用することになる。

Twitterはサーバの利用料金として年額1ユーザーあたり$50は取れないだろう。しかし現在の完全なゼロよりましだ。しかもこれによって安定した運用を望む企業は喜んでハードウェアその他のインフラを自前で用意するから、Twitterは規模拡大の難問をうまくかわすことができる。そして一般ユーザーは以前と変わらずTwitter.comで無料で新しいアカウントを作れる。企業ユーザーは、一般ユーザーとは異なり、すべてのデータを自社サーバ内に保管しておくことによる運用上の安定性やセキュリティーの向上を強く必要とする。

もちろん、多数のネームスペースの調整やノード間のコミュニケーションの問題など、解決すべき問題はいくつかある(多数の独自のTwitterサーバが運用されることになると、ユーザー名は@nik.techcrunchのようにドメイン名を含むものにするか、あるいは現在のままグローバルなネームスペースを維持するか選択する必要があるだろう)。自社ブランドで自らが管理するコミュニケーション・プラットフォーム向けにTwitterは優秀なTwitterサーバを売り込むことができるはずだ。

この利益は巨大なものになるう。おそらくは数億ドルの売上が期待できるはずだ。しかもこのように多数の独立ノードが設置されれば、Twitter.comがダウンした場合でもTwitterサービスは部分的に運用が可能だ。

つまり分散化には売上収入が得られ、運用コストが低減でき、信頼性が高まるというメリットがある。さらにもう一つ、Twitter自身が分散化をいち早く進めれば、分散化されたTwitterクローンを作ろうとする動きに先制攻撃をかけることができる。これによってTwitterはマイクロ・メッセージ・サービスの標準化にあたってプロトコルやフォーマット、コアとなるサービスを長期間にわたってコントロールすることができよう。Twitterという登録商標、ブランド自体についてもそうだ。逆に分散化を進めなければ、分散化クローンの登場によってこれらをすべて失ってしまう可能性がある。いつまでもためらっているべきではあるまい。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦/namekawa01

  • http://www.contact.co.jp/blog/index.php?/archives/1269-Twitter.html □■ 神戸三宮便り ■□

    Twitterはホンモノか?…

    ●Twitterはスケールしない―MS Exchangeのように分散化してサーバを売るべきだ

    前にも書いたように、Twitterは未だキャズムを超えたとは言えず、マネタイズのストーリーも見えていません。
    それでもこのチャットともSNSとも言えるショートメッセージングサービスの行方が全世界のIT関係者の注目の的です。
    今や全く名前を聞かなくなったSecond Lifeに続く壮大な釣りか、それとも未来を先取りした偉大なサービスの誕生と成長に立ち会っているのか、どちらが正しいのでしょうか。
    最…

  • http://search.alterna-cloud.com/2009/10/06/links-for-2009-10-05.html links for 2009-10-05 – 天野っちのおいしいレストラン

    [...] Twitterはスケールしない―MS Exchangeのように分散化してサーバを売るべきだ [...]

  • http://twitterdaily.net/?p=253 2009/10/05 « Twitter Daily

    [...] Twitterはスケールしない―MS Exchangeのように分散化してサーバを売るべきだ [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/20100916decentralize-twitter/ Twitterを分散化せよという社内意見は軽視され忘れ去られた–Payneが辞めた最大の理由

    [...] こう考えているのは、彼だけではない。数年前にTwitterが急速に伸び始めたとき、人びとは(ときには、本誌のライターの一部すら)、Twitterのようなマイクロメッセージングのためのオープンな規格を作るべきだと主張した。Identi.caが登場したときは、まさにこの理由で、”Twitterキラー”ともてはやされた。ただし、当然ながらそうはならなかった(Identi.caとその親会社のStatusNetは今も健在である)。しかしユーザ数1億5000万と巨体化したTwitterのまわりには、コンテンツを囚人化するでっかい刑務所の庭がまた一つできるだけじゃないか、という不満が渦巻き始めている。 [...]