Twitterが効果的にスケールを拡大できるかどうかという議論が熱を帯びてきた。1年以上前、私はTwitterのスケーリング:可能性はあるのか?という記事をで疑問を呈した。現在、Twitterは比較にならないくらい巨大化した。そしてダウンタイムの多さという悩みは続いている。
Twitterサービスの構造上の問題は「無制限の一方的フォロー」だ。つまり1アカウントに対するフォロワー数の上限は理論的にはTwitterの全ユーザー数だ。この非対称性によってTwitterシステムには非常に大きな困難が持ち込まれている。他のSNSサービスでは、この問題を避けるため、友達関係を確立するには相互の承認が必要というかたちを取り、関係を1:1に制限するところが多い。Facebookではさらに友達の数の上限を5000としている。Twitterはいずれの制限も取り入れていない。しかもTwitterは中央集権的なシステムだから、Twitterサーバがボトルネック化するのは避けがたい。これによってスケールし難く、攻撃を受けやすいシステムとなっている。
Twitterが導入したショート・メッセージ・フォーマットは今やウェブの一つの標準の地位を確立している。そうであれば、他の標準的ウェブサービス(メール、DNS、ブログその他)同様、分散化に取り組むべきだろう。インターネットは冷戦中にソ連の核攻撃にも耐えるコミュニケーション・インフラを構築するために生まれた。インターネットは誰か特定の運営者の所有物ではない。インターネットでは完全に中央集権的なサービスがうまく行ったためしはない。
Twitterもこれだけに成長してきたからには、もはやインターネットをモデルにすべきだろう。
Twitter新COO、Dick CostoloはTwitterは現在の中央集権的アーキテクチャーのままで十分成長できると語った。つまり現状維持ということだ。しかし同時にCostoloは「こうした議論は現状では理論的なもので、分散的なTwitterの可能性の検討を排除するものではない」とも述べている。
われわれはTwitterの分散化は2つの重要な問題を解決するものと考える。まず、サービスが無限に拡大することを可能にする。第2に、分散化は非常に有利なビジネスチャンスを提供する。
電子メールは有力なビジネスになっている―Microsoft Exchangeモデルを見よ(顧客から料金を取りながら、実際の作業は顧客自身にやらせている)
Twitterは企業向けメール・サービス事業に着目すべきだ。 Microsoft Exchange Serverのような商用メール・システムは有力なビジネスとなっている。Microsoftはこれによって多数の企業に基幹サービス(メール、カレンダーなど)を提供し、年間$2B(20億ドル)以上の売上を得ている。企業はExchangeの利用にあたって数百ドル、プラス、ユーザー1人あたり年額$50ドルを徴収している。一方、企業はインフラ(サーバ、通信料)をすべて自己負担している。
TwitterはMicrosoftがExchangeサーバを売るのと同じようにTwitterサーバを売るべきだ。企業はそれぞれ自社で独自のハードウェアの上にTwitterノードを構築して運用することになる。
Twitterはサーバの利用料金として年額1ユーザーあたり$50は取れないだろう。しかし現在の完全なゼロよりましだ。しかもこれによって安定した運用を望む企業は喜んでハードウェアその他のインフラを自前で用意するから、Twitterは規模拡大の難問をうまくかわすことができる。そして一般ユーザーは以前と変わらずTwitter.comで無料で新しいアカウントを作れる。企業ユーザーは、一般ユーザーとは異なり、すべてのデータを自社サーバ内に保管しておくことによる運用上の安定性やセキュリティーの向上を強く必要とする。
もちろん、多数のネームスペースの調整やノード間のコミュニケーションの問題など、解決すべき問題はいくつかある(多数の独自のTwitterサーバが運用されることになると、ユーザー名は@nik.techcrunchのようにドメイン名を含むものにするか、あるいは現在のままグローバルなネームスペースを維持するか選択する必要があるだろう)。自社ブランドで自らが管理するコミュニケーション・プラットフォーム向けにTwitterは優秀なTwitterサーバを売り込むことができるはずだ。
この利益は巨大なものになるう。おそらくは数億ドルの売上が期待できるはずだ。しかもこのように多数の独立ノードが設置されれば、Twitter.comがダウンした場合でもTwitterサービスは部分的に運用が可能だ。
つまり分散化には売上収入が得られ、運用コストが低減でき、信頼性が高まるというメリットがある。さらにもう一つ、Twitter自身が分散化をいち早く進めれば、分散化されたTwitterクローンを作ろうとする動きに先制攻撃をかけることができる。これによってTwitterはマイクロ・メッセージ・サービスの標準化にあたってプロトコルやフォーマット、コアとなるサービスを長期間にわたってコントロールすることができよう。Twitterという登録商標、ブランド自体についてもそうだ。逆に分散化を進めなければ、分散化クローンの登場によってこれらをすべて失ってしまう可能性がある。いつまでもためらっているべきではあるまい。
[原文へ]
(翻訳:滑川海彦/namekawa01)
