【本稿は、ゲストライターのNabeel Hyattによる寄稿である。Hyattは、Conduit Labsのファウンダー兼CEOであり、Loudcrowdをはじめとする、友人と共に音楽を体験するソーシャルゲームを開発してきた。同氏の個人ブログはnabeelhyatt.comで読める。またTwitterでは@nabeelでフォローできる。】
昨日(米国時間10/28)Facebookは、アプリケーションからユーザーにメッセージを送る方法を、再度大きく変更すると発表した。このことは、Zyngaのファウンダー兼CEO、Mark Pincusを大いに心配させたようで、予定していたハーバードビジネス校への出張を取り止めて、同社の大ヒット作品であるFarmvilleやCafe Wolrdにどんな影響があるかを、社員と共に検討することにしたほとだ。成長を続けるためにはフィードに記事が載ることが不可欠なので、驚くことではないが、業界の一部での「バイラル率」を近視眼的に重視する傾向は、恐らく誤っているであろうデータに頼りすぎるという状況を生みだしてもいる。
(話はそれるが、Facebookのことを、ビジネスを構築するには不安定なチャンネルだと不満を言う人たちは、Best Buyなどの小売業者と取引きしてみるべきである。平気で売上の50%のマージンを取った上で、一週間前の通知で売場から追い出され、全商品を送り返してくるから。そうそう、送料も請求されるのだった。)
今、バイラルに関する話題の中心となっているのは、巧妙かつ時には不透明に自分のバイラル率を高くする最新の方法だ。Serious BusinessのSiqi Chenが指摘するように、そこにはバイラルメッセージ戦術とは、製品が本来持っているバイラル性の強化策にすぎない、という本質が抜け落ちている。もっと簡単に言えば、製品の良さにとって、ユーザーの目に実際どう映るかが最も重要であるということだ。バイラルメッセージは、単にユーザーの意図を後押しするための一手法だ。後段では重要になるが、根幹ではない。
では、その意図はどう測定すればよいだろうか。実はFacebookでは滞留率が、ヒットを予測する上で、公開されている中で最も有効なデータなのだ。
他社製品の滞留率の正確な数字を入手するのはご承知のとおり困難だが、Facebookには30日間の滞留率データとしてDAU/MAU率というものがあり、スティッキネスとも呼ばれている。これは、日毎アクティブユーザー(DAU)と月間アクティブユーザー(MAU)の比率だ。例えば、DAU/MAU比が50%なら、アプリの平均的ユーザーは、その月の30日中15日間使用していることになる。
実はこの単純な指標が、製品の成否を高い信頼度で予測するのに十分であることがわかる。以下の一連のFacebookゲーム間の関係を見てみよう。

ここに挙げたゲームは、ブランド想起、アピールする世代、プレイスタイル、公開時期等、さまざまな面から見て、多岐にわたっている。2列目と4列目(緑色で表示)の順番がほぼ完全に一致していることに注目してほしい。これだけジャンルの異なるゲームであるにもかかわらず、スティッキネスと成功の間には、非常に強い相関がある。データをもっと詳しく見てみよう。

統計オタクでない人のために言うと、これは決定係数(R2)と呼ばれ、相関する2つのデータ群が、正確に未来を予測しているかどうかを判定するものだ。上図の線形回帰線上に全データがきれいに載れば、R2値は1になり、スティッキネス(X軸)とアプリケーションの規模(Y軸)の間には完全な相関があると言える。これらのソーシャルゲームを使用した結果、驚くべきと言ってもよい0.77という「一致」をみた。
あらためて、このデータがかなり注目に値すると言えるのは、スティッキネスは規模が巨大になれば下がると考えられるからだ。自分のゲームの2000万人目のユーザーで、それが初めてのFacebookゲームかもしれない人は、1000人目のユーザーよりも滞留しにくいと考えるのがふつうだろう。そうならずに、滞留率が急激に落ち込む地点を誰も見つけていないという事実は、ソーシャルゲームの市場の潜在規模を考えると、非常に大きいことを言っていることになる。
ただしこれは、市場規模が成功を暗示していると言っているわけではない、スティッキネスと成功の関係である。そして当然のように、これが滞留率にまつわる力技のメッセージ合戦を呼ぶことになり、昨今の無料プレゼントの横行は、それがもう始まっていることを示す好例だ。しかし、バイラル率の例と同じく、すべては製品本来の滞留効果を強化するための戦術にすぎないことを忘れてはならない。はっきり言えるのは、ユーザーが是非戻って来たいと思うものを作ることが、成功への最高の前兆だということだ。
[原文へ]
(翻訳:Nob Takahashi)




