2010年の新規株式公開候補、トップ10
by Erick Schonfeld on 2009年12月25日

ここしばらくIPO〔株式新規公開〕には旱魃が続いていたが、ベンチャー・キャピタリストやIT系起業家は2010年にはシリコンバレーに恵みの雨が降るのではないかと期待している。今年も OpenTableRackspaceA123SystemsなどいくつかIPOがあった。しかし本当に期待されているのはNetscapeの再来だ。つまり派手な成功で再びIPOブームを巻き起こすような上場だ。

以下に掲げるのは、IT系企業についてわれわれの考える2010年のIPO候補トップ10のリストだ(Twitterは含めていない)。私はリストの作成にあたってトップクラスのベンチャーキャピタリストやエンジェル投資家に非公式にアンケートをとってみた。以下の各社がシリコンバレーその他のIT業界でいちばん注目されているらしい。あとは景気が回復して一般投資家が(特に来年下半期以降)IPOを受け入れる条件が整うことを期待したいところだ。株式市場は全般的に回復基調にある。S&P 500は今年24%上がった。強気市場が続けば、IPOにとっては追い風となる。もちろんIPOがダメでも買収という出口はいつでも存在している。

1. Facebook. 資金調達総額: $716 M(7億1600万ドル)

「Netscapeの再来」候補中の大本命がFacebookだ。Facebookはいつでも好きなときにIPOができる段階にある。現在アメリカでも世界でも第4位のサイトだ。前回の普通株の売却の際には、会社の評価額は$11B(110億ドル)だった。この額が適正かどうか意見は分かれている。こうした大規模なIPOの場合、カギとなるのはFacebookが現在集めている巨大なトラフィックを首尾よく広告収益に転換できるかどうかだ。現在のところ年初に立てた$550(5億5千万ドル)という売上目標を達成できそうだといわれている。FacebookのIPOが成功すれば、その「後光効果」によって他のIT系企業のIPOにも間違いなく好影響をもたらすだろう。もし2010年に実施されなくても、FacebookのIPOが迫っていることは投資家の欲望をそそり、ひいては他社のIPOの後押しをすることになる。

2. Zynga. 資金調達総額: $219 M(2億1900万ドル)

ソーシャルゲームのデベロッパー、Zyngaは絶好調だ。月間2億3千万の訪問者がFarmVille、PetVille、Texas HoldeEm Pokerなどの人気ゲームをプレイしている。最近$180(1億8千万ドル)という巨額の資金調達に成功している。ZyngaはFacebookの最大の広告主で、その広告売上は$250M(2億5千万ドル)に上るものと推定されている。しかしその一方で、不当広告スキャンダルの主役でもあった(ユーザーを騙して物品やサービスの購入契約を結ばせようとする詐欺的な広告がソーシャルゲームに多数掲載されていることが暴露された)。不当広告問題をすっかりクリアしたと投資家を納得させることができればただちにIPOに向かうだろう。

3. LinkedIn. 資金調達総額:$103 M(1億300万ドル)

大手SNSのLinkedInはいわば企業向けFacebookだ。 ユーザーはここでビジネスをし、職を探す。この1年だけで$1B(10億ドル)の会社評価で$75M(7500万ドル)を調達している。今年、ファウンダーのReid HoffmanはLinkedInにはいつでもIPOする用意がある繰り返し語っている。 今年、元Yahoo幹部、Jeff Weinerが新たにCEOに就任した。以降Hoffmanは経営をWeinerに任せて、自分は主としてベンチャーキャピタリストとして活動している。以前からHoffmanはベンチャー投資を副業としていた。

4. Glam Media. 資金調達総額: $125 M(1億2500万ドル)

Glam Mediaはファッションを中心とした女性向けサイトを集めた広告ネットワークとして急成長してきた。この分野では伝統的な雑誌が苦戦を続ける中、Glamは2009年にバナー広告の売上を50%も伸ばした。CEOのSamirAroraは第4四半期に黒字化を期待しており、大企業での幹部経験のある社員を採用している。ニッチマーケットを独占している広告ネットワークは投資家にとって魅力的な対象だろう。

5. Demand Media. 資金調達総額: $355 M(3億5500万ドル)

Demand Mediaもロサンゼルスに本拠を置く企業で、元MySpaceの会長、Richard Rosenblattがファウンダーだ。 Demand MediaはeHow、Livestrong、その他無数のニッチサイトを傘下に置いている。またドメイン名管理業者のeNomもグループの一員で、多額のキャッシュを稼ぎ出している。Demand Mediaはまた安価なコンテンツを大量生産しており、Golflink.comやTrails.comのようなニッチサイトにポピュラーな検索フレーズに対応する短いビデオクリップを供給している。Michael Arringtonには「ジャンクフード・コンテンツ」と批判されているが、儲かる事業なので買収の噂が絶えない。AOLのTim ArmstrongはDemand Mediaのビジネスモデルを真似してニッチコンテンツを生産しようとしている。

6. Gilt Groupe. 資金調達総額: $48 M(4800万ドル)

Giltは高額商品を対象とする会員制のオンライン・ショッピングクラブだ。2009年の売上は$200M(2億ドル)に達し、来年はさらに倍増するものとみられている。  すでにIPOの噂が流れている。Giltのヨーロッパ版、Ventee-PrivéeはAmazonが $3B(30億ドルで買収交渉中という情報もある。Kleiner Perkinsはイギリスの同じようなショッピングクラブOne Kings Laneに投資している。

7. Etsy. 資金調達総額: $31.6 M(3160万ドル)

ニッチなオンライン通販ではニューヨークのブルックリンに本拠を置く手作り工芸品のオンライン市場、EtsyにもIPOの可能性がある。今年、Etsyを利用して$200M(2億ドル)もの製品が売り買いされた。これは昨年の2倍に当たる額だ。最近ファウンダーのRobKalinが一時退いていたCEOに復帰した。KalinによればEtsyは黒字化に成功しているという。EtsyはeBayのように巨大にはならないだろうが、高級なカスタムデザインのアパレル、家具、その他の製品の売買という専門分野ではeBayをしのぐ存在になるかもしれない。

8. Yelp. 資金調達総額: $31 M(3100万ドル)

先週、YelpはGoogleが$500(5億ドル)で買収寸前まで行った。Yelpは急成長中の地域ビジネスのレビューサイトだが、どうやら買収ではなくIPOを狙っているらしい。同社にはすでに従業員が300人おり、地域ビジネスの広告というあらゆるウェブサイトが狙っている有望な事業分野で大きな存在になりつつある。 地域広告ネットワークでは、すでにReachLocalが$100M(1億ドル)のIPOの申請を行っている。

9. Tesla Motors 資金調達総額: $783 M(7億8300万ドル)

今さらGMの株を買うくらいなら、Teslaに投資してはいかが? Silicon Valleyの電気自動車メーカーも株式公開を行うものと見られている。自動車メーカーを作るには巨額の資金が必要だ。Teslaはすでに$800M(8億ドル)近い資金を調達している。大部分は米国自動車産業救済計画からの$465M(4億6500万ドル)を始めとして、政府から貸付だ。またパートナーのダイムラー・ベンツからの投資や大富豪のファウンダー、Elon Musk自身の資金も投入されている。なにはともあれ、Tesla は黒字化を達成している。自動車会社としてこれはたいしたものだ。

10. Skype 資金調達総額: $69M(6900万ドル)

eBayがSkypeをSilver Lake Partners、Andreessen Horowitzらの投資家に$2.75B(27億5千万ドル)で売却した際に起きた騒動はまだ記憶に新しいが、結局は売却は無事成立した。Skypeはすでにインターネットを代表するブランドに成長している。ユーザーは5億人以上で、音声通話、IM、ビデオ通話などのサービスから$185M(1億8500万ドル)の四半期売上を得ている。eBayは売却先を見つける前は公然とIPOに向けて努力していた。eBayは現在でも依然として30%を握る大株主なので、Skypeの成長が続けば再びIPOが提案される可能性がある。

次点: 以上の10社が来年のIPOの最有力候補だ。これ以外にIPOの可能性があるのは、Associated ContentBrightcoveDiggStumbleUponLiveOpsWorkdayMerchantCircleExactTargetCheggRearden Commerceなどだ。事情に詳しい筋によると来年はTwitterのIPOはないということだ。時期早尚だという。 Twitterは$100M(1億ドル)の資金を調達したが、ビジネスモデルは依然これからの課題だ。2011年にはIPOの運びになるかもしれない。

読者はどの会社がいちばんIPOをしそうだと考えるだろうか? 自分で投資するとしたらどの会社だろうか?

写真:Flickr/David Paul Ohmer

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦/namekawa01

  • http://life.is.ideaful.net/info-tech/competitive-strength-of-etsy-com.html そうだ!スタンフォード、行こう。 » eBayと一線を画すEtsy.comの凄み – IPOはもうすぐか

    [...] この程TechCrunchが『2010年の新規株式公開候補、トップ10』を発表しました。Twitterの名は無いにしろ、Facebook、Zynga、LinkedIn、Yelp、Tesla Motors、Skypeなど錚々たるメンツの中に、聞き慣れぬ企業名が…その名もEtsy。でも1度2度聞いたことのあるような…何で聞いたんだろうなぁと思い返していたら、学部時代の友達が「ハンドメイド商品が売り買いできるサイトがあるよー」と紹介してくれて、それがEtsy.comでした。Handmade・Supplies・Vintageの大枠3カテゴリの中で、洋服やアクセサリー、バッグ、その他小物類から食器まで様々なハンドメイド商品が商品データベースにてんこ盛りです。 Silicon Valleyからはるか遠く、アートな気風漂うNew YorkのBrooklynを本拠地にするEtsyはハンドメイド商品売買を手掛けるソーシャルEコマースサービスで、詳しい説明は『Etsy:“ウォルマート資本主義”のニッチを狙うP2Pマーケット』に詳しいです。P2PかC2Cかの議論はひとまず置いておいて、Etsyはデザインと実用性の融合をFlashで以て実現し、圧倒的なFlashビジュアライゼーションを活かし、Colors(色ベースでの商品検索)やTreasury(ユーザーの人気に基づく商品検索)、Shop Local(出品者所在地による商品検索)、Time Machine2(時系列に沿った商品検索)などデータベースと緊密に連動した「かゆい所に手が届く」サービスをリリースしまくっています。ちなみに1商品当たりリスティング費用20セント+成果報酬フィー3.5%という非常にリーズナブルなコストで、コミュニティーサービスも付いたこのプラットフォームに売り手として参加することができます。 2007年にはHandmade2.0と銘打ってNew York Timesが7ページぶち抜きで特集を組んだこともあり、創業者Rob Kalinは完全にIPOを視野に入れた上で経営を行い、この2008-09の1年でUnique Visitor数を2倍にし、今年Etsy経由で約2億ドルの商品売買がなされ(昨年の2倍!)、もはや勢いはとどまるところを知りません。コアユーザーが女性という点もVCにとっては魅力的なのかもしれません。 “これでEtsyは、さらに多くの人たちが物を作ることで生計を立てられるように、この業界でのリーチを広げることができます。Etsyを何百年でも続けたいと思っています。われわれの目標は、Etsyを独立した公開企業にして、あらゆるハンドメイドの品物を専門に扱うことです。” (『Etsyが$27M調達。AccelのJim Breyerが取締役に』より) また、Interview with Robert Kalin of EtsyにはEtsyが産声を上げるきっかけや、サービス内部で使われているプログラミング言語など様々なインタビュー項目にKalinが答えています。 ・僕たちは、メディアとしてWebを利用することでショッピングを行えるという新しい活路を切り開きたい。産業革命や企業合併により、個人の芸術家が自身の商品を流通させることが非常に難しくなっている。これを、変えたいんだ。 ・RobとChris、それにHaimがEtsyを作ったんだ。2ヵ月半で作り上げ、2005年の6月18日に創業した。Brooklynのエンジェル投資家夫婦に創業資金を工面してもらったよ。 ・EtsyはPHP、Python、PostgreSQL、OpenBSD、Gentoo Linuxを活用している。(創業時代の)開発部隊はRobとChris、Haim、Jaredで、彼らがいなかったらEtsyはBrooklynのアパートに埋もれていただろうね。 ・(Web2.0サービスをローンチしようとする人々に向けてのメッセージとして、)自分の知見を公にし、ユーザーをとことん愛そう。ほどほどにグラデーションを活用し、目の前の仕事に一心集中し、製品をリリースしよう。バズワードは無視して、ミーティングは気晴らし、開発遅延でユーザーを不安にさせてはいけないけれど、まずは楽しんで!有名になって祭り上げられることに固執することなく、自由でいる方が良いね! 最初見た時、このサービスは1億2億までは伸びるかもしれんけど、10億50億100億円規模とスケールするのはまぁ無理でしょ、と正直思ってました。楽天内でハンドメイド商品を売るショップ、みたいな感じで。投資額だけで約30億円積み上げている今、胸を張ってはっきり言えます… すいませんでしたww ←人気ブログランキングに登録しております!気に入ったらで結構なので、是非是非クリックして頂けると嬉しいです◎ [...]