もうすぐ2010年だ。そこで本誌界隈では、2009年までの10年間に出た製品で何がとくに良かったかが雑談の話題になる。そしてそのついでに、何がだめだったかも…。
この00年代は、多様なニッチの勃興と定着の10年だった。予想外の成功例もあったし、またその陰では敗者もいた。この記事は敗者たちの完全なリストではないが、編集部の目から見た、00年代を代表する負け犬たちだ。
彼らを本誌の記事で取り上げるのは、たぶんこれが最後だね。
優勝 敗者: 物理店舗
ネットショッピングをためらう人が誰もいなくなると、有限の在庫と押しつけがましい売り子を抱えた物理店舗の衰退は時間の問題となった。店終(じま)いした有名どころは、Circuit City、CompUSA、Gatewayなどだ。Wal-MartやBig Kは順調だが、彼らは日用雑貨が中心だ。パソコン〜電子製品ではBest Buyがまだ頑張っているが、これもいずれはアラモの砦の運命だ。彼ら自身も、そのことをよく知っている。
低価格と、再販市場と、ロングテール効果と、消費者のインターネット慣れが組み合わさって、大手ネットショップは異様なほどの大成長を遂げた。あの偉大なるKozmo.comの再来はないと思うが、Amazon Freshや、Nook、Kindleといったトロイの木馬〔敵(ここでは消費者)のふところ深く自軍の先兵たちをまんまと送り込むこと〕の登場は、ものを買う場としてのインターネットの、今後のさらなる勝利を匂わせる。
次位
![]() Motorola iPhoneが発表されたころには、RAZRが市場でもっともホットな携帯電話だった。ものすごく薄くて、未来的なデザイン、そして機能はふつうのケータイとまったく変わらなかった。というかMotorolaはそれまで何年間も、もっぱらふつうの携帯電話だけを作ってきた。Blackberryやスマートフォンの先がけのようなものが一般大衆に売れ始めてからも、MotorolaはせいぜいRAZRの改良版や、KRZRなどの変形版を出すだけだった。電話機なんて所詮がらくただ、単純な日用品だ、長期的な製品〜マーケティング企画なんか要るか!という、大手老舗企業のど根性。 今はDroidで自己蘇生に努めているが、それも長続きはしない。Androidの市場はまだ安定にはほど遠い。Motorolaはこれまで築き上げた大きな地位とブランド力を放り投げてしまい、運にも見放された。それを取り戻す方法は、なさそうだね。 |
![]() RIAA/MPAA なにも言うことはないね。この、訴訟好きなだせぇおっさんたちは、今日も自分たちの墓を掘り続けている。その彼らの目の前で、メディアとその配布/流通のルネッサンス(人間のものを人間の手に取り戻すこと)が繰り広げられているが、それを直視しようとせず、オーディエンスを訴えたりしている。 この10年の技術と文化の変化に対して、これ以上にまずい対応の仕方がありうるだろうか? ないね。各国で彼らとその類似団体は、まったく同じまずい対応をしている。子どもを訴訟する、数字を捏造する、あのあほらしいDRMを導入する…同じ愚行が毎年々々、10年も続いているのだ。近いうちに、大手レーベル全員のお墓の上で踊ってあげるから、待ってなさい。 |
![]() AOL これだけ言わせて: AOLの過去の功績はすばらしいです。御社一社で、大量のオンライン人口を作り出しました。けったいな独特のインターネットインタフェイスだったけど、そこから何百万もの人たちがWebや電子メールやチャットを知った。しかしAOL自身の体質は…そのほかの類似の大手サービスも…旧態依然としていた。 AOLの昔の役割はとっくに終わっているが、Yahooのような大型ブランドとしての再生を図るよりもむしろ、舞台の後ろに引っ込んでしまった。いろんなことをやったがそれらはすべて、インターネットに対する誤解をベースにしていた。企業がすべてを管理し制御する、コンテンツに鍵をかける、アクセスを細かく監視する…これらはすべて、大企業が一般大衆に押しつけようとする古いやり方だ。 |
編集部雑談
Doug: 敗者として挙げるべきはInternet Explorer、モバイルとデスクトップの両方だ。この10年間の半ばごろには95%のマーケットシェアを誇る完全な王者だったが、今では65%前後だ。Safari、Firefox、Google Chrome、そしてとくにモバイルではOpera…これらが急伸した。ぼくなんか、この10年の最初の7年はInternet Explorerしか使わなかったけど、最近の3年間はほとんど使ってない。Microsoftが何もできずに手を拱いているあいだに、IEはまるで象の死骸のように、ほかのブラウザたちに食い荒らされて小さくなっていく。胸が痛くなる光景だね。
Matt: ToshibaがHD DVDへの投資で大損をしただけでなく、消費者もあほらしいフォーマット戦争の犠牲者だ。家庭のHDTVでHDのコンテンツを気楽に見たいだけなのに、HD DVD vs. Blu-rayという無意味な戦争が勃発して一般大衆や初期のユーザを困らせ怒らせた。デジタルコンテンツのダウンロードに対して、多くの人が関心を持ったことが、せめてもの功績かな。
Nicholas: この10年の最大の敗者はぼく自身だと思うけど、でもこの記事の趣旨には合わないね。それはともかくとして、Sirius XMは、(二つの会社だったころから)ラジオの革命を目指していたはずなんだ。でも、彼らとその同類たちは、iTunes Store、Spotify、Pandora、非合法的音楽サイトなどなどに負けてしまった。トークラジオ…Hannity、Limbaugh、Opie and Anthony、Ron and Fez、Howard Stern(ぼくはファンじゃないけど)など…はもちろん話が違う。XMのチャネル202は今でも聞いてるからね(それが唯一のXMを聞く理由)。でもO&AやR&Fがいなくなったら、契約を切るよ。というわけで、Sirius XMやそのほかの商用音楽放送は、これまでの放送とは違うと言いつつそんなに違わなかったし、まあ大きな敗者と言えるね。
Dave: 印刷メディアはこの10年で突然急落したね。かつては最良の情報媒体と言われていたメディアが、鈍重な恐竜と見なされるようになった。変化の激しい世界に歩調を合わせたくても、最短でも12時間の遅れがある。同情はするけど、今の団塊世代がいなくなったら印刷メディアも彼らのお墓に一緒に入るだろう。今新聞を購読しているのは、あの世代だけだからね。
John: 死んだ木〔dead tree, 紙のこと〕の本。こないだStephen KingのUnder the Domeを買ったけど、Kindleだよ。友だちは、本物の本を持ってた。1000ページもあってものすごく厚いから、見ただけでおそろしくなる。ぼくのように本を読むのが好きな人間は、重くてでっかい紙の束を欲しいわけではない。大きな本を持って飛行機に乗りたいとは思わない。出版業界はもっと考えてほしい。Mr. Sparky Pantsですこし盛り返すかもしれないが、でもSeth Godinはこう言ってる:
AmazonとKindleは書店を殺した。なぜか? 本を1年に100冊も300冊も買う人は永遠にいなくなった。ふつうのアメリカ人は1年に1冊、本を買って楽しむだけだ。でもそんな人びとは書店にとって無意味だ。読書の好きな人をお客にすべきだが、そういう人たちは2009年が終わろうとしている今、書店を見捨てたのだ。もう、終わりだ。
ぼくも同感だけど、電子形式の本には、これからの長い豊かな(==儲かる)人生が待っていると思うよ。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))





