「テクノロジー業界の人間は、思考の多様性とオープンマイドのある場所に魅せられる」とは、Richard Florida教授が、米国の都市部50箇所の成長と成功についての研究で得た結論だ。最も成功している場所は、ゲイと放浪者と移民が最も多い地域だった。これらのグループがシリコンバレーで花開き、その多様性が大きな強みとなったことに疑う余地はない。しかし、先日のCrunchies Awardsに参加した私は、何かまだ大切なものが足りないことに気がついた ― 女性起業家である。イベントを通じて、壇上に登った女性CEOがTechCrunch自身のHeather Harde唯一人だったことに、私はショックを受けた。同イベントで競った企業のほぼすべて(PR会社を除く)が、男性によって率られていた。この欠陥こそがベンチャーキャピタル界のこの急落の原因であり、シリコンバレーが今以上に成功していない理由なのではないか。
Dun & Bradstreetの分析データによると、2004年に設立された企業23万7843社のうち、女性が主要オーナーである会社は19%にすぎない。そして、わずかにテクノロジー企業の3%、ハイテク企業(シリコンバレー企業等)の1%のみが女性によって設立されている。シリコンバレーのテク系企業の経営チームを見ても、CiscoのPadmasree Warriorなどわずかな例外を除き、女性CTOを見つけることはできない。Appleをはじめとする一部企業の経営陣には ― 一人の女性の名前もない。これはベンチャーキャピタル(VC)会社でも変わらない ― 男性支配である。CFOや人事のトップには見かけることもあるが、女性VCはベンチャーキャピタル業界では稀少品である。しかも、最近のベンチャー大不況とともに、VC業界における女性の数はさらに減少している。TheFundedが選んだ2009年のベストVC、84人のうち女性が一人しかいなかったのは偶然ではない。
女性の経歴や意欲が、起業家になることを妨げているのだろうか。それを探るべく最近私は、 ”National Center for Women & Information Technology(NCWIT)”とのプロジェクトを終えたところだ(調査結果は今春Kauffman Foundationから公開される)。成功したスタートアップ549社に関するわれわれの調査結果によると、男性起業家と女性起業家の間で、意欲の差は事実上見られなかった。女性は男性と全く同じく、自らのビジネスアイディアを活用して富を築きたいから、ベンチャー企業文化が好きだから、人のために働くことに飽き、自分がボスでありたいと思うから、会社を作ったのである。

女性起業家は、男性と変わらず高学歴であり、早い時期から起業に関心を持ち、同じように業務経験や過去の成功や失敗から貴重な教訓を学び取っている。唯一の違いは、女性の方が自分のビジネスパートナーや個人、専門のネットワークに高い価値を置いていることだ。
女性は男性に比べて能力が低いのだろうか。全く反対である。Illuminate Venturesのマネージング・ディレクターCindy Padnosが行った分析によると、女性の方が資本効率が高く、ベンチャー資本による女性が経営する会社の年間収益は12%高く、使用した受託資本は平均して1/3少ない。女性が率いるハイテクベンチャーの失敗率は男性トップの会社よりも低い。そして、経営上層部に女性が多い会社では、他企業に比べて株主資本利益率(ROE)が35%高く、総株主利益率(TRS)が34%高い。
Padnosは、教育が女性優勢に転じる傾向にあると指摘する。女子生徒の数学の成績は男子に追いついている。米国では、高等教育に進む比率が男性100人につき女性140人である。学士、修士ともに50%以上を女性か取得している。ビジネスおよびMBAプログラムへの女性の参加は1970年代に比べて5倍以上に増え、工学士を取得した女性の数は10倍近く増えた。
それでは、どうしてスタートアップ企業に女性が少ないのたろうか。Women 2.0のShaherose Charaniaは、女性にはロールモデルやメンター[師となる助言者]が少ないからだと考える。さらに、女性が出資を受ける方が男性より難しいとも言う。彼女によると、歴史的にみて、女性がトップの企業が受け取ったベンチャーキャピタル投資は、全体の9%以下でしかない。2007年には、出資を受けた女性CEOの比率は3%へと減少した。そしてもう一つ、彼女のグループが取り組んでいる問題がある。古いVCの中には、女性に話をする時間も与えない者がいるという。グループのメンバーが集めた、VCやエンジェル投資家が、起業家の売り込み口上を遮ってこんな質問やコメントをしたという例は以下の通り。
- 子どもはいつ作るつもりかな?
- なんで「彼」がCEOじゃないの?
- なるほどご主人が住んでいるからここに引っ越したわけですね。だったらご主人が転勤したらどうするんですか。一緒に行くんですか?
- 髪を切って、もっと男らしい服装にしなさい。CEOになりたいなら。
ベンチャー支援会社、AstiaのCEO Sharon Vosmekは、VCには女性に対するあからさまな偏見はないと考えている。むしろ、ベンチャーキャピタル業界のしくみの働き方の問題なのである。Vosmekは、こうした「系統的あるいは隠された偏見」には次のようなものがあると言う。
- VCには、成功したCEOの明確なステレオタイプがある(彼らはパターン認識と呼んでいるが、他の業界ではプロファイリングまたはステレオタイプ化と呼ばれている)。John Doerr(著名なVC)は自身の最も成功した投資(および、将来の投資に関する頭を使わないですむパターン)についてこう公言している ― ファウンダーが白人、男性、30歳以下、オタク、社会生活を営まず、ハーバードまたはスタンフォード中退(2009年のNVCAカンファレンスにて)。
- VCは自分が知っている人物に出資する。日常のネットワークの中に女性がいなければ、女性が入ってくる余地はない。今日でも、男性と女性が別々のビジネスネットワークを作っていることことを、私たちは知っている。
- VCは、連続起業家に投資したがる(これで、さらに女性起業家のチャンスが減る)。
- VCコミュニティーは明らかに男性が支配しており、VCが経験した過去2年間の不況の後、それがさらに悪化し多くの女性パートナーが業界を去った。Diana Projectの調査結果が示すように、女性のパートナーのいるVC会社は、女性起業家に出資する可能性が高い。
このように、問題があることは明らかである。われわれは、全人口中最も生産性の高い半数を疏外しているのである。どうすれば問題を解決できるのだろうか。NCWITのCEO、Lucinda Sanders、Shaherose Charania、Cindy Padnos、Sharon Vosmek、いずれもが助言をくれた。私にも自分の考えがある。その一部は、続報記事に書くつもりだが、まずみなさんの意見を聞きたいと思う。私が最近BusinessWeekのコラムに、女性起業家の欠乏について書いたところ、問題は女性の側の落度ではなく社会的欠陥にあるという私の結論に反対する男性たちから、怒りのメールが殺倒した。私がウォール街をインドの相当する地域と比較した部分に、ひどく怒っているものもあった。怒れる男たちの声はもう聞いたので、今度は女性からの声を聞いてみたい。コメント欄に意見を書いてほしい。
【編集部より:本稿は、起業家出身の学者、Vivek Wadhwaによる寄稿である。同氏は現在UCバークレー客員教授、ハーバード法科大学院上級研究員、およびデューク大学常任理事を務めている。Twitterアカウントは@vwadhwa。】
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(翻訳:Nob Takahashi)
