アメリカ政府のブロードバンド普及策が腰抜けなので、ユーザーはGoogleだけが頼みの綱
by MG Siegler on 2010年3月23日

アメリカにおける将来のイノベーションを成功させる上で、ブロードバンドによるインターネット接続の普及より重要な要素はほとんどない。FCC〔連邦通信委員会〕もこの点を理解しているらしく、全米ブロードバンド計画(National Broadband Plan)が策定された。 しかし、その中味は期待外れもいいところだ。

ハーバードの法学の教授、Yochai BenklerがNew York Timesに掲載した論説記事に問題点が非常に的確にまとめられている。この鳴り物入りの新しい計画は、ちょっと見には大したもののようだが、実際にはまったく不十分である。その理由はごく簡単だ。この分野にはアメリカのほとんどの地域で全く競争が存在しないからだ。新計画が実現したとしても、なんと85%の家庭にはプロバイダ選択の自由がまったくない 。2020年までにはアメリカ国民のほぼ全員がブロードバンドでインターネットにアクセス可能になるといっても、高額の料金を支払えるユーザーが現実にどれくらいいるか、大きな疑問だ。

幸運にも選択の自由があるユーザーの場合でも、ほとんどの場合、選択肢は2社しかない―そして2社とも高額である可能性が高い。アメリカは先進国の中でブロードバンド接続料金が一番高い。日本やフランスはアメリカよりずっと速い接続をアメリカよりずっと安く提供している。その理由はこれらの国では競争が存在するからだ。なぜアメリカ国民はこんな状況を我慢しなければならないのか? アメリカ政府が腰抜けだからだ。せっかく全米ブロードバンド計画のようなプランを立てても、テレコム業界のロビーストによって骨抜きにされてしまう。

Benklerが記事で明らかにしているとおり、Time Warnerは競争がないために高額な料金を設定できることに大いに満足している。Comcastも競争がないおかけで四半期ごとにほとんど10億ドルもの暴利をむさぼっている。

超高速光ファイバー網を建設するのに多額の資金が必要なのは事実だ。しかし政府が市場をオープンにしさえすれば大手業者のコストを削減する方法を見つけ出す競争者はいくらでも現れるだろう。しかし大手業者そうした事態を望まない。大手業者は当初どれほどコストがかかろうと気にしない。独占市場ではその後でいくらでも好きなだけ利益を上げられることが分かっているからだ。

ただし、われわれにはかすかな希望が一つだけある。

あまりにも巨大化していると懸念する声も多いとはいえ、Googleはインターネットへのユニバーサル・アクセスに関する限り、正しい側に立ってきた。携帯の電波帯域が(部分的とはいえ)オープン化されたのはまぎれもなくGoogleの力によるものだった。現在、Googleは有線ブロードバンド接続に関して信じられないほど超高速のファイバー網建設計画で同様に正しい方向に進もうとしている。FCCの「100の2乗」プランが100メガビット毎秒のブロードバンド接続を2020年までに家庭に普及させることを目標としているのに対し、Googleはなんと、毎秒1ギガビットの接続をずっと早く実現しようとしている。

もちろんGoogleの計画の規模はずっと小さい(FCCが1億世帯に対して、Googleは50万世帯)が、この計画に対する一般ユーザーの反応からすると、Googleはこの分野でも現在ではまだ想像もできないような巨大なプレイヤーに成長する可能性がある。

Googleのブロードバンド実験の地域に選定されようと自治体がいろいろ奇妙な誘致キャンペーンを行っていることをわれわれはすでに何度か報じてきた(カンサス州Topekaメリーランド州ボルチモア 等々)。しかしその他にも、夢中で呼び込みをしている自治体が多数ある。たとえば―

これらはわれわれが知った例のほんの一部にすぎない。Googleのアイディアに関するアメリカ全土の反応は市民がよりよいインターネット接続を熱望していることをはっきりと示している。ところがアメリカ政府は、市場を開放するための効果的な措置を取ろうとしない。市場に競争が持ち込まれることを望まない連中のロビーストが大きな力を持っているからだ。アメリカで最大の企業のひとつであるGoogleが5万から50万世帯に高速インターネット接続を提供できるなら、他の大企業も続々とこの市場に参入してもよさそうなものだ。

しかし、そうはならないだろう―政府が少しは根性を見せて市場のオープン化に力を入れ始めるまでは。

[写真: 20th Century Fox]

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(翻訳:滑川海彦/namekawa01

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    [...] でもたぶん、そのほかの選択肢が登場してくるはずだ。Googleやワイヤレス企業などから、まったく新しいものが登場する可能性もある。市場は、それを求めている。 [...]