Steve JobsはMacをニッチ製品にしてしまった過失から学び, 今度こそ本物の勝者になれるだろうか?
by Erick Schonfeld on 2010年4月10日

歴史を作るような機会のある人は、めったにいない。そういう機会が二度以上ある人はさらに少ない。モバイルタッチコンピューティングの時代の到来を告げる今日(こんにち)のSteve Jobsがの姿が、30年前にパーソナルコンピュータの時代の到来を告げた姿とオーバラップして輝かしく見えるのは、おそらくそのせいだろう。でもここで疑問に思うのは、彼はかつてMacをニッチ市場へと退歩させてしまったときと同じあやまちを繰り返しているのではないか、ということだ。それとも彼は、当時のあやまちから学んで、今度こそAppleがトップ企業になることを目指すのだろうか?

Jobsはまたまた、Appleのきわめて優秀な製品デザインを、業界に対してまるで挑戦状のようにたたきつけている。ただし今回は、勝つのは自分だと思っている。しかしAdobeのFlashをiPhoneから閉め出したり、AndroidをめぐるGoogleとの仲違いのエスカレートなどの動きは、昔と同じことの繰り返しなのか、JobsはiPhoneとiPadを共に、Appleがコントロールできる比較的クローズドなシステムにしようとしている。アプリケーションはどれもAppleの承認を要するし、アプリケーション上の広告も事前にAppleが目を通すことになり、それにiPhoneをFlashのデベロッパにとって開かれた場にしたいとAdobeがいくらがんばっても、Appleはその努力を無視し続けるだろう。

デベロッパや評論家たちは、Appleの閉鎖性についていくらでも抗議できる。でもよく考えてほしい、企業はオープンであることが自分の利益にならなければオープン性に関心を示すことはない。Adobeとの戦いはつねに、デベロッパたちに対するAppleからの自分のルールの押しつけだが、Appleが一方的にそのルールを振りかざすことができるのも、背後に圧倒的な数の顧客がいるからだ。

デスクトップの時代には、Microsoftがアプリケーションをほぼ独占し、巨額な売上をあげた。今日のモバイルの上では、ほとんどiPhoneの一人舞台で、Jobsはその状態を維持したいと願っている。AdobeやMicrosoftに、彼らがほかのデバイスのために開発したアプリをiPhoneに移植することを許したら、そのぶんiPhoneの価値が下がる。AppleがAdobeに対して厳しい態度を取るのはそのせいだ。Appleの関心はFlashではなくデベロッパにある。John Gruberはこう書いている:

App Storeというプラットホームは、長期的にはデファクトスタンダードのプラットホームになるかもしれない。Microsoftもそのようにして今日のMicrosoftになったのだ。ある時点から、Windowsのユーザが圧倒的に多くなり、デベロッパはWindowsのためにアプリを書くようになった。そうすると、ソフトウェアはすべてWindows用しかないから、消費者はWindows PCを買う。それはいわば、ライセンスが金の生(な)る木になった、という状況だ。

でもそのライセンスはいつまで続くのか? iPhoneは、GoogleのAndroidフォーンの日に日に大きくなる脅威に直面しているが、Androidはモバイルの世界のPCだ。iPhoneを作るのはAppleだけだが、多くのPCメーカーがWindows PCを作っているように、今は多くの携帯メーカーがAndroidフォーンを作っている。Android機は徐々に良くなっている。それにAndroidの全体の売上はiPhoneの売上に迫りつつある。

そのことは、誰よりも彼自身がいちばんよく知っているはずだ。彼は、自分自身の歴史を忘れたのか、それとも、十分自覚しているので今度はこれまでとは違う結果を作り出す気でいるのか? iPhoneがスマートフォンの圧倒的首位製品であり続けるかぎりは、Googleの広告を閉め出したり、アプリケーションに関してデベロッパを封じ込めたり、なんでもできる(その結果、顧客のアプリケーション選択の幅も狭めているのだが)。

しかし今業界は、Appleとのあいだにあったイノベーションの差を急速に縮めつつあるから、どうも“歴史は繰り返す”ことになりそうだ。モバイルのOSをGoogleが支えていることは、デバイスのメーカーにとっては経済的な優位性を意味する(==自分で開発〜メンテをしない)。Jobsは、最大のAndroid機メーカーであるHTCを訴えたりしてAndroid封じに躍起だ。彼はまた、持てるものすべてを投じてGoogleと戦っている。自分もモバイル広告の市場に参入することによってGoogleのAdMob買収に対抗し、特許をめぐる訴訟によってAndroidのパートナーたちの心に不安材料を植え付けようとしている。

結局のところ、歴史を書き換えるのは勝者だ。今は、Jobsが勝っている。彼はこれからも勝ち続けるのか、それとも、歴史を敵に回すことになるのか?

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[米TechCrunch最新記事サムネイル集]

(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

  • GED

    結果はきっと同じでしょう
    iPhoneのアコギな商法と毎度毎度のサプライズという名前の予定済みな発表ではユーザーも居着かないでしょうね
    iPhoneやiPodがひとり勝ちしているように思っているのかもしれませんがこういうやり方では5年程度で競合品が増えてきてまた没落していくでしょうね

  • おっさん

    恐ろしいほどの詭弁だと思います。
    既にJobsは歴史の勝者でしょう。事実、彼がいなかったら今の世界はなかったのです。

    デベロッパーは「自分の好きに作らせろ、させろ、さもなくば全否定だぞ!」という近視眼的矮小な、はっきり言えば単なるわがままを言いがちです。

    しかし、それを言うならGoogleにも言うべき。Googleとて企業であり、Androidで囲い込もうとしています。なぜAppleに対してのみ閉鎖的だ囲い込みだと言うのでしょう。

    それはデベロッパーの勝手な都合だからです。フリーだオープンだと言う言葉にのせられてGoogleの兵隊になっているにすぎないのです。

    Appleがいやなら黙ってAndroidに乗り換えればいい。そこには大好きなオープンもフリーもあることでしょう。そしてそこでGoogleの兵隊になればいいのです。

    Appleの領土に入り込んで、ここは俺の自由にさせろ!なんでも作らせろ!そして俺の作ったものは使う側の自己責任で使えばいいじゃない!というのは単なるわがままです。

  • http://managementconsulting.jp/ T☆K

    今後のAndroidフォーンの伸びが非常に楽しみです。

  • http://android-no.info/hatena-news/steve-jobs%e3%81%afmac%e3%82%92%e3%83%8b%e3%83%83%e3%83%81%e8%a3%bd%e5%93%81%e3%81%ab%e3%81%97%e3%81%a6%e3%81%97%e3%81%be%e3%81%a3%e3%81%9f%e9%81%8e%e5%a4%b1%e3%81%8 Android情報局 – Steve JobsはMacをニッチ製品にしてしまった過失から学び, 今度こそ本物の勝者になれるだろうか?

    [...] はてなブックマーク新着 Steve JobsはMacをニッチ製品にしてしまった過失から学び, 今度こそ本物の勝… [...]

  • http://www.appbank.net/2010/04/11/iphone-news/110641.php [朝刊] twitter, iPhoneアプリ tweetie を買収、早々にも twitter for iPhone に改名し早々に無料化予定。

    [...] [...]

  • http://news-log.sytes.net/?p=279 Steve JobsはMacをニッチ製品にしてしまった過失から学び, 今度こそ本物の勝者になれるだろうか? | 俺的ニュースメモ

    [...] Steve JobsはMacをニッチ製品にしてしまった過失から学び, 今度こそ本物の勝… [...]

  • S*Y

    いいアーティクルです。ありがとうございます。

  • http://d.hatena.ne.jp/ActionScript/20100412/flash_cs5_packager_for_iphone 独学ActionScript

    Flash CS5はどうなる? 「iPhone OS 4 SDKの規約変更」に関する記事まとめ…

    先日iPhone OS 4が発表されましたが、それと同時にiPhoneアプリを開発するための規約が変更され、その中には、今夜発表(日本時間で13日0時)が予定されているFlash CS5の目玉機能「Packager for iPhone」(iPhoneアプリ書き出し機能)が全く使い物にならなくなる可能性のあ…

  • locom

    記事にある「ニッチなMac」は個人向けのパソコンとして企業別で世界第5位の販売台数誇る。因みに1〜4位に日本のメーカーは1社も入っていない。Apple製品はもともと利幅があるのも手伝って今や世界トップクラスのパソコンメーカーである。だからニッチで良いのだ。
    Androidはいずれシェア争いを制し、採用メーカーが増えると共にハードウェアメーカー同士のつぶし合いになる。結果、利益を得るのは広告収入を主軸に置くGoogleとサービスベンダーでありハードメーカーではない。
    逆にAppleはスマートフォンのシェアが30%に減少しても販売台数1位をキープ出来るだろう。

    AppleがAndroidを脅威と感じるのはモバイル広告の広告主らがiAdに興味を示さなくなることであって、ハードメーカーとしてはiPhone OSがニッチであっても構わない。
    と思う。Android派だけど…

  • iwatani

    > 企業別で世界第5位の販売台数誇る。
    この記事は個々の企業の数値を話題にしているわけではない。「ニッチ」も、少なくともこの記事では、そういうレベルの概念ではない。

  • http://maronking.com/?p=23 Steve JobsはMacをニッチ製品にしてしまった過失から学び, 今度こそ本物の勝者になれるだろうか? « aiai@cafe THE KITCHEN

    [...] TechCrunch JAPANより無断転載 [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/best10-100418/ [jp] 欧州で続く航空便の様子が気になる——先週の人気記事ランキングベスト10(4/12〜4/18)

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  • locom

    ^^;
    そんなもん私に限らずこの記事を読んだ全員が解りますよ。書いてみただけです・・。
    以後は記事の内容とズレたコメントは書き込まないよう心掛けますね。
    なんか申し訳ありませんでした。

  • http://iphone-ipad-app.com/?p=314 買収買収買収の春:Apple~買収から見るApple次の一手~ – ねねっとTechDiner

    [...] 実際にAndoroid陣営が追いつこうとしている現状も有るなか Dellの開発している端末なんかとは違う、 全く別の「iPadより小さい何か」はでてくづのでしょうか? [...]

  • 通りすがり

    まずApple社の目標設定が違うんじゃないかと思いました。業界標準となって安定的な収益を得ることなどハナから目指していないんじゃないかと。

    そういうことばかりしていると、次第に恐竜化して大きな変革についていけなくなる。収益よりもイノベーションやインパクトの大小の方が重要でしょう。

    確かにこの先Androidなどの汎用性の高い製品がクローズドなiPhoneやiPadを制してAppleが敗北したかのように早合点される時期が来るかもしれませんが、

    いつまでもiPhoneやiPadを売り続ける、というアイディアがそもそもAppleには無いんじゃないかな。再びAppleが画期的な新製品を投入して今まで市場が無かった分野を切り開く…

    まさに歴史は繰り返すんじゃないですかね。