
米国時間7月1日Googleは、$700M(7億ドル)という大金を新戦略に賭けた。同社はフライト情報提供会社最大手、ITA Software買収契約が合意に達したことを発表した。ITAは、大手オンライントラベルサイト、トラベル検索エンジン、航空会社の大半に対して、航空券料金、スケジュール、空席等の情報を提供している。ITAの既存顧客には、Bing、Orbitx、Kayak、Expedia’s Hotwire、Continental、US Airways、American Airlines、Southwestらがいる。
Googleは、「既存のあらゆる契約を尊重する」旨を注意深く表明した。じっさい、Googleにとってこの契約が反トラスト法規制に抵触しないためには、条件の一つはGoogleがITAのフライトデータを競合他社に提供中止することを禁じるか、少なくともGoogleとしてそう約束することである可能性がきわめて高い。この契約は、他のトラベル検索サイトにデータをアクセスさせないことが主眼ではない。むしろ、さまざまなカテゴリーで高度にカスタマイズした検索体験を提供する、というGoogleの深遠な戦略シフトを示すものであり、トラベルはその出発点である。
言い換えれば、これは垂直検索をトラベルだけでなく、健康、ショッピング、地域、最近ではエンターテイメントにも適用しているBingと同じ道を行くものである。この契約を概観すると、規模的にはGoogleのモバイル検索参入を象徴するAdMobを$750M(7億5000万ドル)で買収ときとほぼ同じである。検索のさまざまな分野を堀り下げることは、Googleにとってモバイル検索と同じように重要である。
これまでGoogleの検索哲学といえば、ウェブから取ってきた最良の結果を人々に見せ、できるだけ早く他のウェブサイトへと去って行かせることだった。しかし、ある種のタイプの検索では、Googleが結果のフィルターや編成をもっとできるはずだ。トラベルは、フライトの空席や料金の提示などGoogleにまだできることがあるのが明らかな分野の一つだ。Googleはトラベルに関してより深い垂直検索体験を作り出し、ユーザーが探しているものをもっと早く見つけられるようにしたいと考えている。
これは、Googleが目的地ポータルに近づくことを意味しているのだろうか。そうではない。Google Travelの外見がどうなるかの参考に、Bing Travelを見てほしい。BingはITAのデータをライセンスしており、出発地と到着地の都市名を入れれば簡単にフライトを検索できる。そこには判断を下すために必要なデータの殆ど(料金、航空会社、出発・到着時刻、乗り継ぎ回数)が入っているが、チケットを購入する際にはOrbitzあるいは航空会社のウェブサイトに転送される。(下のスクリーンショット参照)。
この種の購入目的型、データ駆動型の検索は、Googleに新しい収益方法の道を開く。クリック単価(CPC)検索広告を余白に載せるだけでなく、航空会社や旅行サイトにアクション単価(CPA)で課金し、予約が行われた場合にはさらに高い料金を請求できる可能性がある。 Barclays Capitalのアナリスト、Douglas Anmuthがまさにそうなると予想している。金曜日の調査メモにこう書いている。
ITA買収および垂直検索へのシフトによって、GoogleはCPAベースの検索広告へと方向付けられていくとわれわれは確信している。
こうしたCPA広告は、旧来のCPC広告よりもマージンが大きい。しかしAnmuthは、これまでGoogleは、Googleを利用して自サイトへトラフィックを誘導している一部の広告主を失いたくないために、垂直検索に手を出さなかったのだと指摘する。しかしGoogleは、「主力検索の成長鈍化」のプレッシャーを感じており、住宅ローン、クレジットカード、保険、医療などの特定垂直検索カテゴリーを狙い打ちすることにも手を広げつつある。
もしGoogleが、Bingが既にやっているのと同じやり方で垂直検索を始めれば、検索結果は現在と比べてずっと一様ではなくなる。あの悪名高い「ten blue links」(Googleで通常最初に表示される10項目の青字のリンク)も見られなくなることになる。
写真提供:Flickr/Luis Argerich

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(翻訳:Nob Takahashi)
